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緒戦
有志隊
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ここは、コウオウの南にある草原――呼び名を、ホウリ平原と言う。
何も無い、見渡しの良いその草原は、野兎や野鳥の狩りが盛んな場所で、海と面していないために、コウオウでは、ここで狩られた動物の肉の燻製が特産品として、また、暮らす人々のタンパク源として親しまれている。
そんな、狩人の血が騒ぐ様な場所で、ギンは鬱蒼と背高く生い茂る雑草に身を隠しながら、自慢の特性である高い視力と嗅覚を用いて、草原の向こうに陣を構え、七千有余の兵がひしめいている、スヨウ第三軍の様子を窺っていた。
(武具こそ解いてはいないが……特に、緊張した表情ではなく、兵同士で談笑――直ぐに仕掛けて来る様子ではないな)
最前線に配備された、コウオウ軍の傭兵、義兵部隊――サトコが自ら名付けた、通称『有志隊』
その斥候を任されたギンは、草に紛れる様に、平原を後にした。
「――戻った」
ギンは、平原を見渡せる小高い丘のふもとに陣を敷く、有志隊の陣の天幕を潜った。
「――ギン殿!、ご苦労様でした…」
そう、応じたのは――陣の一番奥に置かれた椅子からスッと立ち上がった、藍色の甲冑を纏う、凛々しい顔付きの背の高い女性。
椅子の側には、長槍が立て掛けられており、その柄は、女性の甲冑と同じく藍色に塗られていて、それが彼女の武器だと推測出来る。
彼女は――コウオウ第一軍、"近衛筆頭"という立場に居る公者、カオリだ。
コウオウ第一軍――要するに、サトコの護衛を第一の任とする、兵士たちは全て、女性武士で構成されている。
"護衛"というコトは、寝所や風呂など、プライベートな部分までを守る必要があるため、必然的にそう成っている。
あえては触れずにいたが、主殿でサトコの脇に控えていた衛士たちも、第一軍に所属する女性武士である。
そんな中でも"筆頭"に、位置付けられている様に、カオリは、第一軍随一の武勇を誇る女性だ。
3年前――カオリが25歳の時に開催された、前回の大武会に、彼女はコウオウ第一軍の代表として出場。
自慢の長槍を、雄々しく振り回し、武勇を誇る男たちをバッタバッタと、次から次へと薙ぎ倒して奮戦!
結果、カオリは女性出場者ではただ一人、ベスト8にまで勝ち残って見せる――それは、大武会の歴史の中で、女性出場者としては、実に64年ぶりの快挙で、彼女は世界的に英雄視されている。
皇や大巫女を、宗教的な意味合いで別格とすれば、彼女はツクモで、一番有名な女性だと言っても過言ではないだろう。
さて――そんな彼女が、有志隊の陣に居るのは、この隊の将――つまり、隊長に任じられたからである。
即ち、今のギン――いや、ソウタたちの上官に当たる人物なのだ。
有志隊を組織するにあたって、課題となったのは――それを指揮する人材の選出と、その人材はコウオウ軍本隊との連携のために、軍の内情を把握出来る、信頼を置ける人物であるコトが必要である。
故に、義兵勢力を指揮するのは、定説的に、軍本隊から言わば出向する形で、当国の公者が任じられるのが、ツクモの戦においての通例である。
それを選出する上で、皇のサトコ、宰相のロクスケ、総大将のカツトシが話し合った結果――三者一致で、選ばれたのがカオリだった。
荒くれ者が揃うと思われる、義兵勢力を束ねる上で……将自身が猛々しい武勇を誇る者だとなれば、それはストレートな権威へと変わると考えたのと、女神の末裔である、サトコが募った義兵たちを率いるのが"ツクモ最強の女性"という、ちょっとした演出も兼ねる事で、敵への威圧効果として、かなり効果的と思えたからである。
現に、その有志隊を先鋒に据えて、このホウリ平原へとコウオウ軍が進軍した際、突如としてスヨウ軍は行軍の足を止めたため、それが今の両軍睨み合いの状況を呼び、コウオウ軍が悠々と、有利な平原手前にある丘の周りに陣を敷けたのは、彼女の功であると思うべきであろう。
「――して、敵の様子は?」
カオリは早速、ギンへ物見の成果を尋ねた。
「直ぐに動く気配ではなかったな……とりあえず、今晩は最低限の警戒で良いと思う」
ギンはそう言って、敵の様子を報告し、ふと空の様子に視線を移す。
――時は、空が夕やけにチラチラと染まり始めた頃、夜襲を警戒しての偵察だったのだ。
「ありがとう――では、この報を全軍に報せて貰えますか?」
――と、カオリはギンに実直に礼を述べ、やんわりと次の任務を命じた。
「わかった、行ってこよう」
ギンは踵を返して、陣の天幕から素早く出て行った。
「次は――」
カオリは、顎に手を置いて、何かを考える様でキョロキョロと辺りを見渡し――
「――あっ!、タマさん!」
――と、見える距離で手甲を磨いている、タマを呼び止めた。
「なあに?、カオリ」
タマは、やたらとフランクに、カオリの呼び止めに応じた。
「今夜の見張り――お願いしますね?」
――と、タマの不遜な態度に怒る事も無く、カオリは今夜の見張り当番である彼女に声を掛けた。
「うん!、任せて!、猫族の夜目は、こーいう時に役に立つんだからさ!」
タマは、ニンマリと笑みを見せ、人差し指で自分の両目を示した。
ギンには"殿"を、タマには"さん"を、付けて呼び、明らかに年下の流者である、彼らに対しても敬語を使う――これを見ても、カオリがかなり礼節を重んじている性格なのが良く解る。
しかも、彼女はなんと、500人は集まった有志隊の面々――全員の名前と顔を、結成から今日までの14日間で覚えきり、今やほとんど間違える事無く、一致出来るレベルにまで至っている!
それを、カオリは――
「――将を任された以上、この様な瑣末な事……苦の一つには成りませぬ」
――と、驚いた皆に言ってのけるほど、彼女はスーパーウーマンであり、努力の人でもあるのだ。
故に、集まった義兵、傭兵たちからも、カオリへの信頼は厚いモノとなっているのである。
ちなみに――ギンやタマの事を覚えているのが、彼らがメインキャラクターだから、ではないのだと、カオリの名誉のために強調しておきたい。
(良い将を配してくれたモンだ、流石は大将だぜ)
一連の様子を、近くで眺めていたソウタは、今の陣内に漂う良い雰囲気に、勝機が芽生えて来たと感じていた。
この、コウオウ軍が陣を敷いた、ホウリ平原手前にある小高い丘は、スヨウからコウオウまでの街道沿いから、草原一帯までを悠に見渡せる位置にある。
陣を敷いたコウオウ軍を退かせようと、スヨウ軍が草原から攻撃を仕掛けるには、大軍が一斉に丘を駆け上がらなければならないが、丘の標高はそれを成すには少々難儀な高さであり、無視して街道を進もうとすれば、丘から駆け下りて来て横槍を入れられてしまう。
スヨウ軍が、ここに留まる――いや、留まざるを得なくなったのは、カオリのネームバリューも確かにあるが、迅速にこの位置を抑えた、コウオウ軍の的確な動き――つまり、カツトシの策に因るモノが大きいだろう。
(これなら、少なくとも、惨敗して退く様な事はねぇな。
でも、コッチは単純な"国力"から言って、長い戦になっちまったらキツいだろう――だから、この一戦だけで、侵略を諦めちまう様な、"決定的な打撃"を与えられれば……)
そう考えながら、ソウタは、自分の腰に提げていた鞘を掲げ――
「――師匠、コイツを"抜くべき時"って、"こういう時"なんですかねぇ?」
――と、囁く様につぶやいて、少しだけ鞘から出した、ギラッと光る刀身を見詰めた。
カオリからの命を受け、物見の成果をコウオウ軍の各陣に伝え回るギンは、丘の頂上に陣を置く、カツトシの下へ来ていた。
