公爵家令嬢リリスの武闘伝説

竹本 芳生

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今日も良い天気

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あーあー本日も晴天なり!
私リリスは、今日も元気で御座います。
最近では毎日毎日、王妃様と一緒にシャドーボクシングをしたり。
タイキックの練習をしたり、絞め技の研究をしたり、様々な蹴り技を練習したりと大忙しです。
最早、お父様も国王様も高位貴族の方々も何も言いません。
ごちゃごちゃ言われないってストレスフリーで素晴らしいです。
おっと、本日は王宮にて夜会が行われるんです。
暫く諸外国に行ってた、外交官の何とかって伯爵が帰ってくるからです。
伯爵夫人が病弱で令嬢を伴って、外交に励むなんて素晴らしい方ですよね?
私もそんな素晴らしい方に会えるのかと思うと、今から胸がドキドキします。
伯爵様、どんな方なのかしら?

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
夜です。王宮です。夜会に来ました。
……………まさかのイベント発生のようです。
なんてこったい!
大広間のど真ん中から、王家の方がいらっしゃる席まで見通し良くなってます(笑)
貴族どころかボーイもメイドも、だーれもいません。
音楽も鳴り止んでしまって、シーンとしてます。

「陛下っ!ジュリウス殿下の婚約者に我が娘をと申し出ようとしたのに、何故リリス嬢が婚約しておられるのかっ!」

えー?王妃様からのリクエストですが、何か?

「だいたいリリス嬢はジャスティス殿下の婚約者だった筈ですが!どういう事ですかっ!」

どーもこーもねーよ。
ジャァァァスティーーースッ!は自分の正義を貫いて廃嫡したがなwww

「貴様がジュリウス殿下を誑かした悪女リリスか、私はガマエル伯爵家に使える騎士ドリエルだ。」

なんて言うか、イケメンマッチョがつまんない事言って来ました。
しかも呼び捨てで悪女とか、正直ムカつきます。
ぶん殴るぞ……

「初めまして、リリス様。私ジャスミンと申しますの。申し訳ありませんが、ジュリウス殿下は諦めて下さいませ!私がジュリウス殿下と婚約致しますから。」

はーいはい、聞くだけなら只だしな。
親も親なら、子も子かぁ!しかも仕えてる騎士がアレとか!ムカつき倍増さらに倍!

「良いぞ、ジャスミン!その悪女から殿下をお救いするのだ!」

ガマエル伯爵、良い感じに邪魔だな!
つーか、ガマエルと言うよりガマガエルだろ。
太っちょボデーに脂ギッシュなブツブツフェイスとか、ちょっとしたスルー物件だぞ。

「ドリエル、あの悪女をやっつけて頂戴!」

はい、ケンカ売ってきたー!
よし!言い値で買ったー!

「悪女リリス、覚悟しろ!」

「そっちこそな。」

後ろから応援されてます(笑)
ーやっちゃえ!やっちゃえ!ー
って声が聞こえてますから!!
相手が動き出す前に……

「しょーーーりゅーーーけん!からのエアリアルコンボォ!」

ドリエル、ボッコボコにしたりました。
顔とかボコボコに変形しましたが、知ったこっちゃ無いです(笑)
ピクリともしません、が一応聞いとくか?

「ドリエル?だっけ?返事しなさいよ。誰が悪女なの?」

グイグイと足でドリエルを踏んで聞いてみましたが、返事は無いです。

「返事が無い。どうやら只の屍のようだ。」

しょうがない。
何とか言う伯爵令嬢とやり合うか……
くるーりと振り返り、令嬢をひたと見詰める。
大きく目を見開き、ガクガクブルブルしているが仕方ないよねー?
ドリエルの頭をガッと掴み、ポォーイと令嬢の方にぶん投げる。
が、そんなに飛ぶ訳も無く近くにボタリと落ちた。
やはりピクリとも動かなかった。

「よしっ!では、その屍を越えて行くっ!」

来いとは言えないし、来ないかも知れないからねー(笑)
屍、越える時に何かグニッとした柔らかいモノを踏んづけた時「ウギャッ」て聞こえたけど屍だから仕方ないと思って無視しました。
不思議と遠巻きにしていた貴族達からやれヒドイだの人でなしだの聞こえましたが、今は無視です!忘れないけどね!
ちょっとだけ、距離を取ります。
勢いをつけるためにね!

