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夢魔を探せ
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「なにやってんだ、さっきから。犬みてぇにクンクンと」
ビャクヤは一向に匂いを嗅ぐのを止めねぇ。
「魔の気配を探っているのだよッ!」
「そんなもん探って、どうしようってんだ?」
「裏でこそこそと糸を引く何者かは、我々が学園に居られないようにッ! 仕向けているような気がするのだッ! 先程の淫魔の誘惑とイービルアイの盗撮ッ! あれが学園に広まればッ! 主殿はいよいよもって肩身が狭くなるッ!」
「で、お前のクンクンとその話、何の関係がある?」
「せっかちだね、キリマルはッ! そうなると主殿にも何かしらッ! 呪いなり憑依なりがあってもおかしくない。だから吾輩は匂いでッ! その気配を探っているのだよッ!」
「匂いで解るのか?」
「まぁある程度はね。どうも夢魔の類に憑りつかれているようだッ!」
「なんでそう思う?」
「見て解らないかねッ! さっきから主殿の息が荒い。時折、何かから逃げるように脚をばたつかせている。そして咽る程に漂う悪魔のにほいッ! 主様の中に夢魔がいると考えるのがッ! 妥当なのだッ!」
確かに横向きで寝るリンネは、夢の中で走り回っている犬のように、時折脚を小さくばたつかせていた。
「ふーん。で、どうやって助けるんだ? 起こすのか?」
「それは一時凌ぎにしかならないッ! 直接、夢魔を倒さなければッ!」
俺はこいつの言っている事がよくわからなかった。リンネの夢の中の悪魔をどうやって倒すというんだ?
ビャクヤが何をするのかを見守っていると、大きなリンネのベッドに潜り込んで、彼女の横に寝転んだだけだった。
「まさか、一緒に寝ればリンネの夢の中に入れる的なやつか?」
「わかっているのなら、さっさと君も主殿の横に寝転びたまえッ!」
アニメや漫画でよくあるパターンだねぇ・・・。あれだろ、夢魔を倒したらリンネが起きる前に脱出しないと、夢の中を永遠にさまようとかそういう感じの。
「ちゃんとリンネの夢から出られるんだろうな?」
「当たり前だッ! 夢魔を倒せば直ぐに出られるッ!」
なんだ、普通に出られるのか。仕方ねぇ一緒に寝てやるか。リンネの夢がどんなのか興味あるしな。弱みを握れそうな情報があればいいな。
俺はベッドに入ると、刀を腹の上に置いて目を閉じた。
「寝たかねッ?」
「そんな直ぐに寝れるか、アホが」
「アホは余計なのだがねッ!」
「実際、お前はアホだからな。結構な頻度でポカをやる・・・、ってしまった!」
「どうしたのかね!」
「顔が淫魔汁でベタベタだし、明るくて寝れねぇ」
「意外と繊細なのだね、キリマルはッ!」
ビャクヤはハンカチを投げてよこした。
「それで顔を拭きたまえッ! その後に灯りを消す」
俺がハンカチで顔を拭うのと同時に、ビャクヤが指を鳴らして魔法灯を消した。
「便利なもんだねぇ、その指パッチンは。俺がやっても魔法の灯りは消えるのか?」
パッチンと指を鳴らしてみたが、灯りが付いたり消えたりはしなかった。
「いいから、早く寝たまえッ!」
「へいへい」
暗くなればこっちのもんだ。少しリンネのハァハァいう声が煩いが、何とか意識を落とす事に成功した。つまり眠れたという事だ。
リンネは人ごみの中でしゃがんでいた。俺もしゃがんでいる。ビャクヤも。
人々の脚が周りにあって隙間すらない。満員電車の中でしゃがんでいるようなもんだ。
「んだ? ここは・・・」
「キリマル、ビャクヤ!」
「助けに来たのであるッ! 我が主様!」
「どういう状況だ? リンネ」
「それが・・・。化け物から逃げていたら、いつの間にかここに来てて・・・。どうやってもここから出られないの。上を見て」
