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隠れるのは得意だよ
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勝手に裏で話を進めていた事に対し、キラキは竜騎兵騎士団団長室で謝罪し頭を下げる。
先程、オビオたちと顔を合わせた暗い部屋と違って、団長室には大きな窓から日差しが差し込み、日光がキラキの金髪を煌めかせる。
その光景を見て俺は思う。
(上司が部下に頭を下げるなんて、中々出来ることじゃねぇぞ)
すぐさまビャクヤが跪き、スーッスーッと手のひらを上に向けて上げ、頭を上げてください的な動きをし、畏まる。
「んんんんとんでもないッ! 我らが団長様、頭をお上げ下さいッ! 闘技大会の件はッ! 寧ろッ! キリマルにとって丁度よい憂さ晴らしになったかもしれません。この話が無ければッ! 吾輩はッ! 城の地下にあるダンジョンの最深部でも目指そうかと思っていたところなのでんすッ!」
それを聞いて優男は顔を青くしてよろめいた。
「そ、それは無謀な憂さ晴らし! あそこは実力値30以上の魔物がゴロゴロしている場所だよ」
キラキは頭を上げて長いまつげをパチクリさせた後、更にヨロヨロとよろめく。それをビャクヤが肩を抱いて支えた。
そして数秒ほど二人は見つめ合っただろうか。きめぇ。周囲にバラの花でも咲きそうだな。
「・・・」
「・・・」
間が長いわ! なんだァ、お前らは。劇団員か何かか? なんで俺は、お前らの寸劇をボーッと突っ立って見ていないといけないんだ? 殺すぞ。
「ビャクヤ君は実力値が二十だろう? キリマル君は三十。そしてリンネ君はアーマーメイジを志したから実力値はまだ五しかない。悪魔の彼は大丈夫でも君たちに城のダンジョンは危険だよ。入団式前に、私の大事な部下を失うなんて事はあってはいけない。ビャクヤ君とて、リフレクトマントがあっても、やはりメイジはメイジだからね。いざという時に一撃で死んでしまう可能性もある。それは我が団にとっても大きな損失だよ。そして何よりも君たちの死を想像すると私が悲しい!」
うん? なんかキラキのビャクヤを見る目が怪しいな・・・。まさかな・・・。
キラキは体勢を立て直して、立ち上がると名残惜しそうにビャクヤから離れる。
「ところで、地走り族の君はなぜここにいるのだい?」
話が退屈だったのか、ピーターはいつの間にか影に潜んでいた。どの影や陰にピーターがいるかが、分かるのはレンジャーやアーチャーくらいだろう。しかし、キラキは俺の影を指さしていた。
ピーターは驚いて俺の影から出てきて、キラキを褒める。
「流石は団長様! 僕がどこに隠れているか当てるなんて!」
揉み手がうぜぇな、ピーターめ。
「いやぁ、それほどでも。私は竜騎士だからね。アーチャー系と同じく鷹の目というスキルを持っているのだよ。本来は飛竜に乗って地上を見張るのに使うのだが、そのスキルは影に潜むスカウトなども見つけてしまうのさ。見つけたら上空から降下して、槍で影をグサリ!」
流石は戦士系ジョブ。スカウト系に強い。影に潜んでいても無敵ってわけじゃないからな。地上の影響を受ける。影に刺さった槍が深いと、それはすなわち脳天直撃だからよ。
「で、君はクロノチーム側ではないのかね?」
キラキが円卓の椅子に座ると、当たり前のようにピーターも座って、テーブルの上のクッキーを手にとった。黒髪のメイドがすぐに紅茶を用意する。
団長は俺にも、さほど大きくはない円卓に着くよう促したが、座ると体重で椅子が壊れそうだったので幅のあるソファに座った。
「僕はね、もぐもぐ。負ける勝負はしない主義なんだ。だってそうでしょう? オビオなんてただの打たれ強いコックだし、サーカは中級冒険者の中ではとても強いけど、傲慢だしさ」
「でもお前は俺と戦った時、オビオに協力してたじゃねぇか」
「じゃあ訊くけどさ、あの時、僕が寝返っていたら生かしてくれてたの?」
「いいや。最後に殺そうと思って楽しみにしてたんだが、トウスの獅子連撃を食らってやられたフリをしている間に、ビャクヤに召喚されたんだわ。お前は命拾いをした」
「そんな気がしてたんだぁ。だから僕はオビオに賭けたのさ。キリマルの残虐さを見抜いていたからね」
「調子のいいやつだな。別に闘技大会には俺一人で出てもいいんだぜ? 今の俺を倒せるの西の大陸の現人神か、神の子ヤイバぐらいだ。ビャクヤもリンネも邪悪なるピーター君も要らねぇ」
「くそ! オビオの奴め! 僕に変な二つ名を付けやがって! キリマルにもそう呼ばれているじゃないか」
邪悪な顔をしたピーターを見て、ビクリとしたのはキラキだけだった。
「しかしだねぇ、キリマル君。チーム戦だからね。しかもリーダーが戦闘不能になった時点で、負けになるルールがある。個人が強くても必ず勝てるとは限らないのだよ。誰をリーダーにするかで勝負が決まる場合もある」
「だったら俺がリーダーでいいだろ」
「んんんバカおっしゃいッ! 君は僧侶の帰還の祈りで一発でピンチになるでしょうがッ!」
「常に動いてりゃあいいんだよ。祈りの範囲に入らなければいい」
「初見の相手ならそれでやり過ごせますが、勝ち抜くたびに対策はされますよッ!」
「じゃあリンネか?」
「リンネは詠唱中の我輩をッ! 守る役目がありますッ!」
あぁ、そうか。リンネはカッチカチの鎧お化けに転身したんだもんな。後で鎧とか買いにいくのか? 待てよ? アーマーメイジってヤイバと似てるじゃねぇか。あいつも鉄騎士でメイジだったろ。確か二つ名が鉄壁の魔法要塞だったか?
ヒジリの次に殺したいヤイバの顔を思い浮かべていると、カートゥンのムカつく主人公みたいなドヤ顔をするピーターが、半眼で眉毛を上下させている。
「リーダーに適任な人物がここにいるじゃないか。僕は隠れるのが得意だよ」
先程、オビオたちと顔を合わせた暗い部屋と違って、団長室には大きな窓から日差しが差し込み、日光がキラキの金髪を煌めかせる。
その光景を見て俺は思う。
(上司が部下に頭を下げるなんて、中々出来ることじゃねぇぞ)
すぐさまビャクヤが跪き、スーッスーッと手のひらを上に向けて上げ、頭を上げてください的な動きをし、畏まる。
「んんんんとんでもないッ! 我らが団長様、頭をお上げ下さいッ! 闘技大会の件はッ! 寧ろッ! キリマルにとって丁度よい憂さ晴らしになったかもしれません。この話が無ければッ! 吾輩はッ! 城の地下にあるダンジョンの最深部でも目指そうかと思っていたところなのでんすッ!」
それを聞いて優男は顔を青くしてよろめいた。
「そ、それは無謀な憂さ晴らし! あそこは実力値30以上の魔物がゴロゴロしている場所だよ」
キラキは頭を上げて長いまつげをパチクリさせた後、更にヨロヨロとよろめく。それをビャクヤが肩を抱いて支えた。
そして数秒ほど二人は見つめ合っただろうか。きめぇ。周囲にバラの花でも咲きそうだな。
「・・・」
「・・・」
間が長いわ! なんだァ、お前らは。劇団員か何かか? なんで俺は、お前らの寸劇をボーッと突っ立って見ていないといけないんだ? 殺すぞ。
「ビャクヤ君は実力値が二十だろう? キリマル君は三十。そしてリンネ君はアーマーメイジを志したから実力値はまだ五しかない。悪魔の彼は大丈夫でも君たちに城のダンジョンは危険だよ。入団式前に、私の大事な部下を失うなんて事はあってはいけない。ビャクヤ君とて、リフレクトマントがあっても、やはりメイジはメイジだからね。いざという時に一撃で死んでしまう可能性もある。それは我が団にとっても大きな損失だよ。そして何よりも君たちの死を想像すると私が悲しい!」
