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ラケルへの相談
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ヒジリさんに許可を貰い、ヒジランド神国にあるマナの大穴前まで、俺たちは飛んだ。
俺たちの気配をどこで察したのか、マナが渦巻く回廊階段に入ってすぐに、悪魔のフラッ君が現れた。
「これはこれは、永遠なる我が主、オビオ様……。お久しぶりです」
西洋風のお辞儀をして、顔を上げた悪魔のフラックの瞳に、キリマルが映ったのだろう。フラッ君の目は大きく見開かれ、彼の被る二股キャップの下から冷や汗がダラダラと零れ落ちる。
「ひえっ! 反逆と矛盾の悪魔!」
魔界で知らぬ者がいないほど有名なキリマルを見たんだ。その反応は当然か。キリマルは相手が誰だろうが、気に入らなければ平気で殺すからな。魔界でキリマルに殺された悪魔も沢山いるんじゃないかな。
「悪いな。変なのまで連れてきて」
「と、とんでもない。で、今日は何用で?」
現実逃避するように、視線を俺だけに釘付けにしているフラッ君は、どこか期待しているように見える。
そうか、俺の作る料理を欲しがっているんだな。
でもすまない。今はラケルさんに会わないと。
「ラケルさんはいるかい? 河童のラケルさん」
「ああ、彼女ですか……」
うおっと! 食べ物が貰えなくて落胆するフラッ君に、今すぐに何かを食べさせてあげたい!
取り合えず俺は、彼に飴玉を握らせた。不人気で誰も食べたがらないドリアン飴だ。こんなものしか残ってないのを申し訳なく思うよ。
「えっ! コレ、くれるんですか? いいんですか?」
飴玉一つで、とても喜んでくれるなんて、俺は嬉しいよ。舌が肥えてしまって、飴で満足しなくなったピーターとは大違いだ。
「ラケル様なら、いつもの場所におります! ささ、私めが案内いたしまする」
そう言うとフラッ君は、前を歩き、ドリアン飴を口に放り込んだ。
「臭いっ!」
と言うも、彼はものすごく良い笑顔である。あげてよかった。
「クハハ! 魔界の食い物は、味がしない砂の塊を食ってるようなもんだからな。ドリアン飴なんかでも、さぞ美味いだろうさ」
この世界にいる悪魔は、何故か自ら料理を作って食べようとしない。サーカの領地にいる悪魔たちもそうだ。
疑問に思ったので、質問してみた。
「フラッ君は、料理をしないのかい?」
「料理はできますが、悪魔が作ると味がなくなるんです」
「なにそれ、怖い! 呪いか何かか?」
つま先が反り返っている靴をカツカツ鳴らして、前を歩く道化師の悪魔は振り返って悲しそうな顔をした。
「はい。呪いみたいなものです。何故そうなるのか、誰にもわかりませんが」
なんて可哀想なんだ。
「俺が作る乳ボーロは、ちゃんと味もするが?」
キリマルが自慢げに言う。
「お前は人間の悪意を煮詰めたような悪魔、人修羅だからじゃね? 知らんけど」
「そうかもな。人間部分が残っているせいかもな」
そうこうしているうちに目的地に到着した。
「ここでございます」
幾層か階段を下りた先の踊り場の奥にある隠し扉の前で、フラッ君が立ち止まり、何もない壁を指した。
「あれ? 隠し扉の場所が変わってるよ。以前と鍵穴の仕掛けも違う」
ピーターが驚きつつも、鍵穴にピックツールを差し込んだ。
「そうなの?」
「ええ、ピーター様の言う通りでございます。扉の場所も定期的に変わっております。ちょくちょく冒険者が入って来るようになりましたので」
「よくこんなマナの濃い場所に潜りに来るなぁ。悪魔が自然発生する場所なのに」
とはいえ、大方の悪魔はちょっと前の魔本の件で消えちゃったから、復活するまで長い時間がかかる。今頃、魔界で戦っているのだろうなぁ。誰が現世に現れるかで。
「早く開けろ、ピーター」
サーカがピーターを急かしている。せっかちさんだなぁ。
ピーターは暗殺者に転職したから、開錠のスキルが下がってんだ。もう少し大目に見てやれよ。
―――カチリ!
