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禁断の箱庭と融合する前の世界(98)
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タカヒロは小屋があまりに土地に馴染んでいる事に驚いている。飛ばされた先は空き地で昔は家が建っていたのか土台のコンクリートだけが残っていた。
(帰ってきたんだ・・・日本!!)
帰還できた喜びとこれまでの辛かった人生を考えると、タカヒロは涙が溢れ嗚咽が漏れそうになったが、暗殺者としての自分が感情を押し殺して無表情にさせる。
「どこだ・・・ここは・・・。マナが極端に少ない場所だな・・・」
ヤイバはキョロキョロと見渡して道端に落ちている朽ちた標識を見ると、鉄傀儡の施設で見た星の国の文字が書かれていた。少しは星の国の文字を読むことができるが、流石にこれは読めなかった。
タカヒロも標識に近づいて文字を読む。
―――埼玉県○○村―――
「どうやら、廃屋があったり人が住んでいないところを見ると、ここは廃村みたいだな・・・。これは返って好都合かもしれない。ヤイバやワロティニスは大きいから都会だと目立って警察沙汰になっただろうし」
ヤイバは三メートルもあり、逞しい体格をしている。ワロティニスでさえ二メートル半はある。
タカヒロの言う通り、普通に都会などを歩けば大騒ぎとなり警官からの職務質問は免れないだろう。
廃村と言ってもまだまだ綺麗な家が建っており、生活道具もそのまま残されていた。近くには飲水になる湧水があり水源にも困らない。
「村人はどうしたんですか?魔物に襲われたにしては綺麗ですね」
「この世界に魔物はいないのだよ、ヤイバ。それにしても君達まで飛ばされてくるとは思いもしなかった」
小屋からワロティニスとフランが恐る恐る出て来る。
「小屋が揺れたかと思ったら何でこんな所にぃ・・・?」
「お兄ちゃん達、敵と戦っていたんでしょ?敵はどこに行ったの?」
タカヒロはどこか申し訳なさそうな顔をして、不思議がるフラン達に言った。
「ここは・・・日本という国の埼玉県という土地なんだ。君たちは俺の組織の仲間の能力で異世界に飛ばされて、この地にやって来てしまった。俺のせいで巻き込んでしまってすまない」
タカヒロは頭を下げる。
「ここは星の国なのかな?何だかあんまり私達の世界と変わらないような気がするけど」
ワロティニスは近くの農具入れに立てかけてあったクワを手に取って見ながら言った。
「お前達の言う星の国とは違う。聞いた感じではあちらの世界の星の国は科学技術が神レベルに発展しているから、俺の世界とは別の星の国だ。(神様が地球人だと知った時は驚いたな)」
「カガク技術が何かは知らないけど・・・。とにかくここは長閑だわぁ。素敵」
「はは・・。そうだな」
少し離れた場所にまだまだ使えそうな棚田があり、あぜ道にはツクシが沢山生えており、モンシロチョウが飛んでいる。
ワロティニスはクワを地面に置くと湧き水を両手で掬って飲み、喉を湿らすと暫くしてからアーーッ!と叫んだ。
「私達、元の世界に帰れないんじゃないかな?お兄ちゃん!」
今頃か!、とツッコミそうになったヤイバは何とか帰る手段は無いかと考えていた。が、ここで何かできる事は少ないと判断する。
「ああ・・・そうだね、ワロ。もしかしたらマナの濃い場所で例の霧が発生していれば帰ることが出来るかもしれないが、マナの少ないこの世界でその場所を探し出すには何年もかかるだろう・・・」
金色の瞳が暫く不安そうに兄を見つめていたが、何故かニコッと笑った。
「この世界で二人きりで暮らすのも悪くないかもね!」