「では、押して参る!」

駆けだした瞬間、ピョンって飛びました……令嬢が。
五体投地してました……生で見るの初めてー(棒)

「ムリですっ!ムリですっ!しょーりゅーけんとか言っちゃう人相手にバトるとか無理ゲーです!勘弁して下さい!」

はい、やる気失せました。
無理ゲーとか、令嬢よチミも私と同じ転生ってやつですか?
しょうがないなー、あんなに細かったらポキンとしちゃうかもだしね!

「何を言っとる!お前が頑張らなければ、私の出世はどうなる!」

チッ……ガマガエル………何言ってやがる………
お前はアウトじゃ……
ツカツカとガマガエルの横まで進む。

「ガマガエル、アウトーーーー!ガマガエル、タイキックゥ!」

ズバァァァァァァァァァァンッッ
「ウギャァァァァァァ」
ドタッ
ゴロゴロゴロォッ

思いっきりタイキックかましました。
ガマガエルのボディーは吹っ飛びましたが、ドリエルの体で躓き転がって行きました。
止まった所はナイスポジションです。
なんと王妃様の目の前です、良かったですね。

「ぶっ……無礼なっ!私は伯爵なんだぞっ!それを!」

あっ王妃様が立ち上がりました。
中指立ててます、イキってますか?

「やっておしまいっ!」

はい、OKサインとGOサイン出ました~
とりあえず、ビンタでもするか?
ガマガエルに近づきつつ、ゴキゴキと指を鳴らします。

「ガーッデーム!」

ビンタと言えば、この掛け声でしょう。
ガマガエルがビクッとしましたが、キニシナイ!
取っ捕まえて、思いっきりビンタです。

バッチィィィィンンン
「グァァァァァァ!」

「何をっ」

バッチィィィィンンン

「自分のっ」

バッチィィィィンンン

「娘をっ」

バッチィィィィンンン

「盾にっ」

バッチィィィィンンン

「しようとっ」

バッチィィィィンンン

「してんだ!許さなくてよ!」

タイキック!を決める!
パッと手を離し、タイキックを決めようとした瞬間
ガマガエルは必死な形相で、体を捻り避けた!
だが、負けられぬ!
軸足を変えて、再度蹴り込む!
……あれ?勢いマシマシになった?ヤバっ死ぬかも?

ズバシィィィィッッッッンンン!!!

ガクゥンンン!

床に叩きつけたかの様に沈みました。
びっくりする程の威力でした。

パチパチパチパチパチパチッ
「素晴らしい!素晴らしい蹴りだったわ!流石よぉっ!」

激しい拍手と喝采の元は王妃様です。
ぶれてないです。流石です。

「衛兵!ガマガエルを片付けなさい。」

王妃様、ガマガエルは正しくないですよ。
なのに異論が一言も出てきません。
これが人徳と言うやつですかね?

「王妃様、かの令嬢を伯爵家に返すのは些か不安です。王宮に召し抱えて頂けませんか?」

あんなガマガエルの元にいたら、不幸になっちゃう。
せっかくの五体投地令嬢なんだから、大事にしたいわぁ。

「宜しいでしょう。今から王宮にて勤めるよう命じます。また、リリス嬢が入宮した後リリス嬢付き侍女としましょう。よろしいですね?」

私に異論は無いよ。

「畏まりました。」

チロリと五体投地令嬢を見ると、ガクガクと頷いていました。
いまだ、五体投地のままです。

「はいっかしっ……畏まりましたぁ!」

おっ?衛兵がやって来ました。
衛兵2人が手と足を持ち上げ………持ち上がりませんでしたー!(笑)
1人の衛兵がハンドサインを出しました。
さらに2人追加です。
4人がかりで手足を持ち上げました。
アレに似てるなー。

「ガマガエルの豚の丸焼きスタイル」

あっ声に出ちゃった!
衛兵4人がガクリと膝を付き、震えてます。
静まり返った大広間に私の声が響いてしまいました。
恥ずかしいっ!

ープッー

「ガマガエルっ!豚の丸焼きっ!素晴らしいわっ!」

王妃様、大うけです。
国王様も大うけです。
大広間に居る、皆様方も爆笑です。

アレです。

王妃様も笑ってるー
皆も笑ってるー
るーるーる、るるっるー
今日も良い天気ー!

てなもんです、どっとはらい。

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