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弱点
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「ねぇ、和哉くん」
「なんだ?」
「明日からテストだよね?」
そう。みゆの言う通り俺の通う高校では明日から3学期末テストが始まる。俺にとっては学校が早く終わるのでバイトのシフトをたくさん入れられるパラダイスのような1週間なのだ! それに、テストが終わって少ししたら短縮授業になり春休みに突入するのだ!
「それがどうかしたのか?」
「和哉くんってバイトばっかりで勉強してないけど大丈夫なの?」
「いや、現に今勉強してるじゃん?」
今日は週2日あるバイトの休みの日だったので、学校が終わってからの予定は何も無かったので明日のテストに備えてテスト勉強に勤しんでいた。しかし、みゆと同じテーブルで向き合うような形で勉強しているのでこれっぽちも集中なんて出来ていないのだが.......。
「そうなんだけど.......和哉くんっていつもテストの順位だとどれくらいなの?」
「うーん、だいたい50位くらい?」
うちの高校は1学年240人ほどなのでテストの順位だけで言えば上の下くらいになる。まぁ、悪くもないし良くもないって感じか?
「.......バイトばっかりなのになんでそんな順位が取れてるの」
「いや、テストなんて課題の答えを覚えとけばある程度の点数は取れるだろ?」
「その課題をしているところをほとんど見てないんだけど? 和哉くん、ほとんどバイトだし」
「そんなの授業中にしているに決まってるだろ?」
「決まってるんだ.......」
ちなみにみゆは、テスト前ということでここ最近はバイトを休んで家で勉強をしているようだ。それに対して、俺は普段通りにバイトに行っているから気になったのだろう。
「そういうみゆは何位くらいなんだ?」
「10位くらい?」
「まぁ、みゆってずっと本読んでるイメージだし賢そうだもんな」
ずっと本を読んでいる人が賢そうというのは偏見かもしれないが、現にみゆはバイトも休んで勉強しているみたいだし実際賢いのだろう。
「でも.......このままだと私.......春休みに補講なの.......」
「は?」
学年で10位のみゆが補講? みゆは毎日学校に来ているから出席日数的に補講といったことも無いだろう。.......意味がわからん。それなら、みゆより順位の低い生徒230人は全員補講になるのか?
「私、数学だけはどうしても理解できなくて.......」
「それでも学年で10位とかならある程度は取れてるだろ?」
「.......取れてない」
「え?」
「取れてないって言ったの。前のテストでも数学は32点だったし.......」
「お、おぉ.......」
それはなんというか.......率直に言ってひどいな.......。確か前の数学のテストの平均点は68点とかだったはずだから、平均点の半分以下ということでみゆの数学の点数は赤点だったことになる。それでも、学年で10位ってことはほかの教科がそれだけいいって事だよな?
「ちなみに、数学以外は何点くらいなんだ?」
「ほとんど100点?」
「まじかよ.......」
みゆが言うに国語は中学の頃からテストで100点以外とったことが無いそうだ。英語と理科と社会も凡ミスをするくらいで基本的には満点だそうだ。そりゃ、数学がやばくても10位くらい取れるわ。
「ということで.......数学を教えて欲しい.......」
「教えるって言っても.......基本的に課題の解答に書いてある問題の解き方を丸暗記してるだけだから、詳しくは教えれないぞ?」
「大丈夫。それでもいいから教えて欲しい」
「そういうことなら。ちなみに今回の数学の範囲だと何が分からないんだ?」
「公式の意味が分からない」
「それは俺も分からんわ」
みゆが言うには今回のテストに限ったことではなく、数学の問題を解くのに必要とされる公式の意味が分からないらしい。公式の使い方が分からないのでは無く、公式の意味が分からないのだ。
どうしてこういった公式になったのか、なぜこの公式を使うと問題が解けるのか、どうして同じ問題でも公式の使えるパターンとそうでないパターンがあるのかなどを考えてしまって全く理解が出来なくなってしまい結果的に問題も解けなくなってしまうらしい。
「理科なら、どうしてそうなるのか科学的根拠を教科書で示してくれるから理解できるんだけど数学は公式が教科書に書いてあるだけで、その公式については、何も説明が無いから理解できないの」
「それは多分だけど、高校数学のレベルじゃその公式の説明が出来ないからじゃないか?」
「そんな公式をなんで高校生に教えるの?」
「それは教育委員会の人達に聞いてくれ」
「和哉くん.......どうしたらいいと思う?」
どうしたらって言われても.......みゆは公式の意味を深く考えすぎてしまって結果的に問題が解けなくなってしまうなら理解しないようにすればいいだけなのか?