「ねぇ・・・私もいるんですけどぉ?」
ワロティニスに存在を忘れられたフランがむくれながら、近くの丸太で出来た椅子に座った。
「ほんと綺麗な場所ね、ここ。春の草花の香りと温かい風が気持ちいい」
フランは白いスプリングコートを脱いでシャツとズボンだけになり、春の温かい風と日光をその身に浴びた。
小屋からはタカヒロの母親も出て来た。
ヤイバ達がいるにも関わらず怖がることは無く、呆けたように歩いて道端の朽ちた標識を見つめている。
「埼玉県・・・?日本・・・?日本に帰ってきた!」
「母さん・・・?」
エミは記憶が戻ったのか、息子に走り寄り抱きしめた。
「タカヒロ!私達、日本に帰ってきたのよ!」
フランと同じぐらいの背丈のエミは息子の傷だらけの胸に顔を埋める。
「記憶が戻ったのか?母さん!」
「私、記憶を失くしていたの?気がついたらここにいて・・・確かタカヒロと引き離されてから・・・」
「いいよ、母さん。そこから先は思い出さなくていい。日本に戻ってこれた事を喜ぼう」
「そう言えばタカヒロ、随分と大きくなったわね。見た目が変わっても何故かタカヒロだって解った」
「母さん・・・」
タカヒロは母親をギュッと抱きしめて僅かに涙を零す。遂に元の世界に戻り母親の記憶まで取り戻した。もう誰かを殺す必要もない。これから平和な日々が待っているのだ。うれし涙を零さない理由はなかった。
ワロティニスはその光景を見て涙を浮かべて兄の腕にしがみつく。
「お母さんに会えて・・・自分の世界に戻れて良かったね、タカヒロさんは」
「ああ。僕らは故郷に戻れなくなったが、少なくともその価値はあった」
「貴方達は優しいわねぇ。勿論二人の幸せは嬉しいけど、私はさっきからずっと帰る事ばかり考えているわぁ」
「そりゃあ僕達も帰りたいですよ、フランさん。でも帰れる可能性が低いのなら今をどう生きるかを考えないと。それに帰れる可能性もゼロではないでしょうから前向きにいきましょう」
「そうね」
「ねぇお兄ちゃん!あそこに私達でも暮らせそうな大きな家があるよ」
「行ってみよう。タカヒロさん、僕たちは周辺を散策してきます」
「ああ。なるべく人に見つからないようにしてくれ。人里離れた廃村だから大丈夫だとは思うけど」
「はい」
ヤイバ達は帰れない不安よりも異世界への興味が勝っているせいでワクワクとした表情を隠せない。
兄妹は少し興奮気味にキョロキョロと周りを見ながら建物へと向かった。後を追うフランも覚悟を決めたのか、いつもののんびりとした彼女に戻って鼻歌を歌っている。
彼らが大きな建物と呼んだ村の備蓄品倉庫は天井が高く頑丈であった。
「ねぇ中に沢山の物が有るけど、何かしら?」
フランは倉庫の棚に沢山積み上げられたダンボールの中を探っている。そしてビニールに覆われた新品の毛布を見つけた。
「何か変な透明の膜に覆われているけど、毛布が入ってるみたいね?この膜何かしら・・・魔物でもいるのかしらね?」
「この世界に魔物はいないそうですよ、フランさん(さっきの話を聞いてなかったのかな)」
「ええーー!天国みたいな世界ねぇ!となると冒険者や私みたいな聖騎士は商売上がったりじゃない・・・」
「商売って・・・。フランさんは聖騎士なんですから報酬は直接貰わないでしょ・・・」
「あっ!見て!食料っぽい物発見!」
フランは乾パンを見つけた。缶を暫くひっくり返したりして観察し、プルトップを引いて蓋を開けた。
乾パンを摘むとクンクンと匂ってからヤイバに差し出す。
「僕に毒味させるのですか・・・。この僕に・・・」
ヤイバは乾パンを受け取ると躊躇なくスッと妹に差し出した。無言でワロティニスに毒味しろと言っているのだ。
