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さて、少し体を動かすか。(キャスバル&レイ)
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あの水と朝食で重たかった頭もスッキリとしたし、体も軽い。このまま部屋に戻っても、やる事も無いしヘタに父上の部屋に近付けば見たくもない山積みの仕事に直面する。
「レイ、少し腹ごなしに体を動かすか?」
目を細め、口角を僅かに上げるレイの笑顔は少しだけ黒い。
「宜しいですね。で、どの様に動かしますか?」
「兵舎に行くぞ。」
「はい。」
兵舎はこの本館から新館を突っ切り、外に出て通路と街路樹を突っ切った所にある。我が家の兵舎は大きく高さもそれなりにあるし、雪や雨の日でも兵舎の中で鍛錬が出来る。訓練用の武器もありとあらゆる種類が置かれ、自分に合った武器を見つける事も容易い。
…………兵舎に来たのは良いが、エリーゼの専属護衛の者達が全員ふんどし姿で鍛錬していた。なぜかエリーゼの専属護衛だけが、あの姿で鍛錬するんだよな……
「キャスバル様、彼等には挨拶も不要です。無視して構いません。」
レイの言葉に驚いたが、更に驚く事を言われるとは思わなかった。俺の隣に来ると小声で囁く。
「キャスバル様、彼等はエリーゼ様に打たれたり踏まれる事を喜ぶような者達です。ヘタに近付かない事が大事です。」
……俺の可愛いエリーゼに?打たれたり踏まれたりだと!何をさせてるんだあの者達は!思わず振り返って殴ってやろうかとも思ったが、レイが厳しい目付きで見つめてくる以上動かない事が大事だろう。父上や母上は知って……知っていたに違いない。特に母上、母上が色々指導なされたのか……なら構うのは得策では無いか……
「さ、キャスバル様。お好きな得物でどうぞ。私は長槍に致します。」
刃も長く、柄も長い長槍は近接武器の中では距離を取れる武器だ。片手剣の長めの物と普通の長さの物を手に取る。普段は大剣だが、手合わせならば使いやすい物の方が良い。
連中から離れた場所で軽く互いの武器を合わせる。刃は潰してあるから切れはしないが当たれば衝撃は来る。
ブゥンと長槍が振られ、剣で受け流し空いている剣を長槍の柄目掛けて振るう。当たる前に引かれ突かれる。何度となく手合わせてきたのだ、息をするように受けては流し流しては受ける。舞うように互いの武器を振るい、避ける。どれ程の間、そうしていたのだろう。僅かに上がった息と流れる汗を感じてガチン!と武器を合わせて止める。
「ありがとうございました。」
礼を言い頭を下げるレイ。
「良い手合わせだった。ありがとう。」
俺も礼を言い頭を下げる。
顔を見合わせ笑い合う。こんな風に何のてらいもなく手合わせをするのは、楽しい。
「さ、部屋に戻って湯あみを頼む。」
「勿論です、キャスバル様。」
一緒に武器を元の場所に戻し、兵舎を後にする。隣を歩くレイから立ち上る香りに思わずニヤリと笑う。湯の中でうんとほぐしてやろう。チラリと俺を見るレイがトロリとした笑みを溢す。何も言わないし、聞かない。その必要も無い。
「レイ、少し腹ごなしに体を動かすか?」
目を細め、口角を僅かに上げるレイの笑顔は少しだけ黒い。
「宜しいですね。で、どの様に動かしますか?」
「兵舎に行くぞ。」
「はい。」
兵舎はこの本館から新館を突っ切り、外に出て通路と街路樹を突っ切った所にある。我が家の兵舎は大きく高さもそれなりにあるし、雪や雨の日でも兵舎の中で鍛錬が出来る。訓練用の武器もありとあらゆる種類が置かれ、自分に合った武器を見つける事も容易い。
…………兵舎に来たのは良いが、エリーゼの専属護衛の者達が全員ふんどし姿で鍛錬していた。なぜかエリーゼの専属護衛だけが、あの姿で鍛錬するんだよな……
「キャスバル様、彼等には挨拶も不要です。無視して構いません。」
レイの言葉に驚いたが、更に驚く事を言われるとは思わなかった。俺の隣に来ると小声で囁く。
「キャスバル様、彼等はエリーゼ様に打たれたり踏まれる事を喜ぶような者達です。ヘタに近付かない事が大事です。」
……俺の可愛いエリーゼに?打たれたり踏まれたりだと!何をさせてるんだあの者達は!思わず振り返って殴ってやろうかとも思ったが、レイが厳しい目付きで見つめてくる以上動かない事が大事だろう。父上や母上は知って……知っていたに違いない。特に母上、母上が色々指導なされたのか……なら構うのは得策では無いか……
「さ、キャスバル様。お好きな得物でどうぞ。私は長槍に致します。」
刃も長く、柄も長い長槍は近接武器の中では距離を取れる武器だ。片手剣の長めの物と普通の長さの物を手に取る。普段は大剣だが、手合わせならば使いやすい物の方が良い。
連中から離れた場所で軽く互いの武器を合わせる。刃は潰してあるから切れはしないが当たれば衝撃は来る。
ブゥンと長槍が振られ、剣で受け流し空いている剣を長槍の柄目掛けて振るう。当たる前に引かれ突かれる。何度となく手合わせてきたのだ、息をするように受けては流し流しては受ける。舞うように互いの武器を振るい、避ける。どれ程の間、そうしていたのだろう。僅かに上がった息と流れる汗を感じてガチン!と武器を合わせて止める。
「ありがとうございました。」
礼を言い頭を下げるレイ。
「良い手合わせだった。ありがとう。」
俺も礼を言い頭を下げる。
顔を見合わせ笑い合う。こんな風に何のてらいもなく手合わせをするのは、楽しい。
「さ、部屋に戻って湯あみを頼む。」
「勿論です、キャスバル様。」
一緒に武器を元の場所に戻し、兵舎を後にする。隣を歩くレイから立ち上る香りに思わずニヤリと笑う。湯の中でうんとほぐしてやろう。チラリと俺を見るレイがトロリとした笑みを溢す。何も言わないし、聞かない。その必要も無い。
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