俺が信長で、幼馴染が吉乃と濃姫!? ~転生幼馴染トリオ、本能寺フラグ回避して戦国スローライフ目指します

月影 流詩亜

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第一章:尾張のうつけ、爆誕

第 4話 目覚めたら戦国だった件

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 ガンッ、と鈍い衝撃。
 一瞬、息が止まるような感覚と、妙な浮遊感。

 それが俺、緑野大地が最後に感じたものだったはずだ。
 暴走してきた車と、それを追うパトカーのけたたましいサイレン。
 アスファルトに叩きつけられる……いや、ね飛ばされたのか? 
 空と海の声が聞こえたような気もするが、記憶はそこで途切れている。
 次に意識が戻った時、まず感じたのは割れるような頭の痛みだった。

「いっ……てぇ……」
思わずうめき声が漏れる。ズキズキと脈打つような痛みに顔をしかめながら、重い瞼をなんとかこじ開けた。

 最初に目に飛び込んできたのは、見慣れた自室の白い天井……ではなかった。
 そこにあったのは、太いはりがむき出しになった、木目がはっきりとした天井。
 鼻をつくのは、木の匂いと、なんだか少し埃っぽいような、カビ臭いような、嗅いだことのない匂い。

「……どこだ、ここ……?」
混乱した頭で、痛みに耐えながらゆっくりと体を起こそうとした。
 その時、妙な違和感に気づく。
 なんだか自分の体が、いつもよりガッシリしているような気がする。
 筋肉……? いや、俺は文化部系のヒョロっとした体型のはずだ。
 それに、着ている服の感触もおかしい。ゴワゴワしていて、肌触りが悪い。
 状況を把握しようと、寝かされていたらしい布団(これもやけに硬くて重い)から這い出し、部屋の中を見回した。

 広さは八畳ほどだろうか。
 床には畳が敷かれ、壁際には低い文机ふづくえ硯箱すずりばこのようなものが見える。窓には障子がはまり、隅には行灯あんどんらしき照明器具。まるで時代劇のセットみたいだ。

 そして、自分の服装を改めて見て、俺は言葉を失った。
 着物……?  
 いや、時代劇で見るような、小袖こそでとかはかまとかいうやつか? 
 なんで俺がこんなものを着ているんだ? 
 ドッキリか? 
 それにしては手が込みすぎているし、頭の痛みも妙にリアルすぎる。

 パニックになりかける頭を必死で押さえつけ、何か手がかりはないかと部屋を見渡す。
 すると、部屋の隅に置かれた銅鏡どうきょうが目に入った。
 今の自分の姿を確認できるかもしれない。
震える足で鏡に近づき、恐る恐るその表面を覗き込んだ。
そこに映っていたのは……まったく知らない、若い男の顔だった。

 年は俺と同じくらいか、少し下か。
 鋭い目つきをしているが、どこか幼さも残っている。
 髪は……なんだこれ、変な結い方してるぞ!?

俺の、どこにでもある平凡な顔じゃない。
 精悍せいかんで、意志が強そうで、だけどどこか危うげな雰囲気を漂わせる、見知らぬ顔。

「だ、誰だこれ!? 俺じゃない……俺はどこ行ったんだよ !?」

思わず叫びそうになった瞬間、障子しょうじの向こうから声がかかった。

「若様、お目覚めでございますか?」
凛とした、若い女の声。若様? 誰のことだ?

 返事をする間もなく、すっと障子が開き、着物姿の若い侍女が入ってきた。
 年の頃は俺と同じくらいだろうか。
 髪を結い上げ、質素だが清潔な着物を着ている。

「お加減は如何にございますか? 昨夜はお加減が優れぬご様子でしたが……」

 侍女は畳に手をつき、深々と頭を下げながら言った。
 その言葉遣いは、やっぱり時代劇で聞くような古風なもので、俺には半分くらいしか意味が分からない。

「あ、えっと……」
どう答えていいか分からず、俺は口ごもる。侍女は怪訝そうな顔を少し見せたが、すぐに表情を戻した。

「お食事の支度をいたしましょうか? それとも、お召し物を……」

食事? 召し物? いや、それより聞きたいことが山ほどある!

「あの、ここはどこなんですか ?
 今って、西暦……いや、えっと、何年なんです?」
俺の問いかけに、侍女はきょとんとした顔をした。そして、困ったように眉を寄せる。

「若様……? またそのようなことを……。
ここは那古野なごやのお城にございます。年は……天文てんぶんでございますが……」
なごや城? てんぶん?
聞いたことのない地名と元号。やっぱり、ここは現代の日本じゃない。

 事故の瞬間の記憶。

 見知らぬ自分の顔。

 時代劇のような部屋と服装、言葉遣い。
そして、「若様」という呼ばれ方。

 バラバラだったピースが、頭の中で最悪の形に組み合わさろうとしていた。
まさか……これって、よくあるラノベとか漫画の……。

 異世界転生ってやつか?

背筋に冷たい汗が流れるのを感じながら、俺はただ呆然ぼうぜんと立ち尽くすことしかできなかった。


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