婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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年末の職人達

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新年まで後一週間という頃。
エルフの集落から連日連夜雄叫びが聞こえる。

「ちくしょー!織機の調節が上手く出来ねぇ!」

「染め粉の入り具合がっ!」

「糸が扱い難い~!」

初めての糸で織り上げる事すら時間が掛かる。
糸を受け取り、使えるように処理したまでは良かった。
問題はその後だった。
エルフ達の織機は幅が違う故、借りる事が出来なかった。
織機自体はよく似てる……だが、自分達の使い慣れた織機が良い何とか職人達は調節してみるも苦労の連続。
エルフ達も手伝おうと言ってくれたが、それは申し訳ないと断ったが頼めば良かったと後悔していた。
聞けば糸を受け取ってこら一月は織る事が出来ずにいたとか……
だが、シルヴァニアから来た職人達はこの糸で作った着物はどれ程美しいか……その着物を染め上げ刺繍して……
初めて見たエリーゼ様が自分達の手で作り上げた着物を着た姿を想像し、皆奮起した。
だが、今から不眠不休で作り上げる事は不可能だと皆分かっていた。
織進まない織機。
だが諦めきれずに僅かばかりでも織っていく。
せめて刺繍糸でも染め上げたいと頑張る者達は染め粉の色が思うより入らない事を嘆く。
糸を解して使えるように巻いていくのも、細くなよやかな柔らかい糸に苦戦する。
あのエルフ達ですら、最初は苦労の連続だったのだ。
だが苦労したからこそ、無事織り上げドレスを作り上げた時は皆泣いて喜びを分かち合ったのだ。

そんな姿の職人達を影からそっと見るエルフ達は皆、心の底から応援していた。
同じ職人なのだ。
だからこそ見守っていた。


だが、彼等は知らない。
勝手にライバル視していたチビナビちゃん達が滅多矢鱈と着物を作り上げていた事を……
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