740 / 756
此度の旅路の始まりは (帝国皇太子※ルークパパ)
しおりを挟む
やっと王国に入って、シュバルツバルト侯爵家私兵に守られ広く整備された街道を進んでいる。
此度の旅は帝国内はそれ程でも無かったが、王国に入ってからは中々刺激的で楽しい旅となっている。
初日に大型と呼ばれる大きな魔物の鳴き声を聞いて驚き、どうなる事かと思ったがシュバルツバルト侯爵家私兵達は落ち着いたもので、淡々と対処していた。
余にも余程でも無い限り襲っては来ないと告げ、そうこうしてる内に鳴き声は止み野営食とやらを振る舞ってくれた。
この野営食が驚くほど美味で、つい腹がはち切れるのではないかと思うほど食べてしまった。
聞いた事もない料理……そうだ、フライドポテトを是非ともと言われ一口食べて大変気に入った。
何でも普段であれば野営の時は油は貴重だから作らないのだが、シュバルツバルト侯爵領では大人気の料理なので何としても一番に振る舞いたく無理してくれたのだそうだ。
「ふむ……フライドポテトねぇ……」
そんなに人気な料理とは思えぬ。そう思い湯気の立つ茶色い、少々不格好な物を一つフォークで刺し口元に持ってくる。
「熱い内にお召し上がり下さい。ワインもあります!幾ら目の前で調理したと言ってもお毒味が必要でしたね!ささ!お毒味殿もどうか熱い内に!」
興味深い料理故、毒味の事を忘れていた。毒味も初めて見る料理に暫し己の役目を忘れていた様だ。
「ハッ!いや……では、早速」
毒味係はそう言うと、躊躇いもなくフォークで突き刺すとそのまま口の中へと放り込む。
「ムホッ!……ム……ホッ……ホッ……」
熱かったのかハフハフと息を漏らしながら咀嚼している。
「これはっ!これは何ともワインが飲みたくなる料理ですな!塩だけの味付けなのに何ともホクホクとし、仄かな甘味を感じる!いやぁ、これは美味い!殿下、毒は無さそうですがある意味毒ですぞ!王国から離れがたくなる……と言う毒ですな!わっはっはっ!」
毒味係は大声で笑ったが、それ程までの料理なのかと胸が躍る思いだった。
折角の料理、熱い内にと勧められたのならばとそのまま齧り付けば確かに塩の味がする。
やがてホロリと口の中で解けるように広がったのは仄かな甘味。
塩味との相性が余程良いのか、これは幾らでも食べれそうだ。
口の中を冷ます為に冷やされたワインを一口飲む。
これも既に毒味係が飲んだ後故、大丈夫と判断した。
「うむぅ……これは……」
言葉が上手く紡げない。喋るよりも早く手が次のフライドポテトへと伸び、ワイングラスを置くのも忘れ少々熱いフライドポテトを食べる。
「どうですか?気に入って頂けましたか?どんどん揚げていきますので、好きなだけ食べて下さい!」
「うむ!」
塩味を感じた後に仄かな甘味を感じ、冷えたワインで流し込む……そのワインの後味も良く、ついつい次のフライドポテトへと……
これはいかん。手が止まらぬ……
だが、どんどん揚げていきますとか言っていたが余ったらどうするのだ?
「そうそう、食べきれなくなったら皆で分けるので心配ご無用です!」
そうか……ならば安心して食べれる。
シュバルツバルト侯爵領とは美食の領なのだな。
そう言えば父上が彼の地は想像を遥に越えた美味がある様だ……とぼやいていたな。
これは期待しても良いだろう。今まで勘を外した事が無かったが、今回も外してはいなかったと自慢しても良かろう。
ああ……それにしても手が止まらぬ……
何とも幸先良い王国の旅路の始まりだ。
此度の旅は帝国内はそれ程でも無かったが、王国に入ってからは中々刺激的で楽しい旅となっている。
初日に大型と呼ばれる大きな魔物の鳴き声を聞いて驚き、どうなる事かと思ったがシュバルツバルト侯爵家私兵達は落ち着いたもので、淡々と対処していた。
余にも余程でも無い限り襲っては来ないと告げ、そうこうしてる内に鳴き声は止み野営食とやらを振る舞ってくれた。
この野営食が驚くほど美味で、つい腹がはち切れるのではないかと思うほど食べてしまった。
聞いた事もない料理……そうだ、フライドポテトを是非ともと言われ一口食べて大変気に入った。
何でも普段であれば野営の時は油は貴重だから作らないのだが、シュバルツバルト侯爵領では大人気の料理なので何としても一番に振る舞いたく無理してくれたのだそうだ。
「ふむ……フライドポテトねぇ……」
そんなに人気な料理とは思えぬ。そう思い湯気の立つ茶色い、少々不格好な物を一つフォークで刺し口元に持ってくる。
「熱い内にお召し上がり下さい。ワインもあります!幾ら目の前で調理したと言ってもお毒味が必要でしたね!ささ!お毒味殿もどうか熱い内に!」
興味深い料理故、毒味の事を忘れていた。毒味も初めて見る料理に暫し己の役目を忘れていた様だ。
「ハッ!いや……では、早速」
毒味係はそう言うと、躊躇いもなくフォークで突き刺すとそのまま口の中へと放り込む。
「ムホッ!……ム……ホッ……ホッ……」
熱かったのかハフハフと息を漏らしながら咀嚼している。
「これはっ!これは何ともワインが飲みたくなる料理ですな!塩だけの味付けなのに何ともホクホクとし、仄かな甘味を感じる!いやぁ、これは美味い!殿下、毒は無さそうですがある意味毒ですぞ!王国から離れがたくなる……と言う毒ですな!わっはっはっ!」
毒味係は大声で笑ったが、それ程までの料理なのかと胸が躍る思いだった。
折角の料理、熱い内にと勧められたのならばとそのまま齧り付けば確かに塩の味がする。
やがてホロリと口の中で解けるように広がったのは仄かな甘味。
塩味との相性が余程良いのか、これは幾らでも食べれそうだ。
口の中を冷ます為に冷やされたワインを一口飲む。
これも既に毒味係が飲んだ後故、大丈夫と判断した。
「うむぅ……これは……」
言葉が上手く紡げない。喋るよりも早く手が次のフライドポテトへと伸び、ワイングラスを置くのも忘れ少々熱いフライドポテトを食べる。
「どうですか?気に入って頂けましたか?どんどん揚げていきますので、好きなだけ食べて下さい!」
「うむ!」
塩味を感じた後に仄かな甘味を感じ、冷えたワインで流し込む……そのワインの後味も良く、ついつい次のフライドポテトへと……
これはいかん。手が止まらぬ……
だが、どんどん揚げていきますとか言っていたが余ったらどうするのだ?
「そうそう、食べきれなくなったら皆で分けるので心配ご無用です!」
そうか……ならば安心して食べれる。
シュバルツバルト侯爵領とは美食の領なのだな。
そう言えば父上が彼の地は想像を遥に越えた美味がある様だ……とぼやいていたな。
これは期待しても良いだろう。今まで勘を外した事が無かったが、今回も外してはいなかったと自慢しても良かろう。
ああ……それにしても手が止まらぬ……
何とも幸先良い王国の旅路の始まりだ。
221
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる