【完結】異世界忠臣蔵 ~赤穂浪士の吉良さんに転生した件、討ち入りされて殺されたく無いので全力で回避します ~

月影 流詩亜

文字の大きさ
56 / 82

第56話 烈風▪疾風▪納豆藩、海路を行く ! ①

しおりを挟む
【十兵衛side】

 親父殿柳生但馬守宗矩の命により、俺達は納豆藩が幕府に運ぶ新酒の護衛をする為に弁財船べざいせんにのりこんでいる訳だが……

 「十兵衛殿 !  こんな時期に海路を選ぶなど無謀でござる !
 これでは自殺をするも同じ !
 やはり陸路の方が確実だったのではござらぬか !? 」

 納豆藩 船奉行の岸和田伊右衛門きしわだ いえもんが抗議してきた。
 いやいや、俺の考えじゃ無いぞ !
 親父殿からの指示なんだが、俺のせいにされても困るんだがな……
 しかし、そのまま伝える訳にもいかないので、

「 いや……六百こくにのぼる量の酒樽を今月末の期日に間に合わせるには陸路では難しいだろう。
 それに長い隊列を組んでの運搬は、反幕府派や盗賊に襲撃を受ける可能性があるからな 」

 秋から冬にかけての海は荒れやすく、荷崩れが起きぬように厳重に縄で固定してある。

 むしろ、身内である主水が新酒を盗み呑みしないかの方が心配だったのだが……

「おっ…………えぇえぇぇぇ~~ンげぇえええ !! 」

 船の縁に捕まり船酔いしている主水の様子から盗み呑みは出来ないだろうと判断した。
 鹿島灘は潮が速く船の難所でもあるのだが、主水を見た伊右衛門は不安を覚えたのか、

「こちらも貴方方を信頼したいのですが……
 あのような状態で果たして、風魔や魯西亜をろしあの手から守れるのか……はなはだ心許ないと申しますか……」

 俺は正成と顔を併せてため息を吐いてしまう。
 仲間思いの正成も主水や胤舜殿宝蔵院胤舜の醜態を見せてしまった手前、文句も言えなかった。
 船底では胤舜殿が船酔いでのびてしまい、酒樽の監視を頼み寝てもらっている。
 槍の宝蔵院も嵐には勝てなかったようだな。

 そうした中、水夫が俺達に近づき、

「お奉行様、風が変わりました !
 帆はこのままで、よろしいので ? 」

 流石、海の男達は俺達と違い、黙々と嵐の中で作業をしていたようだった。

銚子ちょうしにたずねよ !
 奴はどうした ? 」

「それが、お姿が見えませんので……」

「銚子 !  銚子は何処だ ! 」
 伊右衛門が大声で呼びかけると、一人の老武士が駆け付けてきた。

「お呼びで…………」
 いかにも無愛想な老武士が現れると、伊右衛門が不安げに近づいて行く。
 船手組頭ふなて くみかしら 銚子新兵衛しんべえ
 ウチの頑固親父殿と同じ類いの者だと感じる。

「何をしておったのだ !? 」

「積み荷の様子を見に下へ……行っておりもうした 」

「そんなことより、早く水夫に指示を与えんか ! 」

「はっ ……」

 新兵衛が水夫に指示を出す姿を確認して、明らかにホッとする伊右衛門。

 若く経験の浅い伊右衛門を経験豊富な新兵衛が支えているのだろう。

「まったく、面目ない……」

 ぐったりした主水が戻ると、

「今はまだいい。
 肝心な時に動けるように身体を休めておけ ……」

 正成が言うと、フラフラに成りながら主水が、

「悪いな……言葉に甘えさせて休ませてもらう ……」
 そう言い残し、船底に向かっていく主水。

 不味いな……今、動けるのは、俺と正成だけか。
 こんな状態の時に風魔や魯西亜に襲われでもしたら、一溜りも無いぞ



 ───  十兵衛は知らなかった……
 自らフラグを立てていたことに …… ───
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

処理中です...