大して時間をかけずに扉は開いた。腐っても地走り族。手先が不器用な地走り族を俺は見た事がない。
ゴゴゴと音を立てて横にスライドする壁の向こうには、大森林があった。ダンジョンの中の森は壮観だ。
「凄い! 地下にこんな広大な森があるなんて!」
ヒカリゴケが天井に生えており、明るく照らす森を目の当たりにして、ウィングが驚いた。
「そっか、ウィングはここに来た事がなかったもんな。当時は存在が消えてたから」
「ええ。オビオがいなければ……、ううん。皆がいなければ、消滅から復活するなんていう奇跡を体験する事はなかったよ。ありがとう、皆」
ウィングは畏まってお辞儀をした。
「いいって、気にすんなよ。俺たち仲間だろ?」
「そうだね。でも僕はオビオと仲間以上の関係になりたいのだけど」
男から女の姿に変わって、ウィングは俺に抱き着いてきた。
「こら! 本物のオビオは私のものだと言っているだろ! このアバズレ! 二号が死んで悲しんでいたのも、束の間だったな!」
サーカがウィングを引っ張って、俺から引き剥がそうとしていると、近くの茂みがガサガサと動く。
「あらあら、まぁまぁ。モテますわね、オビオ。ウフフフ」
「あ! ラケルさん! 久しぶり!」
ナイスバディの河童と言うのが相応しい、レプタリアンのラケルさんが現れた。
「以前は呼び捨てだったのに、今はさん付けになってますね。他人行儀で寂しいですわ、オビオ」
「そうだったっけ? 久しぶりに会ったから、何て呼んでいたか忘れてたよ。じゃあ、ラケルって呼ぶ」
「はい。ところで、ここには何をしに? 私に会いに来ただけって事ではなさそうに見えますが」
「ほんと、ラケルに会いに来るだけなら、どれだけ良かったかー」
「何かありましたか?」
心配そうな表情を見せる彼女は、顔にかかってきたおかっぱの髪のサイドを、耳に引っ掛けた。
「ドラコニアンがこの星を侵略しだしたんだ」
「なんですって! ドラコニアンが?」
「うん。多分だけど、この星を覆う遮蔽の膜に穴が開いてるから、見つかったんだと思う」
「穴、ですか……。古代樹族が遮蔽膜を張る前から、ドラコニアンはこの星の存在を知ってましたから、どのみち見つかったとは思いますが。現状はどうなっていますか?」
古代樹族が膜を張った事も知っているのか。流石はドラコニアンの下で働いていただけのことはあるな。情報データを閲覧できるだけの権限はあったという事か。
「獣人国を裏から支配して、勢力を伸ばそうとしているよ」
「レオンを支配しているのですか? まぁ」
「ちょっと待て」
サーカが急に口を挟んできた。
「どの道、見つかっていたのならば、なぜ、これまでこの星が無事だったんだ?」
「遥か昔に何かがあったせいで、ドラコニアンは同じ次元宙域に長時間留まるのを嫌がるようになりました。何かしらの脅威に怯えていたようです。それにこの宙域は銀河連合の管轄なので、長期支配するような余裕は無いはずなのですけどね」
「銀河連合とは?」
「この天の川銀河を含む、多数の銀河系の宇宙人が同盟を組む組織です」
「なんとも話が大きくなってきたな。その連合とやらはドラコニアンと敵対しているのか?」
「はい。もう何万年と敵対しています。ここ二千年間は連合が優位な立場にありました。理由は先ほど述べたように、ドラコニアンが同じ宙域に留まらなかったせいで、影響力が落ちたからです」
「この星が、狙われたという事は、彼らが同じ宙域に留まるようになったからか。ドラコニアンを脅かす、何かしらの脅威に備える必要がないと確信したからだろうか」
