殺人鬼転生

藤岡 フジオ

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サキュバス汁

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「もう我慢できない! 早くぅ! 早くおチンチンを頂戴!」

 まだ快楽を貪りたいのか、このメス豚は。てめぇの汚れに汚れた、汚ねぇ性器に突っ込む馬鹿はいねぇよ。

「ん? ビャクヤは勃起したままじゃねぇか。じゃあこうしようぜ。お前が主の名を言えば、ビャクヤが肉棒を入れると約束する」

「なにゆえ吾輩がッ!」

 サキュバスは我慢できないのか、自分で慰め始めた。

「それは・・・。んっ! 契約でできないって・・・あっ! 言ってるでしょ!」

「じゃあもう、とっとと死ね!」

 刀を抜くと天邪鬼が、テレパシーではなくリアルに喋った。

「キリマルは契約が絶対だと思っている。だからそれを断ち切る事は可能。ただし早くしないと、契約を断ち切ることが可能なのだ、という意識が芽生えて断ち切れなくなる」

 一瞬、魔刀の言葉に頭が混乱した。が、直ぐに理解した俺は天才。

「ほう~。何でもありだな。まぁいいや。どこを斬ればいいんだ?」

「淫魔の頭の上の空間」

 俺は言われるままサキュバスの頭の上、十センチ辺りをシュパッっと斬ってみた。

「これでいいのか?」

「いい」

「おい、サキュバス。お前の主との契約を強制終了させた。名前を言っても大丈夫だぞ」

「先に・・! おチンチンを頂戴!」

 身悶えするサキュバスを見て、ビャクヤのそれはギンギンだ。

「おい、ビャクヤ。さっさと突っ込んでやれ」

「断るッ! 吾輩の天を突くタケリタケはッ! 主様の為にあるんぬッ!」

 勃起チンポブラブラさせながら、バレリーナのように動くんじゃねぇ。お前はあれか、東京や秩父の電車内に出没する、股間に白鳥の頭を付けた、ふざけたコスプレイヤーかなんかか。

「しゃあねぇな」

 俺は刀の柄をサキュバスに突っ込んでやった。これで十分だろ。

「酷い!」

「酷い・・・」

 同時に二人の声がした。サキュバスと天邪鬼だ。

「うるせぇ! 何突っ込もうがお前みたいな悪魔は、気持ちいいんだろうからいいだろ! ほら! さっさと名前を言え! 天邪鬼もご主人様の役に立てるんだ、有難く思え」

 うえぇぇ、と無感情ながら泣きそうな声が天邪鬼から聞こえてくる。ある意味レズプレイだな。

「外道だな・・・。キリマル」

 ビャクヤの仮面がフラットな表情になる。引いてんのか? 知ったこっちゃねぇや。ギャハハ!

 ゴツゴツとした柄巻が気持ちいのか、サキュバスは体を震わせている。

「おらおら、早く言え!」

 俺は柄を動かすスピードを上げた。

「クッ! 今までこんな屈辱を・・・受けた事はなかったのに! でもどうしてかしら・・・。ああああ! んぎっ! んぎもっ! んぎもぢぃぃぃ!!!」

 プシャーと潮を噴くサキュバスから、俺は素早く離れる。また顔射されたら嫌だからな。

 ケツには天邪鬼が刺さったままだが、まぁいいか。

 尻を高く上げ、脚をピンと伸ばして絶頂に達するサキュバスは、なんだか滑稽で笑える。
 
 そういやサキュバスの尻尾汁のせいで、まだ顔がベタベタしてんな。さっさとシャワー浴びてぇわ。

「いいから早く言えよ!」

 俺はサキュバスの髪を掴んで顔を上げさせる。

「キラ、キ・・・、キラキ・・・」

「キラキラがなんだって? ああ?」

 背骨がしなるぐらいに髪を引っ張ってもう一度主の名前を訊こうとしたが、サキュバスは快楽の余韻に浸て、虚ろな目をしたまま消えていった。

「チッ! どこ行った?」

「どこ行ったって? 彼女は魔界に帰ったのさッ! 契約が切れたからねッ!」

「最後にキラキラと言ってたのは、どういう意味だ?」

「さて・・・。もしそれが人の名なら特徴的だし、その内解るかもしれないッ!」

 お、いつの間にか見苦しいチンポが小さくなってパンツに収まっている。

「しっかし、あれだな。結局これも手掛かりや、証拠としてはイマイチだな。そういや、ビャクヤ。魔刀天邪鬼の詳細を、お前の部屋まで訊きに来なければ、お前はとっくにサキュバスとまぐわっていただろう。俺様に感謝しろ。」

 俺の話を聞いているのか聞いていないのか、ビャクヤは暫く顎をさすった後に、何かに気が付いた。

「もしかしたらっ! 今頃はリンネ様も・・・! 急ごう! キリマル! 主様の部屋へっ!」

(リンネの呼び方が、主殿だったり主様だったりリンネ様だったり、こいつはいつもブレてんなぁ。色々と不安定というか・・・。まぁどうでもいいけどよ)

 俺が眠たくなって欠伸をしていると、暗転して景色が変わった。

(また俺を巻き込んで転移しやがったか。一言なんか言ってからにしてくれ)

 可愛いぬいぐるみなどが沢山飾られている、ピンク一色のリンネの部屋をぐるりと眺める。

「へぇこれがリンネの部屋か。乙女チックな部屋だなぁ? おい」

 俺がビャクヤにそう言うも奴は隣にいない。

 天蓋付きのベッドで寝るリンネに、触れないようにして匂いを嗅いでいた。

 やっぱこいつは生粋の変態だったか。

 それにしてもいい加減、顔に付いたサキュバスの変な汁を拭きてぇわ・・・。
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