婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新天地を! 131

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シンシアの冷静な声に驚いてシンシアを見ればフワリと髪が靡いた。
シンシアのハーピーが報告に来たんだ。

「ご苦労。特に問題なく領都に入りそうなのね」

「見た限りでは……と。それと朗報です、ルーク殿下は大型を二体討伐したと」

大型を二体?いくら精鋭の領主隊と言っても二体なんて……

「それは素晴らしい。キャスバルもトールも二体は討伐出来なかったわ、エリーゼの婿としては上々だし帝国皇子としても良き事だわ」

ん?時々お母様は変な言葉遣いをする。あえて言うなら昔の日本語的な……言い回しとか……シルヴァニアの里の言い回しなのかしら?

「もう、領都に入ってくる……帰って来るのね……」

どうしよう。早く会いたい!ルークの元気な顔が見たい!
つい立ち上がって窓の外を見つめる。
走って……走って出迎えて無事を確認して抱き締めたい!

「エリーゼ、落ち着きなさい。今ここで邸を出る事は許しません」

「お母様!」

お母様の言葉に泣きそうになる。
言い返したくてお母様を見て、言葉が出なかった。
お母様も何かを堪えるような表情だった。

「恋しい方を出迎えたい気持ちは痛い程分かります。でも、出迎えたいのは私達だけではない。領都には四番隊の家族も住んでる。領民に譲り、私達はここで彼等が来るのを待つのです」

そうだ……お母様の言葉通りだ……私ったら、自分の事ばかり……

「フフフ……エリーゼは貴女に良く似てるわね、フェリシア。エリーゼ。フェリシアもね、こちらに来たばかりの時はソワソワして飛びださんばかりだったのよ」

お祖母さま……

「ええ。私もお義母様に同じ様なことを言われたわ。だからね、エリーゼ。一緒にここで待ちましょう」

「……はい、お母様。お祖母さま」

そっか……お祖母さまもお母様も同じ思いで待っていたんだ。
私……だけじゃない。きっとずっと、同じ思いで待ち続けたんだ……何代も何代も……恋しい人、愛する家族を……
シュバルツバルト家に嫁いだ女性は強いと言うけど、最初から強かった訳じゃないと思う。強くならざるをえなかった……じゃないと生きてられない。

「エリーゼ、落ち着いて座ってなさい」

自分が立ちっぱなしな事を忘れてた。お母様に言われて、静かに座り直した。

「お待たせ致しました……」

やけに気合いの入ったアニスがやっと来た。
……てか、気合いが入りすぎてる気がするYO!
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