婚約破棄されまして(笑)

連載

春が来た！ 175

競争相手がいた現代日本を懐かしんでも仕方ない。必要とあらば情報なりなんなり出して競争相手を育てれば良いのよ！
……ってどこの都市育成ゲームよ……これは乙女ゲームの世界よね？いや？モンスター蔓延ってるから、純粋に乙女ゲームって言えないわよね。
それこそプログラマーが勢いに任せてこっそり何かやらかしたとか？そんな訳ないわよね～（笑）

「ふぅ……大分日が落ちて来たわね」

「そうですね。前庭はいつもに増して篝火が焚かれてますね」

「そうね」

まだ夕方ですが早め早めに灯りは用意されます。だって暗くなってからだと火をつけるのにも一苦労するからです。

「ねぇ……前庭って馬達の牧場も兼ねてたわよね、どうなるの？」

「塀の内側が走れるようになってるので、まずはそちらを走る様にして前庭は休憩や草を食む様にしてるそうです」

「へぇ……」

知らなかったわ。マップで確認したら確かに塀の内側に道があります。
ん？道だけじゃなく、建物もあちらこちらにあります。
警備隊の詰め所だっけ？うん……結構あるわね。これ、お父様がちゃんと管理してるって事よね。
そっか、それじゃあふんどし隊の扱いも慣れてる筈よね。

「エリーゼ様、ルーク様がお出でです」

新米侍女がルークを案内してくれました。

「ノエルとルチルの服ありがとな、エリーゼはどのドレスも綺麗に着こなして凄く似合ってる。いつ見ても美人で俺は幸せ者だよ」

……歯が浮く様なセリフをサラッと言えるルークはさすが皇子様ですね。

「甘～い……」

「当たり前だろう。好きな女を褒めない男は男じゃないな！婚姻式が待ち遠しいよ」

「そこはハゲ同だけど……ルークも格好いいわよ、さすが私の婚約者様だわ」

「だろう。新しく仕立てられた服が上等過ぎて戻れなくなりそうだよ」

「は？戻れなくなりそうって何？」

何言ってるのかしら？

「シルクよりも上等なフルオーダーメイドに慣れたら木綿とかの既製品はちょっとツラいかなって」

「あー……そうね……それは分かるわ……」

特に肌着は着心地が段違いで、もう天蚕糸で織られた布製品が手放せない。
特にチビナビちゃん達製作の下着とか、デザインやらフィット感が凄く良いからお気に入りなのよね。
それは私だけじゃなくて、お母様もお祖母様もなんだけどね。