サーカはラケルの言葉をちゃんと理解している。宇宙を認識している、惑星ヒジリの住人はそう多くはない。オーガやドワーフでさえ、死後に行くとされている星の国(地球)が、空のどこかにある国だと思っているからな。
「はい。おそらくは。ところで地球はドラコニアンの脅威にどう対処していますか? オビオ」
ぐぅ……。あまり言いたくないなぁ。ヒジリさんが怒り狂うほどに、何も対処してないからなぁ、マザーは。
「これといって何も。惑星ヒジリ以外で地球外知的生命体を見つけたという事もあり、地球政府は対話を試みようとしているけど、相手にされてないって感じかな?」
「でしょうね。ドラコニアンたちが対話に応じるなら、銀河連合も手を焼いたりしてませんから」
「どうしたもんかなぁ。俺たちは地球政府から手を出すなって言われてて、ドラコニアン関係には手出しができない状態なんだよ」
「それは大変ですね」
「そこで相談なんだけど、ラケルさんが、地球政府を説得してくれないかな? ドラコニアンと関りがあったラケルさんの言葉なら、マザーも耳を傾けてくれるかもしれない」
「ええ、構いませんよ」
拍子抜けするほどあっさりと返事が返ってきた。少しは悩んだり、考え込んだりするのかと思ったんだけど。
「いいの?」
「勿論。オビオが困ってるならやりますよ。それにしても、地球ですか……。久しぶりに行きますね」
久しぶりってレベルじゃないけどな、二千年ってのは。
そういや、ラケルは過去の地球で俺たちに会った事を覚えてるのかな? いや、覚えていたら、以前ここで会った時にその話をしているか。
「ありがとな、ラケル」
少し希望の光が見えた気がする。ラケルの説得が上手くいけば、俺たちはドラコニアンへの介入が容易になる。
「お礼は、説得が成功してからにしてください。ところで、お腹は減っていませんか? よければ、川魚でも捕ってきますが」
それを聞いたフラッ君の目が輝いた。
「私はとても飢えています。是非ともお願いいたします」
ハハハ。俺の料理が食べたいんだな、フラッ君は。よーし、いっちょ作りますか。
「じゃあ、川魚料理でも作ろうか。ムクたちは、ベリーや付け合わせになりそうな野草を摘んで来てくれ」
「アイアイサー!」
ラケルと同じおかっぱであるムクが、軍人のような敬礼をして、ウィングとパンさんを引き連れて森の中へと消えていった。
俺たちの気配をどこで察したのか、マナが渦巻く回廊階段に入ってすぐに、悪魔のフラッ君が現れた。
「これはこれは、永遠なる我が主、オビオ様……。お久しぶりです」
西洋風のお辞儀をして、顔を上げた悪魔のフラックの瞳に、キリマルが映ったのだろう。フラッ君の目は大きく見開かれ、彼の被る二股キャップの下から冷や汗がダラダラと零れ落ちる。
「ひえっ! 反逆と矛盾の悪魔!」
魔界で知らぬ者がいないほど有名なキリマルを見たんだ。その反応は当然か。キリマルは相手が誰だろうが、気に入らなければ平気で殺すからな。魔界でキリマルに殺された悪魔も沢山いるんじゃないかな。
「悪いな。変なのまで連れてきて」
「と、とんでもない。で、今日は何用で?」
現実逃避するように、視線を俺だけに釘付けにしているフラッ君は、どこか期待しているように見える。
そうか、俺の作る料理を欲しがっているんだな。
でもすまない。今はラケルさんに会わないと。
「ラケルさんはいるかい? 河童のラケルさん」
「ああ、彼女ですか……」
うおっと! 食べ物が貰えなくて落胆するフラッ君に、今すぐに何かを食べさせてあげたい!
