婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

春が来た! 5

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「では早速お散歩に行きましょうか」

フワリと立ち上がったお母様にお祖母さまも立ち上がる。勿論、私も立ち上がりますよ。

「どこをお散歩しようかしら?」

庭と言っても広うござんす。だってちょっとした山全体が敷地で、その頂上付近一帯に邸……領主館と言う名のお城が建ってる訳で。
その邸も増築につぐ増築で巨大化してるのですよ……前庭に中庭が幾つもあるのです。他にも幾つも何たら庭とか、何とか園とかあるのですよ……
その中に私専用の野菜畑とかハーブ園とかもあるのですよ……果樹園も作って貰わないとね……ウフフ……

「別館と新館の間はどうでしょう?」

お祖母さまとお祖父さまが滞在してる別館と、私達の新居となる新館の間は中央の渡り廊下を境に赴きの違う中庭があるのです。
どちらも素敵な中庭でお散歩するのも、お茶会を開くにも良い庭園なのです。

「行ってから決めても良いかしら?」

ゾロゾロと女ばかりで歩き出して中庭を目指してお喋りしながらコロコロと笑う。
別館と新館の間の渡り廊下は二階にあって、その下の一階部分は窓とかの無い石畳の通路で中庭にすぐに出れます。
その石畳へと続く扉を抜けて石畳へと踏み出す。
どちらの中庭も花々が咲いて春を謳歌してる。

「こちらの方にしようかしら」

お祖母さまがそう言って中庭へと踏み出して行った方は銀色のモミの木の美しい方でした。逆側は若緑色のコニファーが美しい方ですが、どちらも植えられた花々のカラーテーマがあるようで銀色のモミの木の方は白がカラーテーマらしく白い花や白っぽい花があちこちに植わってます。
春風に揺れる花々の可愛らしさに癒されます。

「余りこちらは来ないけど、可愛らしいわね。ああ……バラも百合も植えてあるのね。まだ楽しめて良いわねぇ」

お祖母さま良く見てますね。
バラも白いのが何種類か植わってるのよね……葉が違うし、ブッシュの感じも違うから……
前世のお婆ちゃんのバラ園も沢山の種類と数でお手入れ大変だったけど、手をかけた分バラもキレイに咲いて……
いけない!ちょっと思い出して泣いちゃう所だったわ!でもなぁ……あのバラ園は本当に凄く思い入れがあったから、誰かちゃんと手入れして欲しいなぁ……

「エリーゼ?」

お母様が少しだけ心配そうなお顔で私を見詰めてます。

「大丈夫ですよ」

「そう?」

「はい」

そう言ってお母様に微笑めば、お母様も微笑み返ししてくれました。
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