「もーーー!お兄ちゃん酷い!私に毒味しろっていうの?もーーー!」
「大丈夫だ、毒だったらフランさんが治してくれる。ハッ!そう言えばフランさんが一緒にいるのは不幸中の幸いだったな!」
潔癖症のヤイバは腐っていたりカビている可能性が少しでも有るものを絶対に口にしようとはしない。
「お兄ちゃんの馬鹿」
そう言って兄の手から乾パンを受け取り口に放り込んだ。
ワロティニスはすぐに噛もうとはせず舌で乾パンを舐めて確かめている横で、フランは乾パンを見つめながらヒジリの持っていた携帯食料を思い出して懐かしむ。
「そう言えばぁ、貴方達のお父さんがそれによく似た食料を持っていたわ。一つ食べるだけでお腹がいっぱいになるのよ」
ワロティニスは覚悟を決めたのか、硬い乾パンをボリボリと嫌そうな顔で噛み砕いている。
「何だろう・・・。若干塩味がするけど美味しくはない。香ばしいだけの硬いビスケットだよ・・。お腹も膨れないし・・・んー喉が渇くぅ」
「どうだ?毒っぽくはないか?腐っていたりカビ臭かったりしないか?ワロ」
「うん。問題ない」
エア眼鏡を指で持ち上げて妹は兄の物真似をする。毒味をさせた事に対する少しばかりの復讐なのだ。
(ぐほぉあ!小さな反撃をするワロちゃん可愛いいいいい!!)
勿論ヤイバは無表情である。眼鏡を指で持ち上げ光に反射させて”今のは何だ?“という顔をしている。
「これは僕達向きの食料では無いな。これではオヤツにもならない。オーガの僕たちでは直ぐに食べ尽くしてしまうだろう」
「そうだね・・・」
フランは二人の会話を聞いてオーガの特性を思い出した。
(そうだわ!オーガって限界までお腹が減ると凶暴化するんだった!今はお別れ会で沢山食べていたからお腹も膨れているだろうけど、これからは大変だわ!)
「凄いわ!」
入り口からタカヒロの母親の声が聞こえてきた。タカヒロとエミが倉庫に入ってきた。
「保存食料がこんなに沢山!毛布まで!トイレットペーパーもある。この備蓄倉庫はこの村だけじゃなくこの地域一帯を賄う為に作られたと壁のプレートに書いてあるから納得ね。でも放置されている所を見ると地域全体が過疎地になってしまったのね」
「何故、誰も食料を持っていかなかったのかしら?それにここは盗賊にも荒らされてもいないわぁ」
エミが微笑んで答える。
「この国は食料も物も有り余っているからね。それにこれらを処分するにもお金が掛かるの。盗賊はいないけど、ここを荒らしに来る人はいるんじゃないかしら。或は今のところ、そういった人達に見つかっていないだけだかもね。そういう人達は生活臭や人の気配が有れば近寄ってこないから洗濯物を干すとか畑を作るとかするといいかもね」
「何だかユルイ世界ねぇ・・・。私達の世界だったら、この倉庫を巡って争いや殺し合いが起きそうだけど。あまり死が身近じゃないって感じね?」
実際フランは、死んで所有者のいなくなった魔法使いの塔の所有権で殺し合いまでに発展した領主たちを見ている。
魔法使いの塔はマジックアイテムや貴重な触媒が沢山あり、それらを売ればかなりの額になるからだ。聖騎士として仲裁する前に彼らは口論となり、魔法を発動させて互いを攻撃して死んでしまった。
「言い方は悪いが、俺達にしてみればお前たちの世界が異常なんだ。簡単に人が死んだり殺されたりする世界はおかしい」
この言葉はタカヒロの自虐的な皮肉でもある。自分は最も命のやりとりに近い世界に生きていたのだ。仕方がないとは言え自分の命惜しさで他人の命を奪ってきたのは間違いない。
「確かにおかしいですよね。でも僕らの世界も少しずつ良くなってきていますよ。特に帝国は父上が統治して以降大きく変わっています。僕らもその内この世界のように平和で穏やかな世界にしてみますよ」
