殺人鬼転生

藤岡 フジオ

文字の大きさ
上 下
18 / 299

また顔射

しおりを挟む
 主殿は吾輩のフニャフニャのそれをじっと見ている。

「グリのはもっと上を向いててグロテスクだったけど・・・。ビャクヤのはなんか大人しそうな亀みたいで・・・、その・・・、可愛いね」

 可愛いですとッ! ああ、情けなや。

 こんな時に限って、吾輩のイチモツは怒張してくれないんぬッ!

「おちんちんにも幾何学模様が入ってるんだね。なんか裸じゃないみたい。青い全身スーツを着ているみたいで、いやらしくないから平気かも」

 彼女たちは同じ世界に住む魔人族を見た事がない。島の外の情報が極端に少ないせいで、時折飛行船で飛んでくるノーム以外は見た事がないのだ。だから青い肌が珍しくて、吾輩を悪魔だと思っているッ!

 それにこの国のゴブリンも吾輩の知るゴブリンではない。吾輩の知るゴブリンは確かに狡賢い輩が多いが、話の通じない相手ではない。

 しかしこの島のゴブリンは欲望に従って行動する。話が殆ど通じないのだ。容姿も違う。

「では、あまり主殿の役には立ててないのかもッ!」

「ううん、最初はこれくらいから、始めた方が良いと思う」

「最初は・・・? ではッ! 他の男子のおちんちんを見せてもらってッ! 慣れていくのですかッ!?」

「そうなるかな・・・?」

 ビーーーーッチ! 我が主様がこんなビッチだったとはッ! 吾輩ショックでイチモツがもっと小さくなっていくますッ!

「あれ? 小さくなった。・・・あのさ、ちょっと触ってもいい?」

 愛しの女性がビッチだった事を知って、絶望に打ちひしがれる吾輩は、もうどうでもいいやという気分になってきた。

「ご自由にどうぞ・・・」

「じゃあ・・・、触るね?」

 彼女の白くて細い指がぎこちなく吾輩のそれを握った。そして珍しそうにグニグニと弄っている。

「温かいね」

 知ってか知らずか、主殿はカリ首の下をギュッギュと握って刺激しだした。そこは吾輩の性感帯であるッ!

「わっ!」

 勿論、吾輩のそれは刺激に応じて自動的に大きくなる。

「大きくなった! 感じてくれてるの?」

「愛しい我が主様が触ってくれているのですからッ! 当然ですッ!」

 エロとは程遠い、まだあどけなさが残る17歳の少女は、吾輩のイチモツを見て頬を上気させている。

 我が主様はメスの顔になっているのだ。でもこの顔を見るのはきっと吾輩だけではないッ! 今後沢山の男子が見る顔だッ!

 悲しみに沈んでいても、我がブルーセイバーはお腹を圧迫するぐらい反り返っている。

 突然ヌルっとした感触がイチモツを包んだ。

(こ、これは! ロッカーの中で感じた温もりと同じツ!)

 そう、主殿は吾輩のイチモツを突然しゃぶりだしたのであるッ!

「ご、ごめんね、ビャクヤ。ビャクヤのこれを見ていたら、しゃぶらないといけない気がして・・・」

「はウッ! いや、いいのです、主殿!」

 妙に上手い・・・。イチモツを喉奥まで飲み込んだかと思うと、カリの辺りで唇を窄めて刺激する事を忘れない。時折、舌で裏筋を舐めている。本能でこれをやっているとしたらリンネ様は生粋のビッチだッ!

 ぐわっ! もう出そうデスッ! 主殿の頭が、あと三回ほど前後したら吾輩は果ててしまうだろうッ!

「ああ、主殿!もう・・・」

「エグッ!」

 部屋の外から奇妙な声が聞こえた。瞬時に快楽メーターが下がる。

「なんですかッ! 今の声はッ!」

「気にしないでいいじゃない。ビャクヤ、もうイキそうなんでしょ? じっとしてて。私ビャクヤがイクところを見たいかも」

 主殿は上目遣いで吾輩を見つめながら、ゆっくりと頭を動かし始めた。

「しかしッ! 物音がッ! 気になり・・・」

 主殿の頭の動きが早くなった。ふわぁぁ! 駄目だッ! イッてしまうんぬッ!

