34 / 71
アクシデント
しおりを挟む
「それじゃあ、10時に駅前に集合ね?」
みゆはそう言って家を出て行った。ただいまの時刻は9時30分である。なので、30分後に駅で集合ということになる。今日は春休みに入って初めて俺とみゆの共にバイトの無い日だったので、前に約束していたどこかに遊びに行こうということになっていた。同じ家に住んでるんだから駅まで一緒に行けばいいだろって? もちろん、俺もそう思うしそう言った。けど、みゆが言うに
「それだといつもと変わらないでしょ?」
とのことだ。一体何を変えたいのだろうか? いつもと一緒で何がいけないのかは俺には分からないが、駅まで1人で行くかみゆと行くかだけの違いなので別にそれくらいなら全然問題は無いから了承したのだが.......
「みゆのやつ.......思いっきりナンパされてるじゃねぇか.......」
俺の家から最寄りの駅までは歩いて15分くらいかかるのでみゆが家を出てからほとんど間を空けることなく家を出て駅に向かった。春休みなので、駅には人もそれなりに多くいたのでみゆを見つけられるかが若干不安ではあったのだが、俺のそんな心配を他所にすぐにみゆは見つかった。1ヶ所だけ明らかに周りの人が距離をとっている空間ができており、そこを見るとチャラそうな4人の男達に囲われる1人の美少女。お察しの通り、みゆが4人のチャラそうな男達に囲まれていたのだ。.......みゆのやつナンパされるの早すぎるだろ。
「ねぇ、君。可愛いね。今から暇でしょ?」
「人を待っているので」
「そんな嘘ついちゃってぇ。まぁ、仮に本当だったとしても絶対に俺達の方が楽しませてあげられるぜ?」
「結構です」
「つれないねぇ.......俺泣いちゃいそうだよぉ.......ヨヨヨ」
「はぁ.......」
「そんな楽しく無さそうな顔しないでさ、俺達と遊ぼうぜ? 最高に楽しませてやるからよ?」
「もう本当に結構なんで.......」
なんか、大変そうだなぁ.......いざとなったら警察でも呼ぼうとか考えていると思いっきりみゆと目があった。うん、これ警察なんか呼んでる暇さえ無さそうだ。
「あの~すいません」
「なんだ? 俺達になんか用か?」
うわぁ、ちょっと声掛けただけで喧嘩腰だよ。痛いのとめんどくさいのだけは勘弁して欲しいな.......。
「いや~お兄さん達じゃなくて、そこの女の子は俺の連れなんで」
「何なのお前? この子の彼氏とかなの?」
「まぁ、そんな感じですかね? ほら、さっさと行くぞ」
「うん」
そう言って、みゆの手を取ってこの場を立ち去ろうとするとみゆの手は震えていた。
「和哉くん遅い.......」
「.......すまん」
やっぱ強がってはいても女の子にだもんな。そりゃ、見ず知らずのチャラそうな男に囲まれた怖いに決まってるよな.......警察なんかに頼ろうとするんじゃなくてもっと早くこうしておけば良かった.......。そのまま、この場を立ち去ろうとしたのだが、
「おい、待てよ」
「そうだぜ? お前みたいなやつがその子の彼氏とかふざけるなや?」
「例えそうだったとしても、今すぐ別れりゃ問題ないだろ? お前みたいなやつにはその子は勿体ねぇよ」
「その子を置いて今すぐ消えろや」
はぁ.......やっぱダメかぁ.......。けど、こいつらには俺が何を言っても無駄だろうし、今からでも警察呼ぶか?
「.......ふざけないで」
「「「「え?」」」」
「ふざけないでって言ったの。お前みたいなやつ? お前には勿体ない? 今すぐ消えろや? あなた達は誰に向かってそんなことを言っているの?」
あの.......みゆさん.......? やばい、色々と言われているのは俺なはずなのにみゆがブチギレてしまっている.......。こんなにも底冷えしたような恐ろしい声は人生で初めて聞いたよ.......。とても、さっきまで震えていた人とは思えない迫力だ.......。さっきまで繋いでいた俺の手を離して4人のチャラ男達にみゆの方から近づていく。
「いや、だからそこの男に.......」
「あなたは和哉くんの何を知っているの? 何をもって私には勿体ないなんて言ってるの? むしろ、私なんかが和哉くんにとって勿体ないくらいだ
よ?」
いや、それは無いだろ。顔だけ見ても、美少女とそこら辺のモブくらいの差はあると思うぞ? 何なら、俺はモブの中でも顔すら書いて貰えない部類のモブまであるぞ?
「何も知らないくせにまだ和哉くんのことを悪く言うなら私、容赦しないよ?」
「「「「.............」」」」
「和哉くん行こ」
「あ、あぁ.......」
そう言ってみゆは離した俺の手を取ってこの場を去っていく。正直言って、あのチャラ男4人組なんか比べ物にならないほど、みゆが怖かったんですけど.......。
「せっかくのデート気分だったのに.......これじゃあ、台無しじゃない.......」
「いや、デートって.......」
「.......違うの?」
う~ん.......どうなんだろうか? 付き合っていない男女であったとしても男女2人で出掛けたらそれはもうデートなのだろうか? まぁ、広い意味で見たらデートということで間違いはないだろう。
「違わなくもないんじゃないか?」
「!? .......まさか、和哉くんがこれをデートとして認識してくれるなんて」
「いや、みゆから言ったんじゃん.......もしかして違ったか?」
「ううん! 違わない!」
「お、おう」
すごい勢いで反応されてしまった.......普段は大人しいみゆからは想像も出来ないくらいの勢いだった.......。
「それじゃ、行こっか」
そう言って俺に微笑みかけるみゆはさっきまでのみゆとは完全に別人であった。
みゆはそう言って家を出て行った。ただいまの時刻は9時30分である。なので、30分後に駅で集合ということになる。今日は春休みに入って初めて俺とみゆの共にバイトの無い日だったので、前に約束していたどこかに遊びに行こうということになっていた。同じ家に住んでるんだから駅まで一緒に行けばいいだろって? もちろん、俺もそう思うしそう言った。けど、みゆが言うに
「それだといつもと変わらないでしょ?」
とのことだ。一体何を変えたいのだろうか? いつもと一緒で何がいけないのかは俺には分からないが、駅まで1人で行くかみゆと行くかだけの違いなので別にそれくらいなら全然問題は無いから了承したのだが.......