俺が上を見ると、人々の持つ手提げやらズタ袋などの持ち物が頭の上を塞いでいる。閉所恐怖症ではない俺でも少し息苦しいし、妙な焦燥感がある。
「人の脚をかき分けて出れねぇのか?」
「腕に力が入らなくて無理だった。夢の中って、なんで力が入らないんだろ」
「それは当然ッ! 本体が寝ているからッ! しかし何とかならないかねッ! この閉塞感と上からの重圧!」
「よし、斬るか」
俺は夢の中にまで一緒についてきた天邪鬼を、鞘から抜いて素早く周りの脚を斬った。
「ぎゃあ!」
「痛い!」
悲鳴が聞こえてくる。
「ヒャハハ! 斬れるじゃねぇか! (悲鳴が心地いいわ)」
急にあの妙な重圧感がなくなって、体が浮く感覚がした。場面が変わって教室の中にいる。
「悪魔が紛れ込んでいるねぇ?」
どこからかババァの声がした。
「いいからさっさと出て来いよ。夢魔。お前を殺して、すぐにでも夢から出てぇんだわ」
「そうはいかないねぇ。お前らが私を見つける前に、その子の精神を崩壊させてやるよ。ヒッヒッヒ。ほうら、あそこを見てごらん」
教室に誰かいる。リンネだ。本物のリンネは俺の横にいるから、あれは偽者だ。
偽者は切ない顔をして一生懸命、股間を机の角に押し付けていた。机の角でやるオナニー、つまり角ニーだな。
「ああ、キリマルゥ! キリマルゥ!」
ほぉ? 俺がオカズか。悪い気はしねぇ。でも俺はお前らと同い年じゃねぇから、その机は俺の机じゃねぇな。
「ぎゃあああ! 私、こんな事しないからね!」
リンネがショートボブを乱しながら、必死になって偽者を体で隠そうとしている。
「主殿はッ! これが何の行為か、解っているのかねッ!」
「知らないわよ! 変態ビャクヤ!」
「主殿が恥じているという事はッ! あれが自慰行為であると認識はしているッ!」
「煩いわね! さっさと何とかしなさいよ、ビャクヤ!」
俺はチャキっと音をさせて、鞘から刃を見せた。
「斬ってやろうか?」
夢の中の偽者とはいえ、リンネを斬るのは気持ちいだろうなぁ。リンネに化けたサキュバスの鼻を斬り落とした時も気持ちよかったしよぉ。サキュバスの姿に戻った時に、鼻が元通りになったのはがっかりしたけどよ。
「いや、斬ってもさっきのように居場所が変わるだけッ! この夢の中のどこかにいる夢魔を探さないとッ!」
はぁ。やる気がなくなるねぇ。俺は人を斬ってナンボの存在なのに・・・。探し物かよ・・・。
「とにかくッ! 皆で手分けしてッ! 隠れる夢魔を探し出すのだッ!」
ビャクヤは一向に匂いを嗅ぐのを止めねぇ。
「魔の気配を探っているのだよッ!」
「そんなもん探って、どうしようってんだ?」
「裏でこそこそと糸を引く何者かは、我々が学園に居られないようにッ! 仕向けているような気がするのだッ! 先程の淫魔の誘惑とイービルアイの盗撮ッ! あれが学園に広まればッ! 主殿はいよいよもって肩身が狭くなるッ!」
「で、お前のクンクンとその話、何の関係がある?」
「せっかちだね、キリマルはッ! そうなると主殿にも何かしらッ! 呪いなり憑依なりがあってもおかしくない。だから吾輩は匂いでッ! その気配を探っているのだよッ!」
「匂いで解るのか?」
「まぁある程度はね。どうも夢魔の類に憑りつかれているようだッ!」
「なんでそう思う?」
「見て解らないかねッ! さっきから主殿の息が荒い。時折、何かから逃げるように脚をばたつかせている。そして咽る程に漂う悪魔のにほいッ! 主様の中に夢魔がいると考えるのがッ! 妥当なのだッ!」
確かに横向きで寝るリンネは、夢の中で走り回っている犬のように、時折脚を小さくばたつかせていた。
「ふーん。で、どうやって助けるんだ? 起こすのか?」
「それは一時凌ぎにしかならないッ! 直接、夢魔を倒さなければッ!」
俺はこいつの言っている事がよくわからなかった。リンネの夢の中の悪魔をどうやって倒すというんだ?