うん? なんかキラキのビャクヤを見る目が怪しいな・・・。まさかな・・・。
キラキは体勢を立て直して、立ち上がると名残惜しそうにビャクヤから離れる。
「ところで、地走り族の君はなぜここにいるのだい?」
話が退屈だったのか、ピーターはいつの間にか影に潜んでいた。どの影や陰にピーターがいるかが、分かるのはレンジャーやアーチャーくらいだろう。しかし、キラキは俺の影を指さしていた。
ピーターは驚いて俺の影から出てきて、キラキを褒める。
「流石は団長様! 僕がどこに隠れているか当てるなんて!」
揉み手がうぜぇな、ピーターめ。
「いやぁ、それほどでも。私は竜騎士だからね。アーチャー系と同じく鷹の目というスキルを持っているのだよ。本来は飛竜に乗って地上を見張るのに使うのだが、そのスキルは影に潜むスカウトなども見つけてしまうのさ。見つけたら上空から降下して、槍で影をグサリ!」
流石は戦士系ジョブ。スカウト系に強い。影に潜んでいても無敵ってわけじゃないからな。地上の影響を受ける。影に刺さった槍が深いと、それはすなわち脳天直撃だからよ。
「で、君はクロノチーム側ではないのかね?」
キラキが円卓の椅子に座ると、当たり前のようにピーターも座って、テーブルの上のクッキーを手にとった。黒髪のメイドがすぐに紅茶を用意する。
団長は俺にも、さほど大きくはない円卓に着くよう促したが、座ると体重で椅子が壊れそうだったので幅のあるソファに座った。
「僕はね、もぐもぐ。負ける勝負はしない主義なんだ。だってそうでしょう? オビオなんてただの打たれ強いコックだし、サーカは中級冒険者の中ではとても強いけど、傲慢だしさ」
「でもお前は俺と戦った時、オビオに協力してたじゃねぇか」
「じゃあ訊くけどさ、あの時、僕が寝返っていたら生かしてくれてたの?」
「いいや。最後に殺そうと思って楽しみにしてたんだが、トウスの獅子連撃を食らってやられたフリをしている間に、ビャクヤに召喚されたんだわ。お前は命拾いをした」
「そんな気がしてたんだぁ。だから僕はオビオに賭けたのさ。キリマルの残虐さを見抜いていたからね」
「調子のいいやつだな。別に闘技大会には俺一人で出てもいいんだぜ? 今の俺を倒せるの西の大陸の現人神か、神の子ヤイバぐらいだ。ビャクヤもリンネも邪悪なるピーター君も要らねぇ」
「くそ! オビオの奴め! 僕に変な二つ名を付けやがって! キリマルにもそう呼ばれているじゃないか」
邪悪な顔をしたピーターを見て、ビクリとしたのはキラキだけだった。
「しかしだねぇ、キリマル君。チーム戦だからね。しかもリーダーが戦闘不能になった時点で、負けになるルールがある。個人が強くても必ず勝てるとは限らないのだよ。誰をリーダーにするかで勝負が決まる場合もある」
「だったら俺がリーダーでいいだろ」
「んんんバカおっしゃいッ! 君は僧侶の帰還の祈りで一発でピンチになるでしょうがッ!」
「常に動いてりゃあいいんだよ。祈りの範囲に入らなければいい」
「初見の相手ならそれでやり過ごせますが、勝ち抜くたびに対策はされますよッ!」
「じゃあリンネか?」
「リンネは詠唱中の我輩をッ! 守る役目がありますッ!」
あぁ、そうか。リンネはカッチカチの鎧お化けに転身したんだもんな。後で鎧とか買いにいくのか? 待てよ? アーマーメイジってヤイバと似てるじゃねぇか。あいつも鉄騎士でメイジだったろ。確か二つ名が鉄壁の魔法要塞だったか?
ヒジリの次に殺したいヤイバの顔を思い浮かべていると、カートゥンのムカつく主人公みたいなドヤ顔をするピーターが、半眼で眉毛を上下させている。
「リーダーに適任な人物がここにいるじゃないか。僕は隠れるのが得意だよ」
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