 ―――ドカン!―――

 扉を蹴り開いてキリマルが現れた。

 陰気な垂れ目が吾輩を見た後、ギャハハと下品に笑った。

「ったく・・・。何やってんだか、ビャクヤは! お前は嵌められたんだよ!」

「確かにッ! 吾輩のイチモツはッ! 主殿のお口にはまっていますがッ!」

「そうじゃなくてよ・・・。これを見ろ」

 キリマルは黒いボールのような物を部屋に蹴り入れた。

「こ、これは! イービルアイんぬッ!」

「こういう類は監視役だったり、情報を持ち帰ったりする役目だろ? お前はドアの隙間から、コイツが覗いていたのに気づいてなかったのか?」

「全く気づきませんでしたッ!」

「普段は他人の心の声を盗み聞きするくせに、肝心な時に役に立たねぇな。それからそのリンネも偽者だ」

 キリマルは素早く魔刀天邪鬼を抜いて、主殿の背中を斬った。

「ぎゃっ!」

 シルクの寝間着が斜めに斬れて、その下に綺麗な切り傷が見える。

 キリマルに斬れるはずのない我が主様が斬られた! という事はこの女はッ! 誰だッ!

「【捕縛】ッ!」

 吾輩は咄嗟に主を装う女を魔法で縛った。半透明のロープが彼女の上半身を縛る。

「さぁ洗いざらい吐いてもらおうかねッ! 淫魔サキュバスッ!」

 読心の魔法を発動させた吾輩は、この女が何者かすぐにわかった。と同時にキリマルの呆れた声が聞こえてくる。

(こいつ結構間抜けなところがあるな。いつか殺せるかもな。ヒャハハ!)

「聞こえているのだがねッ! キリマル!」

「いいから尋問しろよ。なんなら俺が少しずつ顔の肉削いで、そいつの主の名を聞き出してやってもいいぜ?」

 背中を斬られても、血を一滴も出さない悪魔はクスクスと笑っている。

「契約者に絶対服従なのは知ってるでしょ? そこの人修羅様?」

「人修羅? なんだそれは。俺様は人間だがぁ?」

「あらあら、あなた。自分が何者かもわかってない新米悪魔さんね? ふごッ!」

 高速の斬撃が器用にも、サキュバスの鼻を斬り飛ばした。

「俺様の事はどうでもいいんだわ。さっさとお前の主の名を言え」

「おい! キリマルッ! 偽者とはいえッ! 我が主様の鼻を斬り飛ばさないでもらおうかッ!」

「うるせぇ!」

 ビャクヤはキリマルに怒鳴られて、クルリとサキュバスに向く。

「サキュバス! その姿をとるのは止めてもらおうかッ!」

「仕方ないわねぇ」

 リンネの姿が霞んだかと思うと、黒革のボンテ―ジ姿の悪魔がそこにいた。

「ヌハッ! エロイんぬッ!」

「あら、褒めてくれてありがとう」

 短いカーリーヘアーの金髪悪魔は、ビャクヤにウィンクをした。




「で、主の名を言うのか言わないのか。まぁ誰の差し金かは大体想像がつくけどよ」

 さて、どうすっかな。悪魔は契約者に絶対服従だろうしな。俺は刀を収めて顎を撫でた。

 そして容赦なく、先っちょがスペードみたいな形をした悪魔の尻尾を掴んだ。

 ん? 今、悪魔がびくりとしなかったか? はは~ん。ここが弱点だな? 漫画とかでもお約束だもんな。

 俺は軽く尻尾を扱いてみる。すると悪魔は尻を高く上げて悶え始めた。

「なんで・・・あんた、私の弱点を知ってるわけ? んはっ! だめぇ!」

「凄いじゃないかッ! キリマルッ!」

 ビャクヤがそそくさとパンツを穿きながら俺を褒めた。お前さぁ・・・、勃起してるからパンツにチンコが収まってねぇんだが? 気色の悪いもん見せるな。例の顔射事件を思い出すだろうが!

「なぜ悪魔の弱点が解ったのかねッ!」

「いや・・・お約束だろ、尻尾が弱点てのは」

「そんなお約束はないのだが、一発で悪魔の弱点を見抜くとはッ! 流石同じ悪魔なだけあるッ!」

「俺は悪魔じゃねぇつってんだろ!」

 俺は激しく尻尾を扱いてみた。

「イヤァァァ! いっちゃう! いっちゃうから! ダメダメダメ!」

 男を手玉に取りそうなお姉さんキャラの悪魔が、こうも乱れるとはなぁ?

 ヒャハハ! 尻を上下させて股間からボタボタと汚い粘液を零してるぜ!

「さぁイケ! イってスッキリしたら主の名を言うんだぞ? ほらっ!」

 エクスタシーに達したのかインキュバスは腰を高く上げた。

 と同時に尻尾の先から何かが飛び出す!

 ―――びゅるっ!びゅるるっ!

「ぶわっ!」

 白い液が俺の顔目掛けて飛んできた。瞬時にビャクヤに顔射された時を思い出して腹が立ってくる。

「くそが!またこのパターンかよ!」
しおりを挟む

処理中です...