「みゆのやつ.......思いっきりナンパされてるじゃねぇか.......」
俺の家から最寄りの駅までは歩いて15分くらいかかるのでみゆが家を出てからほとんど間を空けることなく家を出て駅に向かった。春休みなので、駅には人もそれなりに多くいたのでみゆを見つけられるかが若干不安ではあったのだが、俺のそんな心配を他所にすぐにみゆは見つかった。1ヶ所だけ明らかに周りの人が距離をとっている空間ができており、そこを見るとチャラそうな4人の男達に囲われる1人の美少女。お察しの通り、みゆが4人のチャラそうな男達に囲まれていたのだ。.......みゆのやつナンパされるの早すぎるだろ。
「ねぇ、君。可愛いね。今から暇でしょ?」
「人を待っているので」
「そんな嘘ついちゃってぇ。まぁ、仮に本当だったとしても絶対に俺達の方が楽しませてあげられるぜ?」
「結構です」
「つれないねぇ.......俺泣いちゃいそうだよぉ.......ヨヨヨ」
「はぁ.......」
「そんな楽しく無さそうな顔しないでさ、俺達と遊ぼうぜ? 最高に楽しませてやるからよ?」
「もう本当に結構なんで.......」
なんか、大変そうだなぁ.......いざとなったら警察でも呼ぼうとか考えていると思いっきりみゆと目があった。うん、これ警察なんか呼んでる暇さえ無さそうだ。
「あの~すいません」
「なんだ? 俺達になんか用か?」
うわぁ、ちょっと声掛けただけで喧嘩腰だよ。痛いのとめんどくさいのだけは勘弁して欲しいな.......。
「いや~お兄さん達じゃなくて、そこの女の子は俺の連れなんで」
「何なのお前? この子の彼氏とかなの?」
「まぁ、そんな感じですかね? ほら、さっさと行くぞ」
「うん」
そう言って、みゆの手を取ってこの場を立ち去ろうとするとみゆの手は震えていた。
「和哉くん遅い.......」
「.......すまん」
やっぱ強がってはいても女の子にだもんな。そりゃ、見ず知らずのチャラそうな男に囲まれた怖いに決まってるよな.......警察なんかに頼ろうとするんじゃなくてもっと早くこうしておけば良かった.......。そのまま、この場を立ち去ろうとしたのだが、
「おい、待てよ」
「そうだぜ? お前みたいなやつがその子の彼氏とかふざけるなや?」
「例えそうだったとしても、今すぐ別れりゃ問題ないだろ? お前みたいなやつにはその子は勿体ねぇよ」
「その子を置いて今すぐ消えろや」
はぁ.......やっぱダメかぁ.......。けど、こいつらには俺が何を言っても無駄だろうし、今からでも警察呼ぶか?
「.......ふざけないで」
「「「「え?」」」」
「ふざけないでって言ったの。お前みたいなやつ? お前には勿体ない? 今すぐ消えろや? あなた達は誰に向かってそんなことを言っているの?」
あの.......みゆさん.......? やばい、色々と言われているのは俺なはずなのにみゆがブチギレてしまっている.......。こんなにも底冷えしたような恐ろしい声は人生で初めて聞いたよ.......。とても、さっきまで震えていた人とは思えない迫力だ.......。さっきまで繋いでいた俺の手を離して4人のチャラ男達にみゆの方から近づていく。
「いや、だからそこの男に.......」
「あなたは和哉くんの何を知っているの? 何をもって私には勿体ないなんて言ってるの? むしろ、私なんかが和哉くんにとって勿体ないくらいだ
よ?」
いや、それは無いだろ。顔だけ見ても、美少女とそこら辺のモブくらいの差はあると思うぞ? 何なら、俺はモブの中でも顔すら書いて貰えない部類のモブまであるぞ?
「何も知らないくせにまだ和哉くんのことを悪く言うなら私、容赦しないよ?」
「「「「.............」」」」
「和哉くん行こ」
「あ、あぁ.......」
そう言ってみゆは離した俺の手を取ってこの場を去っていく。正直言って、あのチャラ男4人組なんか比べ物にならないほど、みゆが怖かったんですけど.......。
「せっかくのデート気分だったのに.......これじゃあ、台無しじゃない.......」
「いや、デートって.......」
「.......違うの?」
う~ん.......どうなんだろうか? 付き合っていない男女であったとしても男女2人で出掛けたらそれはもうデートなのだろうか? まぁ、広い意味で見たらデートということで間違いはないだろう。
「違わなくもないんじゃないか?」
「!? .......まさか、和哉くんがこれをデートとして認識してくれるなんて」
「いや、みゆから言ったんじゃん.......もしかして違ったか?」
「ううん! 違わない!」
「お、おう」
すごい勢いで反応されてしまった.......普段は大人しいみゆからは想像も出来ないくらいの勢いだった.......。
「それじゃ、行こっか」
そう言って俺に微笑みかけるみゆはさっきまでのみゆとは完全に別人であった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる