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刀聖軍
刀聖軍(後編)
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「――わかったよ、僕ら、天警三番隊は、刀聖様の御意思に従い、その『刀聖軍』に加わらせて頂こう。
同時に、六番隊との折衝も僕に任せてくれ」
ヒロシがそう言うと、それを漏れ聞いていた他の三番隊員の中から歓声が上がり……
「――ハルちゃん、キミは……十番隊は、どうするつもりなんだい?」
――と、その歓声を笑顔で聞いたヒロシは、目に入ったハルの姿を凝視しながら尋ねた。
「隊員のみんなは、ツツキに残して来てますしねぇ……コレと言って、断わる理由だって無い。
何よりも、姉様――次世大巫女様の御意思に応えるのが、アタシたち士団の役割でしょ?」
ハルは、迷いなど一分も無い表情でそう答え、シオリの瞳を見詰める。
「――てぇコトは、今は刀聖の舎弟の俺たちも、しばらくはツツキ暮らしってワケか。
あったけぇ着物、仕立てとくべきだったねぇ」
「リュウジ様――オウビの皆様には、内示を終えているとはいえ、これまでこの策を明かさなかった事、お許しください」
後頭部を掻き、着物の袖を眺めながら、そんな皮肉を漏らすリュウジに、シオリはそんな謝罪の言葉を向ける。
「なぁに、気にしなさんな。
俺も何だか、楽しくなって来たぜ♪、刀聖の世直しの中に、俺らみてぇなハンパ者が加わってんのも、なかなか酔狂で粋じゃねぇかい♪」
リュウジは、またキセルの煙を燻らせ、楽しそうにニヤリと笑った。
「オウビの衆――ヨクセ頭領に、内示済みとなれば……我らも、異論はありませんね?、隊長!」
「ああ、しかし『刀聖軍』とはな……思わず、色めき立ってしまう呼び名だわい」
サスケとヨシゾウは、互いに頷き合って意思を確認し合うと、二人は興奮気味に手を震わす。
「カオリ、貴女は……」
「――ふむっ!、難民たちの動向が定まり次第、シュウイチたちにもツツキへ参じるべしと、書状を送らねばなりませんなっ!」
サトコはカオリに、参戦の意思を確めようとしたが、彼女はそれよりも先の事に考えを向けていて、あまり聞こえていない様子である。
「ふふ……タマさんとギン殿は如何に?
一応、御二人はまだ、我らコウオウの"特例義兵"という立場のままなのですよ?、私は、罷免の決済に応じていないので」
カオリの次に、タマとギンに目を向けたサトコは、笑みを見せながら、二人にも参戦の意思を確認する。
「"乗りかかったなんとやら"とは言うしな……ソウタの考えには、俺も賛成だ」
「う~ん……アタシは傭兵だから、報酬次第かなぁ?
じゃあ……結局は食べそびれた、"オロチの角煮"で手を打ってあげるよ♪」
ギンは、相変らずのクールな態度で参戦に同意し、タマは舌なめずりを見せて報酬交渉を始める。
「へっ♪、これから戻れば、ツツキに着いた頃には、そうは経たずに年明けだし、角煮だったら祝い膳の真ん中に出てくるよ」
ソウタは、タマの笑顔に合わせて笑い合い、彼女の頭をクシャクシャと撫でる。
「オッ……オロチの角煮?」
「ああ、ヒロシさん――それ、マジです。
アタシも、狩りに付いて行きましたから……」
タマの言葉に驚きを見せたヒロシに、ハルは苦笑いをしながら、ツツキに関しての情報を補足する。
「さて、残りは……」
そう呟いて、ソウタが顔を向けたのは、アオイとヒカリに対してだった。
「ふん、御家方様が承知となっては、我ら御傍が如何こう言う事柄ではあるまい?」
アオイは、ソウタの眼差しを避ける様に目を逸らし、うっすらと口元に笑みを浮かべ……
「――私は、ソウちゃんがしたいって思う事なら、"何でも"させてあげたいモノ。
それに、ソウちゃんがまだ、一緒に――ツツキに居てくれるのは、何より嬉しいコトだよ♪、私たちには♪」
――と、ヒカリは満面の笑みを浮かべ、目線を逸らしたアオイを引き寄せ、顔を寄せながらそう言った。
(うわぁ~っ!!!、"したい事"なら"何でも"だなんてぇ~~~っ!)