「ああ、そうだな。お前たちが帰れるよう俺も出来る限り協力する。それから俺たちの為に・・・色々とありがとうな」
タカヒロは申し訳なさ半分、感謝半分といった感じでぎこちなくニッコリと笑った。長い髪で顔が隠れ気味だが、髪の隙間から彼の笑顔は見れた。
「当面はここで暮らすにしても、やはり金は必要だな。東京に出て売れそうな物を売ってお金に変えてもらおう。あそこなら身分証が無くても買い取ってくれる怪しい業者もいそうだし。と言っても俺は奴隷暗殺者だったから、ろくなものは持っていないが・・・」
そう言ってタカヒロは小さな宝石の入っている自分の革袋の中身を見た。
「トウキョウ?そこはどんな所なの?」
ワロティニスとフランの目が輝いた。ツィガルやアルケディアでは宝石をお金に変えられるような場所は大抵都会だからだ。
「そうだな・・・、セブレの街に近いかな」
「セブレ!」
ワロティニスの目がいよいよキラキラと輝き出した。
「フランさんは神聖国モティのセブレに何度か行ったことあるよね?私は行ったこと無くて・・・」
「ええ、大きなお店が沢山あって世界でも有数のお金持ちが住む楽しい街よ」
「いいな~。商品を眺めるだけでも楽しそう!ねぇ、タカヒロさん!私達も行ったら駄目かな?」
「しかし・・・フランさんはともかく、オーガは目立ち過ぎる・・・」
しょんぼりする妹を見て兄は胸が痛くなる。何とか妹の役に立ちたいと考え、タカヒロに提案する。
「【透明】の魔法なら他人にも掛けられますから、僕とワロティニスだけ透明になって後ろを付いていくというのはどうでしょうか?この魔法の効果は特定条件下まで続きますし、燃費がいいのでマナの少ないこの世界でも問題なく使用できると思います」
「確か、他人に攻撃されたり攻撃を仕掛けたりしなければ解けない魔法だったよね。良いかもしれない!流石お兄ちゃん!」
「・・・。じゃあ皆で東京まで行ってみるか・・・。色々と不安だが、お前たちが喜ぶのなら償いというか恩返しになると言うか・・・な?」
「僕らは帰るつもりでいますよ、タカヒロさん。あまり気を使わないでください」
「そうか・・・。そう言ってもらえると気が楽になる、ありがとう」
「さて、僕たちはお腹が空いて凶暴になる前に食料の調達にでも行くかな。さっき茂みで鹿や猪を見たから、まだ近くにいるかもしれない。行こうワロティニス」
「うん」
「えらいっこちゃー!えらいこっちゃでー!」
マサヨシは女になり身軽になった体で通りを矢の如く走り、ピンクのお城へ駆け込んだ。
ドアをガンガンと叩くと大きい扉に付いている小さな扉が開き、赤い瞳が小さなオーガの女の子を見た。
「だれ?」
「おわぁ!タスネ!」
「呼び捨てとは無礼ね!貴方誰よ!」
「マサ・・マサヨです」
「変な名前ね」
タスネの口からアルコールの匂いが漂ってくる。
(くっせぇ!まだ酔いが覚めてねぇな。他に誰かいないのか?)
タスネの後ろから静かな衣擦れの音と人の気配がする。
「誰?お姉ちゃん・・・」
「あ、イグナ。何か変なオーガの女の子が馴れ馴れしいのよ」
「いや、俺のことはどうでもいいから!それよりもヤイバが・・!ヤイバが・・・!」
マサヨシはそこでゲホゲホと咽てしまった。
訝しむ姉妹だが、先程のお別れ会でこのオーガを見ている。
「どうぞ」
只ならぬ雰囲気でヤイバの事を伝えようとするマサヨシをイグナはお城に入れ、応接間まで通すとイグナはテーブルに【食料創造】で革袋に入った水を出す。
マサヨシはそれをごくごく飲むと落ち着き、ソファに座ってさっき見た出来事を話し始めた。
「実は・・・」
(帰ってきたんだ・・・日本!!)
帰還できた喜びとこれまでの辛かった人生を考えると、タカヒロは涙が溢れ嗚咽が漏れそうになったが、暗殺者としての自分が感情を押し殺して無表情にさせる。
「どこだ・・・ここは・・・。マナが極端に少ない場所だな・・・」
ヤイバはキョロキョロと見渡して道端に落ちている朽ちた標識を見ると、鉄傀儡の施設で見た星の国の文字が書かれていた。少しは星の国の文字を読むことができるが、流石にこれは読めなかった。
タカヒロも標識に近づいて文字を読む。
―――埼玉県○○村―――
「どうやら、廃屋があったり人が住んでいないところを見ると、ここは廃村みたいだな・・・。これは返って好都合かもしれない。ヤイバやワロティニスは大きいから都会だと目立って警察沙汰になっただろうし」
ヤイバは三メートルもあり、逞しい体格をしている。ワロティニスでさえ二メートル半はある。
タカヒロの言う通り、普通に都会などを歩けば大騒ぎとなり警官からの職務質問は免れないだろう。
廃村と言ってもまだまだ綺麗な家が建っており、生活道具もそのまま残されていた。近くには飲水になる湧水があり水源にも困らない。
「村人はどうしたんですか?魔物に襲われたにしては綺麗ですね」
「この世界に魔物はいないのだよ、ヤイバ。それにしても君達まで飛ばされてくるとは思いもしなかった」
小屋からワロティニスとフランが恐る恐る出て来る。
「小屋が揺れたかと思ったら何でこんな所にぃ・・・?」
「お兄ちゃん達、敵と戦っていたんでしょ?敵はどこに行ったの?」
タカヒロはどこか申し訳なさそうな顔をして、不思議がるフラン達に言った。
「ここは・・・日本という国の埼玉県という土地なんだ。君たちは俺の組織の仲間の能力で異世界に飛ばされて、この地にやって来てしまった。俺のせいで巻き込んでしまってすまない」
タカヒロは頭を下げる。
「ここは星の国なのかな?何だかあんまり私達の世界と変わらないような気がするけど」
ワロティニスは近くの農具入れに立てかけてあったクワを手に取って見ながら言った。
「お前達の言う星の国とは違う。聞いた感じではあちらの世界の星の国は科学技術が神レベルに発展しているから、俺の世界とは別の星の国だ。(神様が地球人だと知った時は驚いたな)」
「カガク技術が何かは知らないけど・・・。とにかくここは長閑だわぁ。素敵」
「はは・・。そうだな」
少し離れた場所にまだまだ使えそうな棚田があり、あぜ道にはツクシが沢山生えており、モンシロチョウが飛んでいる。
ワロティニスはクワを地面に置くと湧き水を両手で掬って飲み、喉を湿らすと暫くしてからアーーッ!と叫んだ。
「私達、元の世界に帰れないんじゃないかな?お兄ちゃん!」
今頃か!、とツッコミそうになったヤイバは何とか帰る手段は無いかと考えていた。が、ここで何かできる事は少ないと判断する。
「ああ・・・そうだね、ワロ。もしかしたらマナの濃い場所で例の霧が発生していれば帰ることが出来るかもしれないが、マナの少ないこの世界でその場所を探し出すには何年もかかるだろう・・・」
金色の瞳が暫く不安そうに兄を見つめていたが、何故かニコッと笑った。
「この世界で二人きりで暮らすのも悪くないかもね!」
「ねぇ・・・私もいるんですけどぉ?」
ワロティニスに存在を忘れられたフランがむくれながら、近くの丸太で出来た椅子に座った。
「ほんと綺麗な場所ね、ここ。春の草花の香りと温かい風が気持ちいい」
フランは白いスプリングコートを脱いでシャツとズボンだけになり、春の温かい風と日光をその身に浴びた。
小屋からはタカヒロの母親も出て来た。
ヤイバ達がいるにも関わらず怖がることは無く、呆けたように歩いて道端の朽ちた標識を見つめている。
「埼玉県・・・?日本・・・?日本に帰ってきた!」
「母さん・・・?」
エミは記憶が戻ったのか、息子に走り寄り抱きしめた。
「タカヒロ!私達、日本に帰ってきたのよ!」
フランと同じぐらいの背丈のエミは息子の傷だらけの胸に顔を埋める。
「記憶が戻ったのか?母さん!」
「私、記憶を失くしていたの?気がついたらここにいて・・・確かタカヒロと引き離されてから・・・」
「いいよ、母さん。そこから先は思い出さなくていい。日本に戻ってこれた事を喜ぼう」
「そう言えばタカヒロ、随分と大きくなったわね。見た目が変わっても何故かタカヒロだって解った」
「母さん・・・」
タカヒロは母親をギュッと抱きしめて僅かに涙を零す。遂に元の世界に戻り母親の記憶まで取り戻した。もう誰かを殺す必要もない。これから平和な日々が待っているのだ。うれし涙を零さない理由はなかった。
ワロティニスはその光景を見て涙を浮かべて兄の腕にしがみつく。
「お母さんに会えて・・・自分の世界に戻れて良かったね、タカヒロさんは」
「ああ。僕らは故郷に戻れなくなったが、少なくともその価値はあった」
「貴方達は優しいわねぇ。勿論二人の幸せは嬉しいけど、私はさっきからずっと帰る事ばかり考えているわぁ」
「そりゃあ僕達も帰りたいですよ、フランさん。でも帰れる可能性が低いのなら今をどう生きるかを考えないと。それに帰れる可能性もゼロではないでしょうから前向きにいきましょう」
「そうね」
「ねぇお兄ちゃん!あそこに私達でも暮らせそうな大きな家があるよ」
「行ってみよう。タカヒロさん、僕たちは周辺を散策してきます」
「ああ。なるべく人に見つからないようにしてくれ。人里離れた廃村だから大丈夫だとは思うけど」
「はい」
ヤイバ達は帰れない不安よりも異世界への興味が勝っているせいでワクワクとした表情を隠せない。
兄妹は少し興奮気味にキョロキョロと周りを見ながら建物へと向かった。後を追うフランも覚悟を決めたのか、いつもののんびりとした彼女に戻って鼻歌を歌っている。
彼らが大きな建物と呼んだ村の備蓄品倉庫は天井が高く頑丈であった。
「ねぇ中に沢山の物が有るけど、何かしら?」
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「何か変な透明の膜に覆われているけど、毛布が入ってるみたいね?この膜何かしら・・・魔物でもいるのかしらね?」
「この世界に魔物はいないそうですよ、フランさん(さっきの話を聞いてなかったのかな)」
「ええーー!天国みたいな世界ねぇ!となると冒険者や私みたいな聖騎士は商売上がったりじゃない・・・」
「商売って・・・。フランさんは聖騎士なんですから報酬は直接貰わないでしょ・・・」
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乾パンを摘むとクンクンと匂ってからヤイバに差し出す。
「僕に毒味させるのですか・・・。この僕に・・・」
ヤイバは乾パンを受け取ると躊躇なくスッと妹に差し出した。無言でワロティニスに毒味しろと言っているのだ。
「もーーー!お兄ちゃん酷い!私に毒味しろっていうの?もーーー!」
「大丈夫だ、毒だったらフランさんが治してくれる。ハッ!そう言えばフランさんが一緒にいるのは不幸中の幸いだったな!」
潔癖症のヤイバは腐っていたりカビている可能性が少しでも有るものを絶対に口にしようとはしない。
「お兄ちゃんの馬鹿」
そう言って兄の手から乾パンを受け取り口に放り込んだ。
ワロティニスはすぐに噛もうとはせず舌で乾パンを舐めて確かめている横で、フランは乾パンを見つめながらヒジリの持っていた携帯食料を思い出して懐かしむ。
「そう言えばぁ、貴方達のお父さんがそれによく似た食料を持っていたわ。一つ食べるだけでお腹がいっぱいになるのよ」
ワロティニスは覚悟を決めたのか、硬い乾パンをボリボリと嫌そうな顔で噛み砕いている。
「何だろう・・・。若干塩味がするけど美味しくはない。香ばしいだけの硬いビスケットだよ・・。お腹も膨れないし・・・んー喉が渇くぅ」
「どうだ?毒っぽくはないか?腐っていたりカビ臭かったりしないか?ワロ」
「うん。問題ない」
エア眼鏡を指で持ち上げて妹は兄の物真似をする。毒味をさせた事に対する少しばかりの復讐なのだ。
(ぐほぉあ!小さな反撃をするワロちゃん可愛いいいいい!!)
