婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

慌ただしい日々 16

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「優しくして貰えるのは嬉しいけど病気でもないし、ある程度はナビさんもフォローしてくれるし大丈夫よ?」

「妊娠は病気じゃないって知ってるけど、もう一つの命が宿ってるんだから大切にしたいんだよ」

ん?一応妊娠は病気じゃないと知ってはいるんだ。

「慎重なのね。何かあったの?」

今世では多分それ程知識とかは無いだろうから、前世何かあったと思う。にしても、ちょっとこう……すり込み的な何かを感じる。

「前世でさ、兄貴がいたんだけど……妹を妊娠中、母さんがさちょっと無理して街中で倒れて救急搬送された事があったんだ。熱中症だったらしいけど、その事があってから父さんが酷く落ち込んでさ……妊娠中は絶対体に負担がかかるような事はダメだって俺と兄貴に言い聞かせたんだ。まだ小さかったけど、兄貴と母さん守らなきゃな!って約束したんだ。だからさ……エリーゼの方がひょっとしたら強いかも知れないけど、大切だから大事にしたいんだよ」

「なるほど……」

「後、妊娠は病気じゃないからって言い張って無理させるのとか知識無いにも程があると俺は思ってる。妊娠がなんで病気じゃないって言われてるのか分かってないのかって」

「あー……そうね。妊娠は治療できないから病気とは言い難いものね。ま、妊娠状態じゃなくなれば多少の療養期間を得て健康体にはなれると思うけどね」

そう。墮胎でも何でもやって妊娠状態から脱して、体調を戻せば多少のムリは出来る。
言いかえれば妊娠しない様に生活すれば、子供を望まなければ良いだけの話しだけれど結婚する意味とかきちんと考えなければいけなくなる……と思う。

「それは極論な気もするけど、でも言ってる事は分かる。妻が妊娠してる事で自分が耐えれないってのは甘えだと思うし、妊婦がとても負担を抱えてるのはちゃんと分かってないといけないと思う」

「そうね。約十ヶ月負担を抱えたまま暮らす訳だから、一緒に生活してるならそれなりにフォローしなければ以降の信頼関係は揺らぐでしょうね。前世で友人に保険の外交員がいたんだけど、妊娠出産時に亡くなる女性のパーセンテージは殆ど変わってないんですって」

そう。妊娠出産時の死亡するパーセンテージ。
ちゃんと考えれば妊娠中の体調は通常時と違うんだから、気をつけなければいけない事くらい分かる。
幸い私にはナビさんがいてくれるから何かあればすぐさまフォローして貰えるけど、他の皆はフォローが貰えない。
厳しい状態の中出産しなければならない。
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