殺人鬼転生

藤岡 フジオ

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またビヨンド

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 この運命の神は俺がどんな姿をしていようが、悪魔キリマルだと認識するのだなと感心した。

「感じ入った。流石は神様だな。俺がキリマルだとわかるとは」

「ヤンスは魂で相手を見ているでやんすからね」

 得意げな顔をする神を見て、俺の頭に腹立たしい記憶が蘇る。

「そういやおめぇ! オビオのパーティにいたじゃねぇか! 散々俺様の邪魔をしやがって! いいのか! 神様が特定の者を依怙贔屓なんかして!」

「べ、別にヤンスが誰を気に入ろうがヤンスの自由でやーんす。まぁでも一応感謝はしておくでやんすよ。キリマルはオビオたちとの戦いでわざと負けたでやんしょう?」

「クハハ! 見抜いていたのか。まぁ俺がアマリを手にして本気を出せば、あんな中級冒険者どもは瞬殺だったがよ。無意識にお前の顔を覚えていたのと、知り合いの息子がいたから手加減してやった。だが、オビオは本気で殺す気でいたんだわ。奴は地球人だからな」

 俺は基本的に人間が憎い。獣人や樹族よりも、人間を殺したほうが気持ちが良い。

「オビオを!? 彼はヤンスの一番のお気に入りなんでやんすよ!」

「だから殺す気になったのかもなぁ。だが残念な事に奴は死ななかった。オビオにもヒジリと同じ・・・、いやそれ以上の回復能力があった。魔法も使えて未来の力も使えるなんてズルもいいとこだぜ」

「その分、彼はとても弱いでやんすよ。オビオにはヒジリのような超人的能力はないでやんす。もしキリマルが腹を刺さずに、首を刎ねていたら彼は普通に死んでいたでやんす」

「なんで同じ時代の地球人でも、そんなに差があるんだ?」

「あっしもこの星の事以外はあまり知らないでやんすが、ヒジリが特別なんでやんす。魔力、信仰心以外は能力値がオール18と万能型でやんすし、それに加えてあの奇妙な黒い服で、力と頑強さと素早さを大幅に上げているんでやんすよ。更に彼は毎日鍛錬を怠らないし、装備を改良して自分に有利にするだけの賢さがあるでやんす」

「まぁ科学者だからな。多分、あの糞ダサパワードスーツもどんどん改良しているんだろうよ。魔法無効化能力も卑怯だ! かぁ~! あんなもん、チートだ! チート! 誰だ、あんな化け物を呼び出したのは!」

「さ、さぁ。誰でやんしょうねぇ」

「だが、今回俺は、奴の顔から余裕を消してやったぜ。いつも自身に満ち溢れた顔をしている、あのヒジリに! 俺は! 本気を出させた! クハハハ!」

「あっそ、それは良かったでやんすね。でもキリマルはヒジリの正拳突き一発で瀕死になっていたでやんす。そのままヒジリに消滅させられれば良かったのになぁ。あっしはキリマルを見ていると妙に腹が立つでやんすよ」

「悪魔だからか?」

「悪魔だからでもあるし、悪魔のくせにいつも他者からの感謝の念を纏っているのが忌々しいんでやんす! 矛盾しているでしょうが! 悪魔のくせに! そしてコズミックペンには従おうともしないし!」

「何が悪い? 善行を成すのは、コズミックペンに逆らった結果だ。俺の本意じゃねぇ」

「はぁ・・・。いいでやんすか、キリマル。キリマルは絵を描いている画家のキャンバスの上を動き回る蝿のようなもんでやんす。画家はその蝿をうっとおしく思いつつも、キャンバスの端をほんの少し広げる能力を持っているので、無駄に追い払えないでやんすよ。だから画家は筆を使って蝿を誘導して絵に必要のない者を殺させ、空白をもっと作ろうとしているのでやんす」
 
 そこは小説家で例えろよ。なんでわざわざ画家に例えるんだよ。頭がこんがらがるだろうが。

「ほぉ~。しかしコズミックペンはなんでそんなに必死なんだ?」

「そりゃあ、あーた。Qの存在があるからでやんす。あれは元々この世界を作ったウンモ星人の置いてったものでやんすからね。いつ彼女の気が変わって、世界が消されるかわからないでやんす。コズミックペンの存在意義は物語を書き続ける事でやんすからね」

「でもあのQとかいうババァは、この世界を愛していると言っていたぞ。消す気はなさそうだが? それに奴は物質界にやってくると、コズミックペンのルールに従わないと存在できないみたいだしな」

「皮肉な話でやんすよね。ウンモが作り出したいくつかの世界の一つに発生した、知的生命体アヌンナキが作りしペンと本が、この宇宙の理を作り上げてしまうなんて」

「ハ! 話が壮大過ぎてどうでも良くなってくるな。俺は誰かを殺せるならそれでいい」

 ゴブリンはやれやれと首を振って、ずれたメガネを中指で上げた。

「蝿は目の前にウンコさえあれば満足でやんしょうよ。それにどうせここでの話は忘れるでやんすからね。時々覚えている者もいるでやんすが・・・。さぁ~て、キリマルはそろそろ帰る時間でやんすよ。安寧と混沌の螺旋が渦巻く糞の世界に!」

「その糞の一欠片を担うのがお前だろうが、糞神が」

「やかましいでやんす! 神域から散り消えよ! 悪魔キリマル!」
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