婚約破棄されまして(笑)

連載

春が来た！ 19

い……一大観光地とか作って帝国からも王国からも観光客集めるのも夢あるよねー！
既にエリノユの街は温浴施設もあるし、果樹や農産物も豊かだし！
イチゴ狩りとかブドウ狩りとかして、疲れた体を温浴施設で癒して、晩に美味しいご飯とお酒で……やだ……私が味わいたいツアーだわ。
今世、そんな娯楽とか無く暮らして来たのよ。そりゃあクソつまんない、他所様の下らないゲスの勘繰り染みた噂しか楽しみなくなるわよね。
いや、毎日毎日やる事が限られててさ……誰かとお話しするとかも面倒くさい先触れとかして、メイドや侍女引き連れてお茶会して……
情報社会じゃないから、他所様の個人情報なんて碌々流れて来ないけど。それでも醜聞とかはちょいちょい流れて来たり目にすれば喋っちゃうし、ねえねえ知ってる？的な感じであちこちで話しちゃうわよね。
刺激がそれ位しか無いんだもの。
……我が家は家庭内に刺激があるので、他所様との噂に盛り上がる様な事はないのですけどね。

「あら？エリーゼは何か企んでるのかしら？」

「ホホホ……エリーゼはすぐにお顔に出てしまうわね。でもそこが可愛らしいのよね。ああ、フェリシア……誤解しないで頂戴。貴女は良く出来たお嫁さんだし、自慢でもあるのよ」

「分かってますわ、お義母様」

お祖母さまとお母様は本当に仲良しです。お祖母さまは外の貴族家の方々には恐れられている事を知っているのです。
お祖母さまは余り社交界にも出ませんし、出ても笑顔は無く上座で座ってる事が多いのです。
例外は、この邸で寄子貴族や領地内の有力者達などを呼んだ夜会などの宴の時位です。
勿論、家族といる時は感情豊かで素晴らしい方なのですけど。

「それにしても楽しみだわ。どんなお嬢さんかしら？」

「……私が聞いた所では中々肝の据わった令嬢だとか」

え？お祖母さまがコテンと首を傾げてお母様を見詰め、私は思わず目をカッ開いてしまいました。

「お母様……肝の据わった？どう言った事ですか？普通、高位貴族の令嬢が肝の据わったなんて評価ありえませんわよね？」

マジで！いや、ひょっとしたら私もそう言った評価されてるかも知れませんけど！でも！お母様の口から、そんな事聞いたら平常心飛びますよ！気になって眠れなくなりそうです！