婚約破棄されまして(笑)

連載

new world 51

連れて行かれた大広間では皆が真面目な顔をして話し込んでました。

「遅くなりました」

そう一言声をかけて近寄ると全員が私を凝視してます。
え～何で～私悪い事してないですけどぉ。

「小姫、ささ、婆の隣に来るでおじゃる」

席順おかしくない？ルークが一番の下座です。
コの字っぽく配置された上座に大婆様と空席、その下がお母様で、少しずらした下座にお父様、更にずらされた下座にルークが座ってました。
不満そうな顔はしてないから大丈夫だと思うけど、良いのよね……？
歩幅を小さくして大婆様の隣の空席に腰を下ろす。
厚みのある座布団は座り心地が良くて、正座しても痛くない。
……そう言えばお父様とルークもちゃんと正座してる。

「さ、夕餉を始めるでおじゃる。小姫は茶がよいかの？」

「はい」

お膳が次々と運ばれてくる。四つ脚高台の高級感溢れる塗りの物に皿やら椀が乗ってる。少しサイズの小さいお膳も持って来られ、そこにはキレイな湯飲み茶碗が置かれてる。

「失礼致します」

右側から声がかけられ、湯飲み茶碗に緑茶が注がれる。
香りが良いっ！これは良いお茶。
目の前は完全な和食が並べられてます。
美味しそうです！

「いただきます」

手を合わせてからそう述べて箸を手に取る。
大婆様もお母様も同じように述べてから箸を手に取って先付けへと手を伸ばす。
ルークも躊躇いなく同じように述べるとお父様がワンテンポ遅れて同じように述べた。
……しまった！お父様だけが馴染み薄かった！

「ほほ……馴染みが無いのを忘れておったでおじゃる。好きな様にすると良いでおじゃる」

大婆様が楽しそうにしてるから大丈夫よね。
手の込んだ和食……懐石料理よね、これって。を、少しずつ味わいながらさっきまでの話し合い？か何かを聞いてみようと思います。
そりゃもう、どストレートに聞きますよ！

「大婆様、私をのけ者にして何のお話しをしてらっしゃったの？」

ちょっとだけ大婆様の動きが止まりました。
ちろと私を見上げる大婆様の視線が気まずそうに逸れました。
うん、隠し事は無しですよ。ニッコリ。

「そのじゃな……小姫は明日、縁を結びに行くでおじゃろ？での、婿殿達はどう思っておるのか聞いておったでおじゃる」

あー……なるほど。そう言えば、大婆様はちゃんと精霊様って言ってたな……ハーピィーとは言ってたけど、今までその辺りがぼかされてた気がする。
精霊と契約とかって言ってなかったのかな？でもお母様は知ってたっぽいし、ルークは知ってるから特に問題……はお父様かっ！いや、うちのかわい子ちゃん達がほぼほぼ精霊で構成されてるの知ってるから受け入れてるのよね？！