婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

春が来た! 39

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お父様達の所に戻って見れば、カワイコちゃん達がフリフリ踊ってました。
その姿を見たルークがガーン!みたいな顔してます。

「可愛いな、おい……」

「あの子達、こっちに帰って来る旅の間も夜明け前にああやって踊ってたわよ」

「えっ!」

あれ?気が付かなかったのかしら?これは……

「結構毎日集まって色々やってるみたいよ」

「えっ!」

あれ?ノエルとルチルもタマ達と一緒にいると思ってたけど違ったのかしら?

「えーと……ひょっとしたら、ノエルとルチルはルークと日がな一日一緒だったのかしら?」

「いや。タマ達と一緒にいるって……」

チラッとカワイコちゃん達を見れば、息ピッタリで可愛さとあざとさに磨きがかかってます。
ヤベーです。

「なんかやってるっぽいな……とは思っていたけど、まさかこんな事になってるとは……動画撮りてぇ……」

「アイテム無いから瞼に焼き付けといて」

「だよな」

私とルークとアニスとキース以外は飲んじゃってました。
そしていつの間にか運び込まれたソファ(お外用)にお祖母さまとお母様が座ってパチパチと拍手してます。勿論、お母様とお祖母さまの隣には専属侍女のエミリとオリーが座ってます。
シンシアとソニアはソファの後ろに置かれた椅子に座ってます。

「ルーク。お父様達の所に行く?」

「無理だろ。全員酔っ払ってるぞ、どう見ても」

ルークはちょっとだけ顔を顰めてますが、もし飲める様になったら一緒に飲んだくれて大騒ぎする予感しかありません。

「そうね。酔っ払いの中、一人素面ってツライわよね。私も……」

「エリーゼ!隣にいらっしゃい!」

しっかり酔っ払ってるお母様がそんなに大きくない声で呼んでます。
逃げる事は出来そうにありません。

「呼ばれてるな……」

「お母様に呼ばれたなら仕方ない……はい!お母様!」

大声にならないように声を張って返事をする。

「それじゃあ私、お母様達の所に行ってくるから」

「ああ、俺も義父上の所に行って来る」

「ん。頑張って!」

「そっちもな!」

繋いだ手を離し、互いの進むべき場所へと歩を進める。
ソファへと近付けば隣り合っていたお母様とお祖母さまが少しいざって場所を空けてくれて、そこに座ると斜め後ろからアニスがブドウジュースの注がれたグラスを渡してくれました。
ブドウジュースを一口飲んで咲き誇る桃の花を眺める。
他のどこでも無いシュバルツバルト領の春の風景に、私は思わず微笑んだ。
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