178 / 756
正妃の部屋へと向かう側妃達 注意!このお話は少し未来のお話です!
しおりを挟む
「ミーネ、行くのは良いのだけどうんと温かくしないとダメよ。とても寒いから。」
アンナったら心配性ね。
いえ、でも何も無いって……絨毯も壁掛けも何も無いのかしら?
「アンナが言うなら、温かくするわ。」
多分、本当に何も無いんだわ。だから温かくしないとダメなのね。
「ええ、私も身支度を整えて来るから待っていて頂戴。」
「分かったわ。」
これは本気だわ。本当に温かくしないと……
アンナは美しい所作で立ち上がり、侍女を連れて自室へと帰って行った。
「正妃様の部屋に行くのだけど、温かい恰好でと忠告されたわ。きっと暖房も僅かで魔道具も持ち込んでないと思うの、毛織のドレスコートと肩掛け……それと毛織の帽子も被って行くべきかしら?」
「畏まりました、白のドレスコートと肩掛けを持って参りましょう。毛織の帽子ですか……フードの方がよろしいのでは?」
んー?フードなら耳まで温かいわね。
「そうね、フードにして頂戴。手袋……薄いでしょう手袋もお願い。」
「承知致しました。」
侍女はサッとクローゼットに向かい、すぐに様々な物を持って来る。
ドレスコートはドレスにぴったり合うように作られたコートで、ぱっと見毛織のドレスにも見えて色々と都合が良くて何枚か色違いで作って貰った。
ドレスの上から着込み、ベルトを締めて貰い整えて貰う。その上に肩掛けをつけては貰いブローチで首元を飾り、フードを被せて貰う。
薄い毛織の手袋をつけて貰って、まるで外に行くかと思う恰好だとつい笑ってしまう。
ドレスコートの裾は毛足の長い毛皮が縫い付けられていて、足元に冷気が漂わないようになっている。
「ミネルバ様、アンネローゼ様がおいでになりました。」
「そう、では行くわ。」
スタスタとアンナの元へと歩き出す。
アンナも私と同じような恰好だった。白い毛皮の濃い緑のドレスコートに同色の首まで覆う肩掛け、白い毛皮のフチドリがある緑のフードを被り白い薄い毛織の手袋をはめて立っていた。肩掛けを飾る月光石のブローチがとても上品で可愛らしい意匠で、フードの裾からチラチラ見えて素敵だわ。
「可愛くってよ、ミーネ。」
「アンナもとっても素敵。」
「さ、行きましょうか。侍女長とばあやも一緒だけど構わないわよね。」
「勿論ですわ。」
アンナはばあやさんと侍女長を、私は侍女長と家からの侍女を連れて行く。
コツコツとアンナの連れてきた侍女長の案内で正妃が住む階上へと赴く。
これ程までに温かい恰好で向かわなければいけない場所、それがあの正妃の部屋。
アンナったら心配性ね。
いえ、でも何も無いって……絨毯も壁掛けも何も無いのかしら?
「アンナが言うなら、温かくするわ。」
多分、本当に何も無いんだわ。だから温かくしないとダメなのね。
「ええ、私も身支度を整えて来るから待っていて頂戴。」
「分かったわ。」
これは本気だわ。本当に温かくしないと……
アンナは美しい所作で立ち上がり、侍女を連れて自室へと帰って行った。
「正妃様の部屋に行くのだけど、温かい恰好でと忠告されたわ。きっと暖房も僅かで魔道具も持ち込んでないと思うの、毛織のドレスコートと肩掛け……それと毛織の帽子も被って行くべきかしら?」
「畏まりました、白のドレスコートと肩掛けを持って参りましょう。毛織の帽子ですか……フードの方がよろしいのでは?」
んー?フードなら耳まで温かいわね。
「そうね、フードにして頂戴。手袋……薄いでしょう手袋もお願い。」
「承知致しました。」
侍女はサッとクローゼットに向かい、すぐに様々な物を持って来る。
ドレスコートはドレスにぴったり合うように作られたコートで、ぱっと見毛織のドレスにも見えて色々と都合が良くて何枚か色違いで作って貰った。
ドレスの上から着込み、ベルトを締めて貰い整えて貰う。その上に肩掛けをつけては貰いブローチで首元を飾り、フードを被せて貰う。
薄い毛織の手袋をつけて貰って、まるで外に行くかと思う恰好だとつい笑ってしまう。
ドレスコートの裾は毛足の長い毛皮が縫い付けられていて、足元に冷気が漂わないようになっている。
「ミネルバ様、アンネローゼ様がおいでになりました。」
「そう、では行くわ。」
スタスタとアンナの元へと歩き出す。
アンナも私と同じような恰好だった。白い毛皮の濃い緑のドレスコートに同色の首まで覆う肩掛け、白い毛皮のフチドリがある緑のフードを被り白い薄い毛織の手袋をはめて立っていた。肩掛けを飾る月光石のブローチがとても上品で可愛らしい意匠で、フードの裾からチラチラ見えて素敵だわ。
「可愛くってよ、ミーネ。」
「アンナもとっても素敵。」
「さ、行きましょうか。侍女長とばあやも一緒だけど構わないわよね。」
「勿論ですわ。」
アンナはばあやさんと侍女長を、私は侍女長と家からの侍女を連れて行く。
コツコツとアンナの連れてきた侍女長の案内で正妃が住む階上へと赴く。
これ程までに温かい恰好で向かわなければいけない場所、それがあの正妃の部屋。
174
あなたにおすすめの小説
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます
珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。
そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。
そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。
ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる