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禁断の箱庭と融合する前の世界(129)
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最愛の者との突然の別れとはこんなものだろうか?
ヤイバの感情は無に等しかった。混乱のせいか何が起きたのか直ぐに頭が理解出来ないのだ。灰になった彼女は何処かへ転移したのではないかと、都合のいい望みを胸に妹の灰を見つめる。
「天使よぉぉ!!来てくれ!」
真っ先に反応したのはマサヨであった。
嗚咽とともに出てくる涙を必死に堪えて杖を構え、以前召喚したウメボシをイメージする。その間にも洞窟のどこからか吹いてくる風が、元ワロティニスだった灰を拡散させていった。
(早く!早く来てくれ!)
マサヨの強い思いはすぐに叶うことになったが・・・。天使の羽が光とともに舞い散り、ウメボシは現れたが悲しそうな顔で灰を見つめた後消えてしまった。
「なんでだよ!くそっ!灰になったら天使でも復活させるのは無理だって事かよぉぉ!!」
「あら、親しい友人だったのかしら?ごめんなさいね」
これっぽっちも申し訳無さを感じない謝罪が、マサヨの心を煮え滾らせる。
「おまえぇぇぇ!おまえがぁぁぁ!!」
皆が突然のワロティニスの死に呆気にとられる中、いつも持っているヴャーンズに貰った無骨な杖を振り上げ、マサヨは激昂してマーサを殴りかかった。
「マサヨさん!」
何かがおかしい。違和感をヤイバは感じる。マサヨは基本的に勝てる勝負以外は挑もうとはしない性格なのに、まるで激情型にでもなったかのように策も無く殴りかかっている。
「馬鹿じゃないの?うふふ」
そんなマサヨを見透かしたように、アンドロイドの残った手はマサヨの首を掴むと枝でも折るように簡単に捻ってしまった。そのままマサヨの死体をヤイバの前にドサッ!っと放り投げる。
紐の切れたパペットのように横たわる目の前の亡骸を見て、ヤイバは親しい者の死を徐々に、そして確実に認識しだした。
「何だ・・・何が起きた?何故マサヨさんまで・・・。だってついさっきまで生きていたのに・・・」
ガシャンとヤイバは膝をついて震える手でマサヨ持ち上げた。持ち上げるとダラリと下がった手足はもう動こうとはしない。じわじわと底冷えする寒さのように悲しみがヤイバを包みだした。
(いつもなら・・・いつもならここで怒りが僕を・・・)
しかし怒りの精霊の憑依をいくら待とうがその気配すら感じない。まるで怒りの感情が無くなったかのように。あるのはただただ深い悲しみだけだった。
【姿隠し】から現れたイグナがヤイバの肩に手を置いて心配した。
(ヤイバの心が壊れ始めている・・・!)
【読心】で覗いたヤイバの心の中は深く暗く、彼が得意とする氷魔法のように冷たくなっているのが解った。その暗闇の中で小さな子供の頃の姿のヤイバが自分を抱きしめて震えだしている。最愛の妹を失い、親しかったマサヨが殺され・・・身近な者の死をこれまでに遭遇したことの無いヤイバの心を叩きのめすには十分だった。
「立て!ヤイバ!」
その声は少し離れた場所からの老いたゴブリンの声だった。彼は何故かわざと注目を浴びるような大きな声で、動作も大きい。
皆の目を十分に向けさせたと確認するとヴャーンズは詠唱を始めた。
「彼女を葬れるのはお前だけだ!」
詠唱を終えると杖を構えヤイバにそう叫んだが、果たして跪いたまま微動だにしない彼に声が届いたかどうかは判らない。
それでも老ゴブリンは杖を構えて呪文を完成させた。
マーサの後ろで渦巻く虚無が轟々と音を立てて現れた。
「何をやるつもりかしら?私達には魔法の類は効かないと言っているでしょう?」
「果たしてどうかな?そこのドラコーン!奴の動きを念力で封じられるか?闇魔女殿は皆に【弓矢そらし】を頼む」
