婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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正妃の部屋へと向かう側妃達 注意!このお話は少し未来のお話です!

「ミーネ、行くのは良いのだけどうんと温かくしないとダメよ。とても寒いから。」

アンナったら心配性ね。
いえ、でも何も無いって……絨毯も壁掛けも何も無いのかしら?

「アンナが言うなら、温かくするわ。」

多分、本当に何も無いんだわ。だから温かくしないとダメなのね。

「ええ、私も身支度を整えて来るから待っていて頂戴。」

「分かったわ。」

これは本気だわ。本当に温かくしないと……
アンナは美しい所作で立ち上がり、侍女を連れて自室へと帰って行った。

「正妃様の部屋に行くのだけど、温かい恰好でと忠告されたわ。きっと暖房も僅かで魔道具も持ち込んでないと思うの、毛織のドレスコートと肩掛け……それと毛織の帽子も被って行くべきかしら?」

「畏まりました、白のドレスコートと肩掛けを持って参りましょう。毛織の帽子ですか……フードの方がよろしいのでは?」

んー?フードなら耳まで温かいわね。

「そうね、フードにして頂戴。手袋……薄いでしょう手袋もお願い。」

「承知致しました。」

侍女はサッとクローゼットに向かい、すぐに様々な物を持って来る。
ドレスコートはドレスにぴったり合うように作られたコートで、ぱっと見毛織のドレスにも見えて色々と都合が良くて何枚か色違いで作って貰った。
ドレスの上から着込み、ベルトを締めて貰い整えて貰う。その上に肩掛けをつけては貰いブローチで首元を飾り、フードを被せて貰う。
薄い毛織の手袋をつけて貰って、まるで外に行くかと思う恰好だとつい笑ってしまう。
ドレスコートの裾は毛足の長い毛皮が縫い付けられていて、足元に冷気が漂わないようになっている。

「ミネルバ様、アンネローゼ様がおいでになりました。」

「そう、では行くわ。」

スタスタとアンナの元へと歩き出す。
アンナも私と同じような恰好だった。白い毛皮の濃い緑のドレスコートに同色の首まで覆う肩掛け、白い毛皮のフチドリがある緑のフードを被り白い薄い毛織の手袋をはめて立っていた。肩掛けを飾る月光石のブローチがとても上品で可愛らしい意匠で、フードの裾からチラチラ見えて素敵だわ。

「可愛くってよ、ミーネ。」

「アンナもとっても素敵。」

「さ、行きましょうか。侍女長とばあやも一緒だけど構わないわよね。」

「勿論ですわ。」

アンナはばあやさんと侍女長を、私は侍女長と家からの侍女を連れて行く。
コツコツとアンナの連れてきた侍女長の案内で正妃が住む階上へと赴く。
これ程までに温かい恰好で向かわなければいけない場所、それがあの正妃の部屋。
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