「ハルちゃん?、どうかしたのかい?」
ヒカリの発言を聞き、顔を真っ赤にして悶えているハルに、ヒロシは怪訝として応じる。
「――御頭、そしてソウタよ」
沸き立った雰囲気の指揮室の天井裏から、ショウゾウの声が聞こえた。
「ショウゾウさん?、ちなみに……」
「無論、御頭と同じ答えだ」
ソウタのからかう様な参戦意思を問う尋ねに、ショウゾウは声色を乱す事も無く、キッパリとそう応えた。
「暗衆への警戒――甘かったかな?、ウチの砦」
ヒロシが天井を見上げ、訝しげに懸念の言葉を漏らすと――
「ご心配めさるな。
天井裏に居るのは、あの"ハクキの隠牙"――相手の方が、一枚上手であっただけにございましょう」
――と、まだ悶えているハルに変わり、ヨシゾウが補足を入れる…
「!?、それはそれは……本当に『刀聖軍』に相応しい顔触れだって事か。
何だか、相手に取る事になる連中の方にも、少し同情してしまうね」
ヒロシはまた苦笑いをし、そんな皮肉を漏らした。
「――して、ショウゾウ……謀反一派の動きは?」
ショウゾウには、先行してテンラクや謀反一派の動きを調べさせていたアオイは、その報告を催促する。
「八番隊が――北コク軍五千を加えて、北方の制圧に乗り出したらしい、"ヤハン"を経由してな」
「――っ!?」
ショウゾウが、落ち着いた声音で言ったその報に、全員が険しい表情を浮かべ――
「コレはやられたね……
テンラク様から、ミスズたち六番隊が篭る北方砦に至るには――東砦がある、ハクキへの街道じゃないと、治外法権が認められている"ヤハン学園都市"を通る必要が出て来るから、てっきり僕ら三番隊とやり合う方が、先だと思ってたんだけど……」
――開口一番、地図を睨んで、そう悔し気に呟いたのは、もちろんヒロシだった。
ショウゾウやヒロシの口から出た、ヤハンという場所は――ツクモ唯一の大学、"オウレン大学"が設けられている場所で、"学園都市"という位置付けを持つヤハンの街には、クリ社や士団からは独立した、オウビと同等の治外法権が認められており、そのオウレン大学と学生組合、両者の執行部の折衝によって、合同で街を運営している。
錯綜した今の現状では、定かとは言えないが――翼域の中では比較的、その特性を利してテンラクでの動乱の影響を受けていないというのが、もっぱらの推察であった。
「大学か学組のどちらか――いや、その両方が北コクに同調したか?
確か――民守のヒコザを始め、北コクの閣僚のほとんどがオウレンの卒業生だし、それは南コクのユキオら共佑党の面々とて同じ。
両者とも、時期こそはずれるが、在学時は学組の頭目をしていたはず――言うなれば、オウレン大は彼奴ら革新派の本山と言っても良い」
ヨシゾウはまた補足する形で、自分の見解を込めた推察を話す。
「……なるほどね。
学び舎を司る様な者たちが、その様な計略の片棒を担ぐワケがないと思っていた――こういう点を読み違えてしまう辺りが、こうした思慮の浅さが、僕ら士団の弱点の様だね……恥ずかしながら」
ヨシゾウの推察を聞いたヒロシは、噛み締める様に数度頷きながら、ハルと目線を合わせてそう呟いた。
同時に、六番隊との折衝も僕に任せてくれ」
ヒロシがそう言うと、それを漏れ聞いていた他の三番隊員の中から歓声が上がり……
「――ハルちゃん、キミは……十番隊は、どうするつもりなんだい?」
――と、その歓声を笑顔で聞いたヒロシは、目に入ったハルの姿を凝視しながら尋ねた。
「隊員のみんなは、ツツキに残して来てますしねぇ……コレと言って、断わる理由だって無い。
何よりも、姉様――次世大巫女様の御意思に応えるのが、アタシたち士団の役割でしょ?」
ハルは、迷いなど一分も無い表情でそう答え、シオリの瞳を見詰める。
「――てぇコトは、今は刀聖の舎弟の俺たちも、しばらくはツツキ暮らしってワケか。
あったけぇ着物、仕立てとくべきだったねぇ」
「リュウジ様――オウビの皆様には、内示を終えているとはいえ、これまでこの策を明かさなかった事、お許しください」
後頭部を掻き、着物の袖を眺めながら、そんな皮肉を漏らすリュウジに、シオリはそんな謝罪の言葉を向ける。
「なぁに、気にしなさんな。
俺も何だか、楽しくなって来たぜ♪、刀聖の世直しの中に、俺らみてぇなハンパ者が加わってんのも、なかなか酔狂で粋じゃねぇかい♪」
リュウジは、またキセルの煙を燻らせ、楽しそうにニヤリと笑った。
「オウビの衆――ヨクセ頭領に、内示済みとなれば……我らも、異論はありませんね?、隊長!」
「ああ、しかし『刀聖軍』とはな……思わず、色めき立ってしまう呼び名だわい」
サスケとヨシゾウは、互いに頷き合って意思を確認し合うと、二人は興奮気味に手を震わす。
「カオリ、貴女は……」
「――ふむっ!、難民たちの動向が定まり次第、シュウイチたちにもツツキへ参じるべしと、書状を送らねばなりませんなっ!」
サトコはカオリに、参戦の意思を確めようとしたが、彼女はそれよりも先の事に考えを向けていて、あまり聞こえていない様子である。
「ふふ……タマさんとギン殿は如何に?
一応、御二人はまだ、我らコウオウの"特例義兵"という立場のままなのですよ?、私は、罷免の決済に応じていないので」
カオリの次に、タマとギンに目を向けたサトコは、笑みを見せながら、二人にも参戦の意思を確認する。
「"乗りかかったなんとやら"とは言うしな……ソウタの考えには、俺も賛成だ」
「う~ん……アタシは傭兵だから、報酬次第かなぁ?
じゃあ……結局は食べそびれた、"オロチの角煮"で手を打ってあげるよ♪」
ギンは、相変らずのクールな態度で参戦に同意し、タマは舌なめずりを見せて報酬交渉を始める。
「へっ♪、これから戻れば、ツツキに着いた頃には、そうは経たずに年明けだし、角煮だったら祝い膳の真ん中に出てくるよ」
ソウタは、タマの笑顔に合わせて笑い合い、彼女の頭をクシャクシャと撫でる。
「オッ……オロチの角煮?」
「ああ、ヒロシさん――それ、マジです。
アタシも、狩りに付いて行きましたから……」
タマの言葉に驚きを見せたヒロシに、ハルは苦笑いをしながら、ツツキに関しての情報を補足する。
「さて、残りは……」
そう呟いて、ソウタが顔を向けたのは、アオイとヒカリに対してだった。
「ふん、御家方様が承知となっては、我ら御傍が如何こう言う事柄ではあるまい?」
アオイは、ソウタの眼差しを避ける様に目を逸らし、うっすらと口元に笑みを浮かべ……
「――私は、ソウちゃんがしたいって思う事なら、"何でも"させてあげたいモノ。
それに、ソウちゃんがまだ、一緒に――ツツキに居てくれるのは、何より嬉しいコトだよ♪、私たちには♪」
――と、ヒカリは満面の笑みを浮かべ、目線を逸らしたアオイを引き寄せ、顔を寄せながらそう言った。
(うわぁ~っ!!!、"したい事"なら"何でも"だなんてぇ~~~っ!)
「ハルちゃん?、どうかしたのかい?」
ヒカリの発言を聞き、顔を真っ赤にして悶えているハルに、ヒロシは怪訝として応じる。
「――御頭、そしてソウタよ」
沸き立った雰囲気の指揮室の天井裏から、ショウゾウの声が聞こえた。
「ショウゾウさん?、ちなみに……」
「無論、御頭と同じ答えだ」
ソウタのからかう様な参戦意思を問う尋ねに、ショウゾウは声色を乱す事も無く、キッパリとそう応えた。
「暗衆への警戒――甘かったかな?、ウチの砦」
ヒロシが天井を見上げ、訝しげに懸念の言葉を漏らすと――
「ご心配めさるな。
天井裏に居るのは、あの"ハクキの隠牙"――相手の方が、一枚上手であっただけにございましょう」
――と、まだ悶えているハルに変わり、ヨシゾウが補足を入れる…
「!?、それはそれは……本当に『刀聖軍』に相応しい顔触れだって事か。
何だか、相手に取る事になる連中の方にも、少し同情してしまうね」
ヒロシはまた苦笑いをし、そんな皮肉を漏らした。
「――して、ショウゾウ……謀反一派の動きは?」
ショウゾウには、先行してテンラクや謀反一派の動きを調べさせていたアオイは、その報告を催促する。
「八番隊が――北コク軍五千を加えて、北方の制圧に乗り出したらしい、"ヤハン"を経由してな」
「――っ!?」
ショウゾウが、落ち着いた声音で言ったその報に、全員が険しい表情を浮かべ――
「コレはやられたね……
テンラク様から、ミスズたち六番隊が篭る北方砦に至るには――東砦がある、ハクキへの街道じゃないと、治外法権が認められている"ヤハン学園都市"を通る必要が出て来るから、てっきり僕ら三番隊とやり合う方が、先だと思ってたんだけど……」
――開口一番、地図を睨んで、そう悔し気に呟いたのは、もちろんヒロシだった。
ショウゾウやヒロシの口から出た、ヤハンという場所は――ツクモ唯一の大学、"オウレン大学"が設けられている場所で、"学園都市"という位置付けを持つヤハンの街には、クリ社や士団からは独立した、オウビと同等の治外法権が認められており、そのオウレン大学と学生組合、両者の執行部の折衝によって、合同で街を運営している。
錯綜した今の現状では、定かとは言えないが――翼域の中では比較的、その特性を利してテンラクでの動乱の影響を受けていないというのが、もっぱらの推察であった。
「大学か学組のどちらか――いや、その両方が北コクに同調したか?
確か――民守のヒコザを始め、北コクの閣僚のほとんどがオウレンの卒業生だし、それは南コクのユキオら共佑党の面々とて同じ。
両者とも、時期こそはずれるが、在学時は学組の頭目をしていたはず――言うなれば、オウレン大は彼奴ら革新派の本山と言っても良い」
ヨシゾウはまた補足する形で、自分の見解を込めた推察を話す。
「……なるほどね。
学び舎を司る様な者たちが、その様な計略の片棒を担ぐワケがないと思っていた――こういう点を読み違えてしまう辺りが、こうした思慮の浅さが、僕ら士団の弱点の様だね……恥ずかしながら」
ヨシゾウの推察を聞いたヒロシは、噛み締める様に数度頷きながら、ハルと目線を合わせてそう呟いた。
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