婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新天地を! 123

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「そこまでだ!」

お父様が拗ねたお顔で止めてくれました。

「討伐成功したであろう。だがエリーゼのお出迎え一つ……畜生!俺もエリーゼにお出迎えされたい!」

「ハインリッヒ……私ではご不満だと?」

お父様の本音がお母様を苛つかせました。どうしてお父様は墓穴を気持ち良く掘ってしまうのでしょうか。

「違っ!フェリシアとエリーゼでは違うだろ!一度くらいエリーゼにお出迎えされたい!小さい頃だけなんだぞ!」

「そうだな」

「確かに」

お父様の泣き言にキャスバルお兄様とトールお兄様も賛同した。

「一度くらい味わってみたいじゃないか!年頃の娘にお帰りなさいお父様!とか言われたい!」

お父様……その願望、今言います?大体、お父様お家で仕事してるじゃない。お出迎えとか無理あるでしょ。

「ハインリッヒ……貴方ったら……その内お出かけしたら、エリーゼだってお出迎え位してくれるわよ。いつも邸にいてお出迎えは無理でしょう」

「そうなんだよ……忙しくて視察にも行けない……」

お父様の泣き言ヒートアップ?

「いい加減湿っぽい事は止めるが良い!今日は忙しくなるんだろう?ならサッサと朝食にすべきだろう」

お祖父さまがお父様を止めました。
こうして無事朝ご飯を済ませ、サロンに移動しました。
サロンには私とお母様とお祖母さまの三人とお母様の侍女トリオとオリー八人でのんびり待機です。

「あら?アニスはどうしたの?」

お母様ったら分かってるくせに聞いてきちゃうのね。

「アニスはキースの為におめかししてます。アニスとキースは婚姻すると決まってますから。もっとも私とルークの後になりますけど」

改めて言っておく。お母様はクスクス笑ってますが、お祖母さまとオリーはちょっとだけビックリしてます。

「まぁ、そうなのね。私達も同じよ、フェリシアもよね。互いの事を良く理解しているもの、都合も良いしずっと一緒にいられるのが良いわよね」

「はい、奥様。別の方だったらついて来て貰うか奥様の元から離れるかのどちらかでしたもの、時々困ってしまう事もあるけど一緒になれて良かったと思いますわ」

オリーのシワだらけの顔が笑顔でクシャリと歪む。
そっか……もしここから出るような事があれば……アニスがキースじゃない人物を選んでれば、その人をここを止めさせてでも呼び寄せなきゃいけなかったんだ……
私の中ではアニスを手放すなんて事考えた事すらなかった。
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