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新天地を! 149
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「ホホホ……若いと場所も弁えないのかしら?」
ヒッ!お母様の冷たい声がっ!
「もっ!申し訳ありませんっ!」
ルークが私を抱き締めたまま謝りました。
「まあ、今日は仕方ありません。中庭で涼んでらっしゃい」
「後の事は心配なさらなくて良いですよ」
お母様の困ったような顔と声が二人で中庭に行けと言ってる。
エミリも後押ししてくれてる。
「はい。ルーク……行こ」
「ああ。では失礼します」
ルークに肩を抱かれ、四番隊隊員達を避けるように端を歩いてエントランスへと向かう。
邸に入ってもドレスコートを脱がずに中庭へと向かう。
月明かりの中、煌めく噴水の水。
冬枯れの中庭は寂しいものだけど、それよりもルークに肩を抱かれたままベンチに座り煌めく水飛沫を眺める。
何も話されない、何も話せない……聞こえるのはサアサアと落ちる水の音。
ソロリと頬をルークの指先が撫で、ゆっくりと顎が上げられる。
近付くルークの顔に恥ずかしさと期待で瞼を閉じる。
優しく軽い口付けを何度もして、ペロリと唇を舐められ僅かに開いた唇からルークの舌先が侵入してくる。
絡めた舌と何度となく角度を変えられ口腔を犯されるような口付けをされた。
力強く抱き締められた肩も荒い息遣いで犯された口腔も悦びで震えた。
離れていくルークの温もりが切なくて寂しくて……もっとと強請りたいのに、それは許されない事で何も言えなかった。
顔に当たる風が冷たくて、それは私が泣いてるからだって分かって胸が痛い。
「春まで。春までだ、頑張ろう」
「ん……」
「おいで……」
「どこに?」
「膝の上」
何も言わずに立ち上がりルークの膝の上に横座りするとグイと強く抱き寄せられた。
「暫く……暫くこのままで……」
膝からも胸からも、私を抱き寄せる腕からルークの体温が伝わる。
その暖かさにトロトロと瞼が重くなる。
落ち着く暖かさ……頼り切っても良いと安心出来る腕の中で私は寝てしまった。
気が付けば夜明け前、視線だけ彷徨わせれば自室のベッドの中いつものようにアニスもカワイコちゃん達もいた。
「あのまま寝ちゃったんだ……」
ポソリと呟いても誰も聞いてない。
あの温もりも熱さも夢なんかじゃなかったと確かめたいけど、窓の外からまだ聞こえる声にやっぱり夢じゃなかったと思う。
前庭で振る舞いがある時はいつだって夜明け前まで誰かしら飲んだくれてるから。
きっとドワーフのオッチャン達やエルフの男衆だろうなと思う。
もう一度瞼を閉じて眠りについた。
ヒッ!お母様の冷たい声がっ!
「もっ!申し訳ありませんっ!」
ルークが私を抱き締めたまま謝りました。
「まあ、今日は仕方ありません。中庭で涼んでらっしゃい」
「後の事は心配なさらなくて良いですよ」
お母様の困ったような顔と声が二人で中庭に行けと言ってる。
エミリも後押ししてくれてる。
「はい。ルーク……行こ」
「ああ。では失礼します」
ルークに肩を抱かれ、四番隊隊員達を避けるように端を歩いてエントランスへと向かう。
邸に入ってもドレスコートを脱がずに中庭へと向かう。
月明かりの中、煌めく噴水の水。
冬枯れの中庭は寂しいものだけど、それよりもルークに肩を抱かれたままベンチに座り煌めく水飛沫を眺める。
何も話されない、何も話せない……聞こえるのはサアサアと落ちる水の音。
ソロリと頬をルークの指先が撫で、ゆっくりと顎が上げられる。
近付くルークの顔に恥ずかしさと期待で瞼を閉じる。
優しく軽い口付けを何度もして、ペロリと唇を舐められ僅かに開いた唇からルークの舌先が侵入してくる。
絡めた舌と何度となく角度を変えられ口腔を犯されるような口付けをされた。
力強く抱き締められた肩も荒い息遣いで犯された口腔も悦びで震えた。
離れていくルークの温もりが切なくて寂しくて……もっとと強請りたいのに、それは許されない事で何も言えなかった。
顔に当たる風が冷たくて、それは私が泣いてるからだって分かって胸が痛い。
「春まで。春までだ、頑張ろう」
「ん……」
「おいで……」
「どこに?」
「膝の上」
何も言わずに立ち上がりルークの膝の上に横座りするとグイと強く抱き寄せられた。
「暫く……暫くこのままで……」
膝からも胸からも、私を抱き寄せる腕からルークの体温が伝わる。
その暖かさにトロトロと瞼が重くなる。
落ち着く暖かさ……頼り切っても良いと安心出来る腕の中で私は寝てしまった。
気が付けば夜明け前、視線だけ彷徨わせれば自室のベッドの中いつものようにアニスもカワイコちゃん達もいた。
「あのまま寝ちゃったんだ……」
ポソリと呟いても誰も聞いてない。
あの温もりも熱さも夢なんかじゃなかったと確かめたいけど、窓の外からまだ聞こえる声にやっぱり夢じゃなかったと思う。
前庭で振る舞いがある時はいつだって夜明け前まで誰かしら飲んだくれてるから。
きっとドワーフのオッチャン達やエルフの男衆だろうなと思う。
もう一度瞼を閉じて眠りについた。
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