「――有志隊将、カオリより伝令。
『敵、夜襲の兆し無し』」
ギンは、淡々とそう言って、椅子に座るカツトシを凝視する。
ギンやタマなどの生粋の流者たちは、公者の言い回しに慣れるまで、こういう伝令任務などで言葉使いに少々苦労したが、カオリが自分たちへ向ける、実直で懸命な姿勢を目にするにつれ、我儘は言ってられないと努力を積み、すっかり慣れてきた頃合いである…
「――うむ、大儀であった」
それを感じてなのか、カツトシは少しだけ妙に破顔し、ギンの伝令を聞いて頷く。
そのカツトシの返事を確認し、陣を後にするギンを見送る、端正な顔立ちの細面の男――シュウイチも、ニヤッとした笑顔を見せて――
「――カオリは、良い任を成しているようですな」
――と、ホッとした表情で言った。
シュウイチは、コウオウ第二軍からの出向で、カツトシの副官を務めており、カオリとは同期の入隊に当たる。
彼は、からっきしとまでは言えないが、剣や槍などの武器の扱いに関しては、他の同期に劣るものの――指揮や采配に関しては、群を抜く資質があり、いわゆる"武"よりも"智"で、事を成すタイプの男だ。
そこを見込まれ、シュウイチは次期のコウオウ軍の中核へという期待から、軍略の修行も兼ねて、このカツトシの副官という務めに配されているのである。
「ここまでは、コチラの思惑どおりじゃな」
――と、独り言の様にカツトシは、顎鬚を撫でながら言う。
「ええ、ですが、敵の糧食の荷車から察するに、これ以上、ココに留まっては、オウクを落とすよりも、兵糧が尽きる方が先――」
相槌を打つ様に、シュウイチはカツトシの独り言に応じる。
「――ああ、故に近々、必ず戦況は動く!
それは、恐らく"明朝"――じゃろうな」
カツトシは、眼下の草原の先に見える、スヨウの国旗に当たる"鳳凰紋旗"を見据えた。
何も無い、見渡しの良いその草原は、野兎や野鳥の狩りが盛んな場所で、海と面していないために、コウオウでは、ここで狩られた動物の肉の燻製が特産品として、また、暮らす人々のタンパク源として親しまれている。
そんな、狩人の血が騒ぐ様な場所で、ギンは鬱蒼と背高く生い茂る雑草に身を隠しながら、自慢の特性である高い視力と嗅覚を用いて、草原の向こうに陣を構え、七千有余の兵がひしめいている、スヨウ第三軍の様子を窺っていた。
(武具こそ解いてはいないが……特に、緊張した表情ではなく、兵同士で談笑――直ぐに仕掛けて来る様子ではないな)
最前線に配備された、コウオウ軍の傭兵、義兵部隊――サトコが自ら名付けた、通称『有志隊』
その斥候を任されたギンは、草に紛れる様に、平原を後にした。
「――戻った」
ギンは、平原を見渡せる小高い丘のふもとに陣を敷く、有志隊の陣の天幕を潜った。
「――ギン殿!、ご苦労様でした…」
そう、応じたのは――陣の一番奥に置かれた椅子からスッと立ち上がった、藍色の甲冑を纏う、凛々しい顔付きの背の高い女性。
椅子の側には、長槍が立て掛けられており、その柄は、女性の甲冑と同じく藍色に塗られていて、それが彼女の武器だと推測出来る。
彼女は――コウオウ第一軍、"近衛筆頭"という立場に居る公者、カオリだ。
コウオウ第一軍――要するに、サトコの護衛を第一の任とする、兵士たちは全て、女性武士で構成されている。
"護衛"というコトは、寝所や風呂など、プライベートな部分までを守る必要があるため、必然的にそう成っている。
あえては触れずにいたが、主殿でサトコの脇に控えていた衛士たちも、第一軍に所属する女性武士である。
そんな中でも"筆頭"に、位置付けられている様に、カオリは、第一軍随一の武勇を誇る女性だ。
3年前――カオリが25歳の時に開催された、前回の大武会に、彼女はコウオウ第一軍の代表として出場。
自慢の長槍を、雄々しく振り回し、武勇を誇る男たちをバッタバッタと、次から次へと薙ぎ倒して奮戦!
結果、カオリは女性出場者ではただ一人、ベスト8にまで勝ち残って見せる――それは、大武会の歴史の中で、女性出場者としては、実に64年ぶりの快挙で、彼女は世界的に英雄視されている。
皇や大巫女を、宗教的な意味合いで別格とすれば、彼女はツクモで、一番有名な女性だと言っても過言ではないだろう。
さて――そんな彼女が、有志隊の陣に居るのは、この隊の将――つまり、隊長に任じられたからである。
即ち、今のギン――いや、ソウタたちの上官に当たる人物なのだ。
有志隊を組織するにあたって、課題となったのは――それを指揮する人材の選出と、その人材はコウオウ軍本隊との連携のために、軍の内情を把握出来る、信頼を置ける人物であるコトが必要である。
故に、義兵勢力を指揮するのは、定説的に、軍本隊から言わば出向する形で、当国の公者が任じられるのが、ツクモの戦においての通例である。
それを選出する上で、皇のサトコ、宰相のロクスケ、総大将のカツトシが話し合った結果――三者一致で、選ばれたのがカオリだった。
荒くれ者が揃うと思われる、義兵勢力を束ねる上で……将自身が猛々しい武勇を誇る者だとなれば、それはストレートな権威へと変わると考えたのと、女神の末裔である、サトコが募った義兵たちを率いるのが"ツクモ最強の女性"という、ちょっとした演出も兼ねる事で、敵への威圧効果として、かなり効果的と思えたからである。
現に、その有志隊を先鋒に据えて、このホウリ平原へとコウオウ軍が進軍した際、突如としてスヨウ軍は行軍の足を止めたため、それが今の両軍睨み合いの状況を呼び、コウオウ軍が悠々と、有利な平原手前にある丘の周りに陣を敷けたのは、彼女の功であると思うべきであろう。
「――して、敵の様子は?」
カオリは早速、ギンへ物見の成果を尋ねた。
「直ぐに動く気配ではなかったな……とりあえず、今晩は最低限の警戒で良いと思う」
ギンはそう言って、敵の様子を報告し、ふと空の様子に視線を移す。
――時は、空が夕やけにチラチラと染まり始めた頃、夜襲を警戒しての偵察だったのだ。
「ありがとう――では、この報を全軍に報せて貰えますか?」
――と、カオリはギンに実直に礼を述べ、やんわりと次の任務を命じた。
「わかった、行ってこよう」
ギンは踵を返して、陣の天幕から素早く出て行った。
「次は――」
カオリは、顎に手を置いて、何かを考える様でキョロキョロと辺りを見渡し――
「――あっ!、タマさん!」
――と、見える距離で手甲を磨いている、タマを呼び止めた。
「なあに?、カオリ」
タマは、やたらとフランクに、カオリの呼び止めに応じた。
「今夜の見張り――お願いしますね?」
――と、タマの不遜な態度に怒る事も無く、カオリは今夜の見張り当番である彼女に声を掛けた。
「うん!、任せて!、猫族の夜目は、こーいう時に役に立つんだからさ!」
タマは、ニンマリと笑みを見せ、人差し指で自分の両目を示した。
ギンには"殿"を、タマには"さん"を、付けて呼び、明らかに年下の流者である、彼らに対しても敬語を使う――これを見ても、カオリがかなり礼節を重んじている性格なのが良く解る。
しかも、彼女はなんと、500人は集まった有志隊の面々――全員の名前と顔を、結成から今日までの14日間で覚えきり、今やほとんど間違える事無く、一致出来るレベルにまで至っている!
