寒空の下、君を買う ~君が死ぬことは俺が許さない~

白浜 海

文字の大きさ
52 / 71

新クラスメイト

しおりを挟む
「な、長い.......」

 高校1年生3学期の終業式の時にも思ったがどうして校長先生の話はこうも長いのか.......。俺は今、今日から高校2年生としての1学期の始まりということで恒例の校長先生のありがたいお話を聞いていた。前の終業式の時は寝てしまい、みゆのおかげで恥をかくことは無かったが結構危ない思いをしてしまったので今回は絶対に寝ないように気をつけてはいるのだが.......

「やばい.......この話があと5分も続くようであるならば確実に俺は寝てしまう.......」

 今回の校長先生の話は自分が春休みの間はどのように過ごしたか、何があったのかを話してくれているのだが.......全くと言っていいほど興味が無い。だってそうだろう? 校長先生という立場ではあるが日々の学校生活ではほとんど関わることの無い、言うなれば顔を知っているだけで話したことも無いおじいさんの春休み事情に興味が持てるだろうか? 断固否である。それなら、寝ている方がまだ有意義な時間の使い方では無いだろうか? つまり、何が言いたいかと言うともう限界です.......きっとみゆがまた起こしてくれると信じて俺は夢の世界へと旅立とう.......。

「.......和哉くん。早く起きて」

「.......んん」

「ほら、早く」

「.......みゆか」

「早く教室に戻るよ?」

 やっぱり俺の彼女は最高だ。完全にみゆに甘える形にはなってしまったが、今回もみゆのおかげで恥をかかなくて済みそうだ。

「やっぱりみゆがいてくれて良かったよ」

「いきなりどうしたの? 寝ぼけてるの?」

「いや、またこうして起こしてくれるって信じてたよ」

「もう。そんなこと言うなら今度からは起こさないからね?」

 それは困る.......けど、この場合において俺はなんて言うのが正解なのだ? 俺が寝なければいいだけの話ではあるのだが絶対にそれは無理だ。これは断言出来る。謝ればいいか? なんで謝るのだ? うーん.......。そうやって俺が思い悩んでいると、

「ふふ。冗談だよ」

「.............」

「けど、私がこうやって甘やかしてあげるのは和哉くんだけだからね。それだけは覚えておいてね?」

「.............おう」

 小悪魔的な笑みでそんなことを言われてしまうと俺にはもう頷くことしかできなかった。というか、最近のみゆさん可愛すぎやしませんか? 一緒に俺の実家に帰って以来、積極度が増したというか感情表現がより豊かになったというか.......いいことであることには間違いないのだが、俺の心臓的にはそろそろ本当に止まりかねないのだ.......。

 それから俺とみゆは2人揃って教室に戻り、並んで教室に入ると教室の中にいた俺達の新たなクラスメイトになる人達全員からの視線を向けられ、そのうちの1人の女子がニヤニヤと俺とみゆの方に近寄ってきた。

「いやぁ、お熱いことですねぇ」

「誰?」

「初対面のクラスメイトに向かっての第一声がそれってひどくないですか!?」

「あーすまん」

 いやけどまぁ、いきなり挑発的に来たのはそっちだしむしろ、さっきのは俺のセリフでは無いだろうか?

「まぁ、いいですけど! 私は武宮伊織! よろしくね!」

「あぁ、よろしく」

 そう言って俺は武宮の横を通り過ぎるようにして自席の方に向かって歩いて行ったのだが、

「なんか冷たいですよね!」

「え?」

「彼女さんもそう思いますよね!」

「和哉くんはいつもあんな感じだよ?」

「えぇ.......彼女さんに対しても普段からあんな感じなの?」

「うーん.......私にはもう少し優しいかも?」

「だったら私にももう少し優しくしてくれてもいいじゃないですか!」

 なんでこの人はこんなにも突っかかってくるのだろうか? なんか理由があるのか? こういう時はなんて聞くのがいいのだろうか? .......考えても分からんし直球で聞くか。

「なぁ、なんでそんなに突っかかってくるんだ?」

「辛辣すぎません!?」

「.......さすがにそれはひどいよ和哉くん」

 そうは言われてとこの場合はなんて言えばいいのか分からんし、俺が何が聞きたいのかさえ伝わればいいと思うのだが.......いやぁ、日本語って難しい。

「こほん。まぁ、確かに私が2人に用があるのは確かなんですけどね」

「それで?」

「2人のことを取材させて貰えませんか!?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。 地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。 クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。 彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。 しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。 悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。 ――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。 謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。 ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。 この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。 陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!

処理中です...