ビャクヤが何をするのかを見守っていると、大きなリンネのベッドに潜り込んで、彼女の横に寝転んだだけだった。
「まさか、一緒に寝ればリンネの夢の中に入れる的なやつか?」
「わかっているのなら、さっさと君も主殿の横に寝転びたまえッ!」
アニメや漫画でよくあるパターンだねぇ・・・。あれだろ、夢魔を倒したらリンネが起きる前に脱出しないと、夢の中を永遠にさまようとかそういう感じの。
「ちゃんとリンネの夢から出られるんだろうな?」
「当たり前だッ! 夢魔を倒せば直ぐに出られるッ!」
なんだ、普通に出られるのか。仕方ねぇ一緒に寝てやるか。リンネの夢がどんなのか興味あるしな。弱みを握れそうな情報があればいいな。
俺はベッドに入ると、刀を腹の上に置いて目を閉じた。
「寝たかねッ?」
「そんな直ぐに寝れるか、アホが」
「アホは余計なのだがねッ!」
「実際、お前はアホだからな。結構な頻度でポカをやる・・・、ってしまった!」
「どうしたのかね!」
「顔が淫魔汁でベタベタだし、明るくて寝れねぇ」
「意外と繊細なのだね、キリマルはッ!」
ビャクヤはハンカチを投げてよこした。
「それで顔を拭きたまえッ! その後に灯りを消す」
俺がハンカチで顔を拭うのと同時に、ビャクヤが指を鳴らして魔法灯を消した。
「便利なもんだねぇ、その指パッチンは。俺がやっても魔法の灯りは消えるのか?」
パッチンと指を鳴らしてみたが、灯りが付いたり消えたりはしなかった。
「いいから、早く寝たまえッ!」
「へいへい」
暗くなればこっちのもんだ。少しリンネのハァハァいう声が煩いが、何とか意識を落とす事に成功した。つまり眠れたという事だ。
リンネは人ごみの中でしゃがんでいた。俺もしゃがんでいる。ビャクヤも。
人々の脚が周りにあって隙間すらない。満員電車の中でしゃがんでいるようなもんだ。
「んだ? ここは・・・」
「キリマル、ビャクヤ!」
「助けに来たのであるッ! 我が主様!」
「どういう状況だ? リンネ」
「それが・・・。化け物から逃げていたら、いつの間にかここに来てて・・・。どうやってもここから出られないの。上を見て」
俺が上を見ると、人々の持つ手提げやらズタ袋などの持ち物が頭の上を塞いでいる。閉所恐怖症ではない俺でも少し息苦しいし、妙な焦燥感がある。
「人の脚をかき分けて出れねぇのか?」
「腕に力が入らなくて無理だった。夢の中って、なんで力が入らないんだろ」
「それは当然ッ! 本体が寝ているからッ! しかし何とかならないかねッ! この閉塞感と上からの重圧!」
「よし、斬るか」
俺は夢の中にまで一緒についてきた天邪鬼を、鞘から抜いて素早く周りの脚を斬った。
「ぎゃあ!」
「痛い!」
悲鳴が聞こえてくる。
「ヒャハハ! 斬れるじゃねぇか! (悲鳴が心地いいわ)」
急にあの妙な重圧感がなくなって、体が浮く感覚がした。場面が変わって教室の中にいる。
「悪魔が紛れ込んでいるねぇ?」
どこからかババァの声がした。
「いいからさっさと出て来いよ。夢魔。お前を殺して、すぐにでも夢から出てぇんだわ」
「そうはいかないねぇ。お前らが私を見つける前に、その子の精神を崩壊させてやるよ。ヒッヒッヒ。ほうら、あそこを見てごらん」
教室に誰かいる。リンネだ。本物のリンネは俺の横にいるから、あれは偽者だ。
偽者は切ない顔をして一生懸命、股間を机の角に押し付けていた。机の角でやるオナニー、つまり角ニーだな。
「ああ、キリマルゥ! キリマルゥ!」
ほぉ? 俺がオカズか。悪い気はしねぇ。でも俺はお前らと同い年じゃねぇから、その机は俺の机じゃねぇな。
「ぎゃあああ! 私、こんな事しないからね!」
リンネがショートボブを乱しながら、必死になって偽者を体で隠そうとしている。
「主殿はッ! これが何の行為か、解っているのかねッ!」
「知らないわよ! 変態ビャクヤ!」
「主殿が恥じているという事はッ! あれが自慰行為であると認識はしているッ!」
「煩いわね! さっさと何とかしなさいよ、ビャクヤ!」
俺はチャキっと音をさせて、鞘から刃を見せた。
「斬ってやろうか?」
夢の中の偽者とはいえ、リンネを斬るのは気持ちいだろうなぁ。リンネに化けたサキュバスの鼻を斬り落とした時も気持ちよかったしよぉ。サキュバスの姿に戻った時に、鼻が元通りになったのはがっかりしたけどよ。
「いや、斬ってもさっきのように居場所が変わるだけッ! この夢の中のどこかにいる夢魔を探さないとッ!」
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