勿論ヤイバは無表情である。眼鏡を指で持ち上げ光に反射させて”今のは何だ?“という顔をしている。
「これは僕達向きの食料では無いな。これではオヤツにもならない。オーガの僕たちでは直ぐに食べ尽くしてしまうだろう」
「そうだね・・・」
フランは二人の会話を聞いてオーガの特性を思い出した。
(そうだわ!オーガって限界までお腹が減ると凶暴化するんだった!今はお別れ会で沢山食べていたからお腹も膨れているだろうけど、これからは大変だわ!)
「凄いわ!」
入り口からタカヒロの母親の声が聞こえてきた。タカヒロとエミが倉庫に入ってきた。
「保存食料がこんなに沢山!毛布まで!トイレットペーパーもある。この備蓄倉庫はこの村だけじゃなくこの地域一帯を賄う為に作られたと壁のプレートに書いてあるから納得ね。でも放置されている所を見ると地域全体が過疎地になってしまったのね」
「何故、誰も食料を持っていかなかったのかしら?それにここは盗賊にも荒らされてもいないわぁ」
エミが微笑んで答える。
「この国は食料も物も有り余っているからね。それにこれらを処分するにもお金が掛かるの。盗賊はいないけど、ここを荒らしに来る人はいるんじゃないかしら。或は今のところ、そういった人達に見つかっていないだけだかもね。そういう人達は生活臭や人の気配が有れば近寄ってこないから洗濯物を干すとか畑を作るとかするといいかもね」
「何だかユルイ世界ねぇ・・・。私達の世界だったら、この倉庫を巡って争いや殺し合いが起きそうだけど。あまり死が身近じゃないって感じね?」
実際フランは、死んで所有者のいなくなった魔法使いの塔の所有権で殺し合いまでに発展した領主たちを見ている。
魔法使いの塔はマジックアイテムや貴重な触媒が沢山あり、それらを売ればかなりの額になるからだ。聖騎士として仲裁する前に彼らは口論となり、魔法を発動させて互いを攻撃して死んでしまった。
「言い方は悪いが、俺達にしてみればお前たちの世界が異常なんだ。簡単に人が死んだり殺されたりする世界はおかしい」
この言葉はタカヒロの自虐的な皮肉でもある。自分は最も命のやりとりに近い世界に生きていたのだ。仕方がないとは言え自分の命惜しさで他人の命を奪ってきたのは間違いない。
「確かにおかしいですよね。でも僕らの世界も少しずつ良くなってきていますよ。特に帝国は父上が統治して以降大きく変わっています。僕らもその内この世界のように平和で穏やかな世界にしてみますよ」
「ああ、そうだな。お前たちが帰れるよう俺も出来る限り協力する。それから俺たちの為に・・・色々とありがとうな」
タカヒロは申し訳なさ半分、感謝半分といった感じでぎこちなくニッコリと笑った。長い髪で顔が隠れ気味だが、髪の隙間から彼の笑顔は見れた。
「当面はここで暮らすにしても、やはり金は必要だな。東京に出て売れそうな物を売ってお金に変えてもらおう。あそこなら身分証が無くても買い取ってくれる怪しい業者もいそうだし。と言っても俺は奴隷暗殺者だったから、ろくなものは持っていないが・・・」
そう言ってタカヒロは小さな宝石の入っている自分の革袋の中身を見た。
「トウキョウ?そこはどんな所なの?」
ワロティニスとフランの目が輝いた。ツィガルやアルケディアでは宝石をお金に変えられるような場所は大抵都会だからだ。
「そうだな・・・、セブレの街に近いかな」
「セブレ!」
ワロティニスの目がいよいよキラキラと輝き出した。
「フランさんは神聖国モティのセブレに何度か行ったことあるよね?私は行ったこと無くて・・・」
「ええ、大きなお店が沢山あって世界でも有数のお金持ちが住む楽しい街よ」
