婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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new world 60

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案内された湯殿は広い蒸し風呂でした。和風だけど、広い……どこのスパかな?って位広い。しかも男女別。
至れり尽くせりのサービスで頭の天辺からつま先まで磨かれました。
シルフィーちゃんも一緒にお手入れされてます。
全身くまなくお手入れされてる姿をチラチラ見てましたけど、逆鱗なるものが無かったのか終始気持ち良さそうでホッとしました。
終わって脱衣所の竹製の長いすでくつろいで、出された冷えた果実水を飲んでちょっと驚きました。
果実水だと思ったらデトックスウォーターだったので。
オレンジやレモンなどの柑橘類とミントの香り……こっちにもあったんだな……あれ?でもお母様は知ってらしたのかしら?ひょっとして余り好きじゃなかったとか?いや、柑橘類はたしか基本それなりに暖かくないと実が成らないんじゃなかったかな……たしか。
寒い王国じゃあ成育難易度高いから我慢してたとか?輸入か……帝国から輸入してたならアリか。
それだって保存期間の問題あるしね、お金使った早馬便とかで買ってたとかかも知れない。
今は温室栽培してるから邸で飲めると思うけど。
もっと温室増やしたいなぁ……早く新しいお家建てて貰おうかな……

「おかわりは如何ですか?」

「ん?んー……もう少し後で」

「妾はおかわり欲しいのぅ!いやぁ、湯殿は初めてじゃがこんなに気持ち良いとは思うてはおらなんだ。主様と縁を結べて良かったでおじゃる!」

「……シルフィーちゃんの言葉遣いは大婆様に似てるわね」

「妾が先じゃ!妾は長生きしておるからの!」

「なるほど。でも大婆様と喋った事はあるのかしら?」

「あるぞえ。あれがうんと小まい頃じゃ谷で転んでの、慌てて風を使って立ち上がらせたのじゃ。その時少しばかり声をかけたのじゃ」

「そうなんですね。私も幼かった大婆様見たかったです」

「幼気で可愛らしい姫じゃったな!」

そう言って両手で湯飲みを持って、コクコクとデトックスウォーターを飲むシルフィーちゃんカワユス!
大分ゆっくりさせて貰ってので、そろそろ支度して貰おうかな~とか思ったらですよ……

「お着物のお支度が整いました。エリーゼ様の良い頃合にお声掛け下さい、着付け致します」

そう言われて、もう少しだけゆっくりしたいと伝えて目を閉じた。
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