「何も考えずに公式とその使い方を覚えるだけじゃダメなのか?」
「何も考え無くなったら人はおしまいだよ?」
「いや、そんな哲学みたいな話じゃなくて.......例えば、みゆはシャワーの仕組みを理解しているか?」
「シャワーの仕組み?」
「そう。どうして、レバーを上げるだけで水が出るのか。横の突起を回すだけで水の温度の調整ができるのか」
「知らないけど.......和哉くんは知ってるの?」
そんなもの知ってる訳ないだろ。むしろ、みゆなら知っててもおかしくない気がして例に出したはいいが内心ドキドキだったくらいだ。
「そんなもん知るわけないだろ。数学の公式もそれと一緒だよ」
「.......どこが?」
「いやだって、仕組みを理解していないのに使い方は分かるだろ?」
「あっ」
「だから、みゆは難しく考えすぎなんだよ。大事なのは仕組みじゃなくてそれの使い方なんだよ」
もちろん、仕組みを理解しておいた方がいいことも世の中にはある。物を作る人が、その作る物の仕組みを理解していなければそれは大問題であろう。しかし、別に俺達は何かを作るわけでもないし、ましてや数学の公式の仕組みを理解する必要などテストで点数を取るという観点においてはどうでもいい。今大事なのは、その公式を使った問題の解き方を覚えることなのだから。
「なるほど.......確かにそう言われてみると仕組みは分からないのに使い方が分かる物はたくさんあるかも.......」
「何とかなりそうか?」
「多分、大丈夫だと思う。ありがと」
みゆは元々頭がいいから普通に公式を覚えて解くだけなら、テスト範囲くらいであればすぐにできるようになるだろう。ましてや、数学のテストは3日後なので勉強する時間もまだ余裕がある事だし。
「なんだ?」
「明日からテストだよね?」
そう。みゆの言う通り俺の通う高校では明日から3学期末テストが始まる。俺にとっては学校が早く終わるのでバイトのシフトをたくさん入れられるパラダイスのような1週間なのだ! それに、テストが終わって少ししたら短縮授業になり春休みに突入するのだ!
「それがどうかしたのか?」
「和哉くんってバイトばっかりで勉強してないけど大丈夫なの?」
「いや、現に今勉強してるじゃん?」
今日は週2日あるバイトの休みの日だったので、学校が終わってからの予定は何も無かったので明日のテストに備えてテスト勉強に勤しんでいた。しかし、みゆと同じテーブルで向き合うような形で勉強しているのでこれっぽちも集中なんて出来ていないのだが.......。
「そうなんだけど.......和哉くんっていつもテストの順位だとどれくらいなの?」
「うーん、だいたい50位くらい?」
うちの高校は1学年240人ほどなのでテストの順位だけで言えば上の下くらいになる。まぁ、悪くもないし良くもないって感じか?
「.......バイトばっかりなのになんでそんな順位が取れてるの」
「いや、テストなんて課題の答えを覚えとけばある程度の点数は取れるだろ?」
「その課題をしているところをほとんど見てないんだけど? 和哉くん、ほとんどバイトだし」
「そんなの授業中にしているに決まってるだろ?」
「決まってるんだ.......」
ちなみにみゆは、テスト前ということでここ最近はバイトを休んで家で勉強をしているようだ。それに対して、俺は普段通りにバイトに行っているから気になったのだろう。
「そういうみゆは何位くらいなんだ?」
「10位くらい?」
「まぁ、みゆってずっと本読んでるイメージだし賢そうだもんな」
ずっと本を読んでいる人が賢そうというのは偏見かもしれないが、現にみゆはバイトも休んで勉強しているみたいだし実際賢いのだろう。
「でも.......このままだと私.......春休みに補講なの.......」
「は?」
学年で10位のみゆが補講? みゆは毎日学校に来ているから出席日数的に補講といったことも無いだろう。.......意味がわからん。それなら、みゆより順位の低い生徒230人は全員補講になるのか?
