殺人鬼転生

藤岡 フジオ

文字の大きさ
上 下
22 / 299

回避スキル習得

しおりを挟む
「は? 何言ってんの? 何がどうなればそういう結論になるの?」

 リンネは幻とはいえ、自分の分身とビャクヤがまぐわう事が嫌らしい。

「俺の説明を聞いてなかったのか? 夢魔のババァが安全な隠れ場所はどこか。それはお前が触れてほしくないところなんだわ。つまりお前のアソコにババァは隠れている。それをビャクヤに穿りだせと、俺は言ってるわけだが?」

「べべべ、別におちん・・・、ちんを入れなくてもいいでしょ!」

 まぁなんだっていいんだがよ。指よりチンポの方が長いだろ。また天邪鬼の柄でやってもいいが、柄が臭くなるのは嫌なんだわ。サキュバスの汁が今も柄についててウゼェし。

「もうめんどくせぇな。やれビャクヤ。どうせ相手は幻だ」

「しかしッ!」

 早くこっから出てぇんだわ。お前らの感情とか心情とか知ったこっちゃねぇ。

 俺はビャクヤのマントを払いのけ、四つん這いになる偽リンネのスカートを捲し上げると、下着を素早くずり下ろした。

 すると白くて可愛らしい尻がプリンと現れた。

「ちょっと!」

 リンネは顔を真っ赤にして止めようとするので、俺はその手を遮る。

「早く夢の中から出てぇんだろうが。邪魔するな」

 俺はビャクヤの尻を押してパンツからはみ出た肉棒を、偽リンネの白い尻に押し入れた。

「アッ! ちょっと! キリマルッ! 吾輩ッ! まだ心の準備がッ!」

「知るか!」

「もうやだー! もー!」

 リンネは顔を手で覆っている。髪の隙間から見える耳が真っ赤だ。

「さぁ! お前のタケリタケで、中にいる夢魔モーラをほじり出せ!」

 ビャクヤが腰を動かすと、ぐちょぐちょっと卑猥な音がする。偽のリンネは腰を軽くたたかれた猫のように、背筋を伸ばしてハァハァと言っている。

「なんでビャクヤなんかと・・・」

「これは幻なんだからいいだろが。黙って見てろ」

「見ないわよ!」

 まぁ見なくてもいいけどよ・・・。なんかリンネに意地悪したくなってきぜ。

「でも音は聞こえるだろ? じゅぷっじゅぷっ! ってな。吐息も艶めかしいなぁ? おい。幻とはいえ、リンネもいつかああやって、男に後ろから突かれて乱れるんだ。あれは未来のお前だ。よく見て予習しとくんだな」

「よ、予習ってなによ・・・。キリマルの意地悪」

 おやぁ? 俺の言葉で顔が上気しだしたなあ。やっぱりこいつはドMなのかもしれねぇ。

「あっあっあっ!」

 偽リンネの声がひと際大きくなった。もう絶頂に達しそうなのだ。

「よし、もう一息だ!」

「偽の主様が絶頂に達したからと言って、夢魔が出てくる保証なんて、どこにもないのだがねッ!」

 普段シュバシュバ動いて喋る癖のあるビャクヤは、こういう時も動きが機敏だ。腰もシュバシュバしている。

「そこまでは俺も知らん! 何もやらねぇよりはいいだろ。さぁもっと腰を動かせ」

「マントで隠しているとはいえッ! 主様の前でおセックスをするのはッ! やはり恥ずかしいのだがねッ!」

「んーなこと、リンネは気にしてねぇだろ。リンネも自分の事で精一杯だ。気にするな」

 隣にいるリンネは少し内腿をもぞもぞさせている。こいつ、濡れてやがるな?

「私もいつか・・・、あんなことするんだ・・・」

 お前・・・、もしかして、手を使わずにオナニーしてんじゃねぇだろうな?