それを、カオリは――
「――将を任された以上、この様な瑣末な事……苦の一つには成りませぬ」
――と、驚いた皆に言ってのけるほど、彼女はスーパーウーマンであり、努力の人でもあるのだ。
故に、集まった義兵、傭兵たちからも、カオリへの信頼は厚いモノとなっているのである。
ちなみに――ギンやタマの事を覚えているのが、彼らがメインキャラクターだから、ではないのだと、カオリの名誉のために強調しておきたい。
(良い将を配してくれたモンだ、流石は大将だぜ)
一連の様子を、近くで眺めていたソウタは、今の陣内に漂う良い雰囲気に、勝機が芽生えて来たと感じていた。
この、コウオウ軍が陣を敷いた、ホウリ平原手前にある小高い丘は、スヨウからコウオウまでの街道沿いから、草原一帯までを悠に見渡せる位置にある。
陣を敷いたコウオウ軍を退かせようと、スヨウ軍が草原から攻撃を仕掛けるには、大軍が一斉に丘を駆け上がらなければならないが、丘の標高はそれを成すには少々難儀な高さであり、無視して街道を進もうとすれば、丘から駆け下りて来て横槍を入れられてしまう。
スヨウ軍が、ここに留まる――いや、留まざるを得なくなったのは、カオリのネームバリューも確かにあるが、迅速にこの位置を抑えた、コウオウ軍の的確な動き――つまり、カツトシの策に因るモノが大きいだろう。
(これなら、少なくとも、惨敗して退く様な事はねぇな。
でも、コッチは単純な"国力"から言って、長い戦になっちまったらキツいだろう――だから、この一戦だけで、侵略を諦めちまう様な、"決定的な打撃"を与えられれば……)
そう考えながら、ソウタは、自分の腰に提げていた鞘を掲げ――
「――師匠、コイツを"抜くべき時"って、"こういう時"なんですかねぇ?」
――と、囁く様につぶやいて、少しだけ鞘から出した、ギラッと光る刀身を見詰めた。
カオリからの命を受け、物見の成果をコウオウ軍の各陣に伝え回るギンは、丘の頂上に陣を置く、カツトシの下へ来ていた。
「――有志隊将、カオリより伝令。
『敵、夜襲の兆し無し』」
ギンは、淡々とそう言って、椅子に座るカツトシを凝視する。
ギンやタマなどの生粋の流者たちは、公者の言い回しに慣れるまで、こういう伝令任務などで言葉使いに少々苦労したが、カオリが自分たちへ向ける、実直で懸命な姿勢を目にするにつれ、我儘は言ってられないと努力を積み、すっかり慣れてきた頃合いである…
「――うむ、大儀であった」
それを感じてなのか、カツトシは少しだけ妙に破顔し、ギンの伝令を聞いて頷く。
そのカツトシの返事を確認し、陣を後にするギンを見送る、端正な顔立ちの細面の男――シュウイチも、ニヤッとした笑顔を見せて――
「――カオリは、良い任を成しているようですな」
――と、ホッとした表情で言った。
シュウイチは、コウオウ第二軍からの出向で、カツトシの副官を務めており、カオリとは同期の入隊に当たる。
彼は、からっきしとまでは言えないが、剣や槍などの武器の扱いに関しては、他の同期に劣るものの――指揮や采配に関しては、群を抜く資質があり、いわゆる"武"よりも"智"で、事を成すタイプの男だ。
そこを見込まれ、シュウイチは次期のコウオウ軍の中核へという期待から、軍略の修行も兼ねて、このカツトシの副官という務めに配されているのである。
「ここまでは、コチラの思惑どおりじゃな」
――と、独り言の様にカツトシは、顎鬚を撫でながら言う。
「ええ、ですが、敵の糧食の荷車から察するに、これ以上、ココに留まっては、オウクを落とすよりも、兵糧が尽きる方が先――」
相槌を打つ様に、シュウイチはカツトシの独り言に応じる。
「――ああ、故に近々、必ず戦況は動く!
それは、恐らく"明朝"――じゃろうな」
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