「私、数学だけはどうしても理解できなくて.......」
「それでも学年で10位とかならある程度は取れてるだろ?」
「.......取れてない」
「え?」
「取れてないって言ったの。前のテストでも数学は32点だったし.......」
「お、おぉ.......」
それはなんというか.......率直に言ってひどいな.......。確か前の数学のテストの平均点は68点とかだったはずだから、平均点の半分以下ということでみゆの数学の点数は赤点だったことになる。それでも、学年で10位ってことはほかの教科がそれだけいいって事だよな?
「ちなみに、数学以外は何点くらいなんだ?」
「ほとんど100点?」
「まじかよ.......」
みゆが言うに国語は中学の頃からテストで100点以外とったことが無いそうだ。英語と理科と社会も凡ミスをするくらいで基本的には満点だそうだ。そりゃ、数学がやばくても10位くらい取れるわ。
「ということで.......数学を教えて欲しい.......」
「教えるって言っても.......基本的に課題の解答に書いてある問題の解き方を丸暗記してるだけだから、詳しくは教えれないぞ?」
「大丈夫。それでもいいから教えて欲しい」
「そういうことなら。ちなみに今回の数学の範囲だと何が分からないんだ?」
「公式の意味が分からない」
「それは俺も分からんわ」
みゆが言うには今回のテストに限ったことではなく、数学の問題を解くのに必要とされる公式の意味が分からないらしい。公式の使い方が分からないのでは無く、公式の意味が分からないのだ。
どうしてこういった公式になったのか、なぜこの公式を使うと問題が解けるのか、どうして同じ問題でも公式の使えるパターンとそうでないパターンがあるのかなどを考えてしまって全く理解が出来なくなってしまい結果的に問題も解けなくなってしまうらしい。
「理科なら、どうしてそうなるのか科学的根拠を教科書で示してくれるから理解できるんだけど数学は公式が教科書に書いてあるだけで、その公式については、何も説明が無いから理解できないの」
「それは多分だけど、高校数学のレベルじゃその公式の説明が出来ないからじゃないか?」
「そんな公式をなんで高校生に教えるの?」
「それは教育委員会の人達に聞いてくれ」
「和哉くん.......どうしたらいいと思う?」
どうしたらって言われても.......みゆは公式の意味を深く考えすぎてしまって結果的に問題が解けなくなってしまうなら理解しないようにすればいいだけなのか?
「何も考えずに公式とその使い方を覚えるだけじゃダメなのか?」
「何も考え無くなったら人はおしまいだよ?」
「いや、そんな哲学みたいな話じゃなくて.......例えば、みゆはシャワーの仕組みを理解しているか?」
「シャワーの仕組み?」
「そう。どうして、レバーを上げるだけで水が出るのか。横の突起を回すだけで水の温度の調整ができるのか」
「知らないけど.......和哉くんは知ってるの?」
そんなもの知ってる訳ないだろ。むしろ、みゆなら知っててもおかしくない気がして例に出したはいいが内心ドキドキだったくらいだ。
「そんなもん知るわけないだろ。数学の公式もそれと一緒だよ」
「.......どこが?」
「いやだって、仕組みを理解していないのに使い方は分かるだろ?」
「あっ」
「だから、みゆは難しく考えすぎなんだよ。大事なのは仕組みじゃなくてそれの使い方なんだよ」
もちろん、仕組みを理解しておいた方がいいことも世の中にはある。物を作る人が、その作る物の仕組みを理解していなければそれは大問題であろう。しかし、別に俺達は何かを作るわけでもないし、ましてや数学の公式の仕組みを理解する必要などテストで点数を取るという観点においてはどうでもいい。今大事なのは、その公式を使った問題の解き方を覚えることなのだから。
「なるほど.......確かにそう言われてみると仕組みは分からないのに使い方が分かる物はたくさんあるかも.......」
「何とかなりそうか?」
「多分、大丈夫だと思う。ありがと」
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