婚約破棄されまして(笑)

連載

春が来た！ 140

「それじゃあ……」

「ええ、ですから……ラーラルーナ嬢、ゆめゆめ太ったりしないで頂戴ね」

「はいっ！」

ラーラルーナ様の必死な返事にクスクスと笑い声がそこかしこから漏れる。

「ラーラルーナ様、いざとなったらコルセットで締めれば良いだけですから安心なさって」

「コルセット……ですか……あの、こちらのコルセットって……」

ビクビクしながら聞いて来るラーラルーナ様、めちゃカワです。

「ガチで締め上げる系のコルセットがございますわよ。アニス、これ位まで締め上げれるわよね？」

手で輪っかを作って見せてみる。

「エリーゼ様、もう少し締め上げれます。腰は細く細く美しく締め上げれるのが本当の技術というものです」

そう言ったアニスはドヤ顔であ……私の最高締め上げ記録はこの輪っかより細かったんだ……とゾッとしました。
おっかねぇ技術やん……内臓いかれてしまうわ……

「所でエリーゼ、ベールにお飾りは？」

ヒョワッ！お母様が黒い笑顔で待ってました！
まずはお飾りを出さないと！
全部『結婚式御衣装』の欄にまとめて入ってるので分かりやすくて良い！
って……お飾り……真珠メインに宝石が散りばめてるガチ感パナイ物が出て来ました。
え？これ……国宝級とかのレベルじゃない？
いわゆる花珠と言われる粒の揃った淡いピンク色の真珠が五連のネックレスに、所々ダイヤモンドみたいな透明な宝石（しかもしっかり研磨されて光り輝いてます！）が等間隔で入れられてます。
髪飾りも同じ様な真珠で作られて……って何で二つあるの？

＜ベールの下に着ける物とベールの上に着ける物と作ったそうです。ティアラがベールの上だそうです＞

本気度がおかしい！ティアラて……ガチのティアラじゃないの！どんだけ頑張ったのよチビナビちゃん達！

「これは……」

「あ、こちらがベールの下に着ける髪飾りで、こちらがベールの上に着ける髪飾りだそうです……」

もはや笑顔も凍るわ！

「……エリーゼ……このベールの上に着ける？いえ、被る宝冠は我が家で代々受け継ぎたくなる様な逸品よ……」

お母様が良い事言った！良し！このティアラは我が家に贈ろう！

「素敵ですわ！私が被った後、婚姻式で被ったらきっと何度もお披露目出来て素敵だわ！」

「そうね！それは素敵ね！婚姻式に被る宝冠となれば、きっと多くの領民の目に映るでしょうし誰もが憧れるわね！」

「はいっ！」

うん、分不相応な逸品を持つとか無理です。