「ああーーーー!」

 とうとう偽リンネは絶頂に達した。

 その声を聞いたリンネが体を小刻みに震わせている。こいつもいきやがった! バレてねぇと思ってんのかね。まぁいいや。こいつは意外とこういう事に興味がある、と解っただけでも収穫だわ。

 煙が偽リンネから上って、彼女の姿が玉ねぎ頭のシワシワババァに変わった。

「なん・・・、だと?」

 俺はてっきり偽リンネの膣の中に夢魔が潜んでいると思っていたが、まさかのまさか! 偽リンネ自体がババァだった!

 ババァはシワシワの尻をヒクヒクさせて虚ろな目をしている。

「ギャ―――ス! 吾輩のッ! 初めてがッ! ババァとは! 夢魔は偽主様の中にいるのではなかったのかねッ? キリマルッ!」

「ぷひゃ――――! そんな事、俺が知るかよ! 可能性を試しただけだ。ギャハハ! ビャクヤの初めてがババァ! イ――――ヒッヒッヒ!」

「ノーカウントだ! 吾輩はまだッ! 射精していないッ! (もうイキそうだけど)」

「どうでもいいわ、それは。そのまま夢魔を捕まえてろ」

 快楽の余韻に浸って動かない夢魔の首を、俺は容赦なく刀で斬った。

「なんともッ! 呆気ないッ!」

 ビャクヤが溜息をついて呆れていると、首はコロコロと転がり喋り始めた。

「やるじゃないかねぇ。人修羅の読みは当たってたけどさぁ、あたしが膣の中にいるなんてのはとんだ妄想だよ。単純にお前らが、大事にしてそうなリンネなら手出しはしてこないだろうと思って、変身してただけさね。でも楽しかったよぉ。若い男とセックスできたんだからねぇ。これで満足して魔界に帰れるよ。ありがとうねぇビャクヤの坊や。ヒッヒッヒ!」

 悪魔は死なねぇんだな。この世界で死んでもまた魔界に戻るだけだ。まさか俺もそうなのか? でも俺に魔界という故郷なんてねぇぞ・・・。俺は死ぬとどうなるんだ?

 俺が考えていると、ビャクヤが首のない悪魔の死体からムスコを抜く。

「よくもッ! よくもやってくれたねッ! キリマルッ!」

「でもお前もババァ相手に気持ちよかったんだろ? ならいいじゃねえか」

 ビャクヤはいきり立つソレをしまわずに、俺に掴みかかってきた。

「気持ちよくなんてなってなかったねッ!」

「知るかよ。大体、最初に偽リンネを斬ろうと言ったのに止めたのはお前だぜ?」

「ぐむっ!」

 黙ったビャクヤを俺は見ていない。あと一撫でで爆発しそうな怒張したアレを見ている。嫌な予感がするからだ・・・。また顔射なんて嫌だぞ。冒険者ギルドでの二つ名が、顔射されし者、とかになりそうだからな。

 俺は襟首をつかむビャクヤの手を払いのけて離れようとした。

 しかし、その時! 俺が羽織る黒いコートの端が、ビャクヤのソレを撫でた。

「はうッ!」

 びゅるっ! びゅるるるっ!

 ビャクヤの白い汁が俺の顔を目掛けて飛んでくる。しかし、なぜかその飛沫の速度は妙に遅い。

 脳がそう見させているのか、ゆっくりと動く時の中で俺は叫ぶ。

「高まれ! 俺様の反射神経!」

 なぜこんな事を言ったかというと、この世界の住人がスキルとかいう不思議な力を使っていたからだ。

 自分目掛けて飛んでくるゴキブリを見た生徒が、咄嗟に何かを叫んで回避していた。「危ない!」とかそういった類の言葉ではなく、何か能力が向上しそうな言葉だったが聞き取れなかった。

 きっと俺にもその力はある。

 スキルを発動させる言葉があってたのかどうかは解らねぇが、俺はビャクヤの汁をマトリックスよろしく、仰け反って回避した。

 目標を失ったビャクヤ汁は、近くにいたリンネの顔に付着した。

 たぱぱっ!

「えっ? なに?」

 これでリンネも顔射仲間だ。ヒヒヒ。

 リンネが自分の顔にかかった汁が何かを認識する前に、世界は白んで夢の時間は終わった。
しおりを挟む

処理中です...