取り合えず俺は、彼に飴玉を握らせた。不人気で誰も食べたがらないドリアン飴だ。こんなものしか残ってないのを申し訳なく思うよ。
「えっ! コレ、くれるんですか? いいんですか?」
飴玉一つで、とても喜んでくれるなんて、俺は嬉しいよ。舌が肥えてしまって、飴で満足しなくなったピーターとは大違いだ。
「ラケル様なら、いつもの場所におります! ささ、私めが案内いたしまする」
そう言うとフラッ君は、前を歩き、ドリアン飴を口に放り込んだ。
「臭いっ!」
と言うも、彼はものすごく良い笑顔である。あげてよかった。
「クハハ! 魔界の食い物は、味がしない砂の塊を食ってるようなもんだからな。ドリアン飴なんかでも、さぞ美味いだろうさ」
この世界にいる悪魔は、何故か自ら料理を作って食べようとしない。サーカの領地にいる悪魔たちもそうだ。
疑問に思ったので、質問してみた。
「フラッ君は、料理をしないのかい?」
「料理はできますが、悪魔が作ると味がなくなるんです」
「なにそれ、怖い! 呪いか何かか?」
つま先が反り返っている靴をカツカツ鳴らして、前を歩く道化師の悪魔は振り返って悲しそうな顔をした。
「はい。呪いみたいなものです。何故そうなるのか、誰にもわかりませんが」
なんて可哀想なんだ。
「俺が作る乳ボーロは、ちゃんと味もするが?」
キリマルが自慢げに言う。
「お前は人間の悪意を煮詰めたような悪魔、人修羅だからじゃね? 知らんけど」
「そうかもな。人間部分が残っているせいかもな」
そうこうしているうちに目的地に到着した。
「ここでございます」
幾層か階段を下りた先の踊り場の奥にある隠し扉の前で、フラッ君が立ち止まり、何もない壁を指した。
「あれ? 隠し扉の場所が変わってるよ。以前と鍵穴の仕掛けも違う」
ピーターが驚きつつも、鍵穴にピックツールを差し込んだ。
「そうなの?」
「ええ、ピーター様の言う通りでございます。扉の場所も定期的に変わっております。ちょくちょく冒険者が入って来るようになりましたので」
「よくこんなマナの濃い場所に潜りに来るなぁ。悪魔が自然発生する場所なのに」
とはいえ、大方の悪魔はちょっと前の魔本の件で消えちゃったから、復活するまで長い時間がかかる。今頃、魔界で戦っているのだろうなぁ。誰が現世に現れるかで。
「早く開けろ、ピーター」
サーカがピーターを急かしている。せっかちさんだなぁ。
ピーターは暗殺者に転職したから、開錠のスキルが下がってんだ。もう少し大目に見てやれよ。
―――カチリ!
大して時間をかけずに扉は開いた。腐っても地走り族。手先が不器用な地走り族を俺は見た事がない。
ゴゴゴと音を立てて横にスライドする壁の向こうには、大森林があった。ダンジョンの中の森は壮観だ。
「凄い! 地下にこんな広大な森があるなんて!」
ヒカリゴケが天井に生えており、明るく照らす森を目の当たりにして、ウィングが驚いた。
「そっか、ウィングはここに来た事がなかったもんな。当時は存在が消えてたから」
「ええ。オビオがいなければ……、ううん。皆がいなければ、消滅から復活するなんていう奇跡を体験する事はなかったよ。ありがとう、皆」
ウィングは畏まってお辞儀をした。
「いいって、気にすんなよ。俺たち仲間だろ?」
「そうだね。でも僕はオビオと仲間以上の関係になりたいのだけど」
男から女の姿に変わって、ウィングは俺に抱き着いてきた。
「こら! 本物のオビオは私のものだと言っているだろ! このアバズレ! 二号が死んで悲しんでいたのも、束の間だったな!」
サーカがウィングを引っ張って、俺から引き剥がそうとしていると、近くの茂みがガサガサと動く。
「あらあら、まぁまぁ。モテますわね、オビオ。ウフフフ」
「あ! ラケルさん! 久しぶり!」
ナイスバディの河童と言うのが相応しい、レプタリアンのラケルさんが現れた。
「以前は呼び捨てだったのに、今はさん付けになってますね。他人行儀で寂しいですわ、オビオ」
「そうだったっけ? 久しぶりに会ったから、何て呼んでいたか忘れてたよ。じゃあ、ラケルって呼ぶ」
「はい。ところで、ここには何をしに? 私に会いに来ただけって事ではなさそうに見えますが」
「ほんと、ラケルに会いに来るだけなら、どれだけ良かったかー」
「何かありましたか?」
