婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

新天地を! 160

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……出来る事、出来ない事があるけどきちんと資料を残しておけば将来私がいなくなっても作る事は出来る筈。
産業が栄えれば、仕事が増えて人が集まって街が栄える。
街が栄えればもっと人が増えて、そこへ人も物も出入りする。
流通が途切れるのは苦しい。
商人が来て、いろんな物が出入りすれば外の街に興味が湧く。
うちの領は広い。広いと産出する物もバラエティ豊かになる。
この新しい街……エリノユの街は新しい農産物と大衆浴場の街として栄えるだろうな……
お米はちょっとどうかと思うけど、桃は順次黄桃から白桃へと変わるか新たに果樹園が広げられ白桃園が出来るだろうな……
明るい未来は想像するだけでも幸せ。

「楽しそうだな」

いつの間に来たのか、隣にルークが歩いてる。

「ん。将来を考えたら……ね」

「そうだな。でもきっと良い街になるさ」

「ええ」

「それにしても、こっちと邸の裏とどっちが先だったんだ?」

ん?スーパー銭湯の事よね。

「それはこっち。と言うか、一番最初は来る途中に見た川向こうのスパリゾートなんだけど……炭酸泉見つけてね……だからあそこだけ炭酸風呂があるの」

「炭酸風呂……いや、炭酸泉って事は……」

「うん。昨日のケーキは炭酸泉から採った炭酸水で作って貰ったの」

本当の事です。同じ材料でも、全然出来上がりが違うので!
炭酸は偉大だ!

「コーラ飲みたくなるな……」

「コーラはちょっと難しいな……いや、何かスパイスとかで作るんだと思うけど……今は無理!」

「だよな!サイダー飲みたいな!出来ればピザと一緒に!」

「ピザ?エリーゼ、それは何だ?」

トールお兄様が参戦です。チラッと見ればフレイが期待してるのか目がキラキラしとるがな。

「パンに似た生地の上にトマトで作ったソースと好きな具材を乗せて、その上にチーズをたっぷり乗せて石窯で焼いた物です。石窯が無いのでピザとかドリアとかグラタンとかは出来ません」

いや、本当は出来ます。お家にオーブンあるんで作れるんですけどね。
やっぱり出来たてが一番なんで前庭のコンロの近くに石窯作ろっかな~大っきいやつ♪

「ドリア……グラタン……何だか美味しそうな感じだな」

トールお兄様の言葉にドキン!です。

「エリーゼ……やっちゃったな。石窯造り手伝うよ」

ルークの言葉にちょっと遠い目になりました。

「うん……ありがとう……近々造ろっか……」

決定しました。フレイを見るのが怖すぎて前を真っ直ぐ見つめました。
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