「いいな~。商品を眺めるだけでも楽しそう!ねぇ、タカヒロさん!私達も行ったら駄目かな?」
「しかし・・・フランさんはともかく、オーガは目立ち過ぎる・・・」
しょんぼりする妹を見て兄は胸が痛くなる。何とか妹の役に立ちたいと考え、タカヒロに提案する。
「【透明】の魔法なら他人にも掛けられますから、僕とワロティニスだけ透明になって後ろを付いていくというのはどうでしょうか?この魔法の効果は特定条件下まで続きますし、燃費がいいのでマナの少ないこの世界でも問題なく使用できると思います」
「確か、他人に攻撃されたり攻撃を仕掛けたりしなければ解けない魔法だったよね。良いかもしれない!流石お兄ちゃん!」
「・・・。じゃあ皆で東京まで行ってみるか・・・。色々と不安だが、お前たちが喜ぶのなら償いというか恩返しになると言うか・・・な?」
「僕らは帰るつもりでいますよ、タカヒロさん。あまり気を使わないでください」
「そうか・・・。そう言ってもらえると気が楽になる、ありがとう」
「さて、僕たちはお腹が空いて凶暴になる前に食料の調達にでも行くかな。さっき茂みで鹿や猪を見たから、まだ近くにいるかもしれない。行こうワロティニス」
「うん」
「えらいっこちゃー!えらいこっちゃでー!」
マサヨシは女になり身軽になった体で通りを矢の如く走り、ピンクのお城へ駆け込んだ。
ドアをガンガンと叩くと大きい扉に付いている小さな扉が開き、赤い瞳が小さなオーガの女の子を見た。
「だれ?」
「おわぁ!タスネ!」
「呼び捨てとは無礼ね!貴方誰よ!」
「マサ・・マサヨです」
「変な名前ね」
タスネの口からアルコールの匂いが漂ってくる。
(くっせぇ!まだ酔いが覚めてねぇな。他に誰かいないのか?)
タスネの後ろから静かな衣擦れの音と人の気配がする。
「誰?お姉ちゃん・・・」
「あ、イグナ。何か変なオーガの女の子が馴れ馴れしいのよ」
「いや、俺のことはどうでもいいから!それよりもヤイバが・・!ヤイバが・・・!」
マサヨシはそこでゲホゲホと咽てしまった。
訝しむ姉妹だが、先程のお別れ会でこのオーガを見ている。
「どうぞ」
只ならぬ雰囲気でヤイバの事を伝えようとするマサヨシをイグナはお城に入れ、応接間まで通すとイグナはテーブルに【食料創造】で革袋に入った水を出す。
マサヨシはそれをごくごく飲むと落ち着き、ソファに座ってさっき見た出来事を話し始めた。
「実は・・・」
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とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
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自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
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彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
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幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
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