心配そうな表情を見せる彼女は、顔にかかってきたおかっぱの髪のサイドを、耳に引っ掛けた。
「ドラコニアンがこの星を侵略しだしたんだ」
「なんですって! ドラコニアンが?」
「うん。多分だけど、この星を覆う遮蔽の膜に穴が開いてるから、見つかったんだと思う」
「穴、ですか……。古代樹族が遮蔽膜を張る前から、ドラコニアンはこの星の存在を知ってましたから、どのみち見つかったとは思いますが。現状はどうなっていますか?」
古代樹族が膜を張った事も知っているのか。流石はドラコニアンの下で働いていただけのことはあるな。情報データを閲覧できるだけの権限はあったという事か。
「獣人国を裏から支配して、勢力を伸ばそうとしているよ」
「レオンを支配しているのですか? まぁ」
「ちょっと待て」
サーカが急に口を挟んできた。
「どの道、見つかっていたのならば、なぜ、これまでこの星が無事だったんだ?」
「遥か昔に何かがあったせいで、ドラコニアンは同じ次元宙域に長時間留まるのを嫌がるようになりました。何かしらの脅威に怯えていたようです。それにこの宙域は銀河連合の管轄なので、長期支配するような余裕は無いはずなのですけどね」
「銀河連合とは?」
「この天の川銀河を含む、多数の銀河系の宇宙人が同盟を組む組織です」
「なんとも話が大きくなってきたな。その連合とやらはドラコニアンと敵対しているのか?」
「はい。もう何万年と敵対しています。ここ二千年間は連合が優位な立場にありました。理由は先ほど述べたように、ドラコニアンが同じ宙域に留まらなかったせいで、影響力が落ちたからです」
「この星が、狙われたという事は、彼らが同じ宙域に留まるようになったからか。ドラコニアンを脅かす、何かしらの脅威に備える必要がないと確信したからだろうか」
サーカはラケルの言葉をちゃんと理解している。宇宙を認識している、惑星ヒジリの住人はそう多くはない。オーガやドワーフでさえ、死後に行くとされている星の国(地球)が、空のどこかにある国だと思っているからな。
「はい。おそらくは。ところで地球はドラコニアンの脅威にどう対処していますか? オビオ」
ぐぅ……。あまり言いたくないなぁ。ヒジリさんが怒り狂うほどに、何も対処してないからなぁ、マザーは。
「これといって何も。惑星ヒジリ以外で地球外知的生命体を見つけたという事もあり、地球政府は対話を試みようとしているけど、相手にされてないって感じかな?」
「でしょうね。ドラコニアンたちが対話に応じるなら、銀河連合も手を焼いたりしてませんから」
「どうしたもんかなぁ。俺たちは地球政府から手を出すなって言われてて、ドラコニアン関係には手出しができない状態なんだよ」
「それは大変ですね」
「そこで相談なんだけど、ラケルさんが、地球政府を説得してくれないかな? ドラコニアンと関りがあったラケルさんの言葉なら、マザーも耳を傾けてくれるかもしれない」
「ええ、構いませんよ」
拍子抜けするほどあっさりと返事が返ってきた。少しは悩んだり、考え込んだりするのかと思ったんだけど。
「いいの?」
「勿論。オビオが困ってるならやりますよ。それにしても、地球ですか……。久しぶりに行きますね」
久しぶりってレベルじゃないけどな、二千年ってのは。
そういや、ラケルは過去の地球で俺たちに会った事を覚えてるのかな? いや、覚えていたら、以前ここで会った時にその話をしているか。
「ありがとな、ラケル」
少し希望の光が見えた気がする。ラケルの説得が上手くいけば、俺たちはドラコニアンへの介入が容易になる。
「お礼は、説得が成功してからにしてください。ところで、お腹は減っていませんか? よければ、川魚でも捕ってきますが」
それを聞いたフラッ君の目が輝いた。
「私はとても飢えています。是非ともお願いいたします」
ハハハ。俺の料理が食べたいんだな、フラッ君は。よーし、いっちょ作りますか。
「じゃあ、川魚料理でも作ろうか。ムクたちは、ベリーや付け合わせになりそうな野草を摘んで来てくれ」
「アイアイサー!」
ラケルと同じおかっぱであるムクが、軍人のような敬礼をして、ウィングとパンさんを引き連れて森の中へと消えていった。
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