チャガはヴャーンズに言われた通り、マーサの動きを念力で封じようとした。黒く丸い目がただマーサを見つめて唸る。
「駄目だ!あの人形は力が強すぎる。精々動きを鈍らせる程度だ!」
「う・・・体が重い・・・なにこれ・・」
助けを乞うようにマーサは視線をカインに向けたが、彼はフォースフィールドの中で台座を調べるのに夢中だ。
「構わん!そのまま続けろ!ヤイバ!さっさと立たんか!」
「ヤイバ立って!立ちなさい!呆けていても何も変わらないのよ!」
リツは現実を見ろと言わんばかりに厳しくヤイバに言う。
彼は無言で立ち、おぼつかない足でマサヨの亡骸を抱きしめた後、戦いの邪魔にならない場所へと置いた。
「やれるのかね?ヤイバ。何なら僕が行こうか?」
しかし返事は無かった。
カワーは俯いたまま立ち尽くす友人の精神状態を冷静に判断してマーサの元へ向かった。
向かいながらも思う。
(彼は神の子、英雄の子ってだけで好きな時に泣く時間も与えてもらえないのだ。こんな無慈悲な事があるか!待ってろ、ヤイバ。僕があの魔法傀儡モドキを倒してやるからな・・・)
「僕にだってボロボロの人形を虚無の渦に押しやるぐらい出来るさ!ヤイバはそこで見ていたまえ!」
そう言って走り出し勢いをつけて彼女を大盾で叩いた。しかしフォースシールドがそれを阻む。
リツもカワーと同じようにマーサに近づきバトルハンマーで数回マーサを叩くと、フォースシールドのエネルギーが底をついたのか、直に彼女を掴めるようになった。
「押しくら饅頭でもするつもりかしら?アハハ!」
「そうやって笑っていられるのも今のうちだ!」
リツがマーサの体を掴んで持ち上げ動きを封じている間に、少しでも弱らせてやろうとカワーは近づき、小剣に全体重を乗せて、彼女の背中から心臓を突こうとしたが・・・鈍かった彼女の動きが元に戻った。
自分を掴むリツの腕を強引に振りほどいて振り向き、右手の甲でカワーの小剣を弾くとミスリル鎧の真ん中をまるで粘土でも握るかのように鷲掴みにして持ち上げ放り投げてしまった。
カワーは凄まじい速度で洞窟の壁に叩きつけられて暫く動けなり、不甲斐ない自分にクソ!と歯噛みをする。
それを見たリツは後方に飛び退り、辛うじて彼女の薙ぎ払いの一撃を躱した。
「すまない!あまり長時間念力で動きを封じる事は出来ない。精々三分が限度だ!次使えるようになるまで少し時間が掛かる」
「そこの気味の悪いドラコーンが私の動きを封じているのね?」
マーサの右手の人差し指にエネルギーが充填される。明らかに指先はチャガの方に向いているが、誰にもそれを防ぐ術はない。
それまで静かだったクロスケが突然、レーザービームを彼女の指先に命中させ、指先を爆発させた。
「きゃあ!」
「これでその凶悪なビームは使えへんで・・・。ワイの相棒をようも殺してくれたな!マーサ!」
クロスケは残像が見えるほど素早く動いてマーサを撃つも彼女はアクロバティックな動きでレーザービームを避けていく。
「アハハハ!回避モード中の私に旧式の攻撃なんて当たるものですか!」
しかしマーサは気がついていなかった。クロスケが無闇矢鱈と攻撃しているのではないと。彼は確実に虚無の渦へと彼女を誘導していたのだ。
そしてマーサは背後の轟々と鳴る渦の音にようやく気がついた。そして残念でしたという態度で肩を上げ、クロスケに向く。
「貴方、これを狙っていたの?お馬鹿さんね。ここまで近づけば誰にだって渦の気配には気がつくわ!でも言ったでしょう?魔法は効かないって・・・。ん・・・?この渦は・・・サカモト粒子!」
咄嗟に渦から離れようとしたがフォースフィールドが彼女とクロスケの四方を狭く囲んでいた。
「まさか!」
「ああ、そのまさかや。相棒がおらんこの世界に未練はないわ。一緒に行こか!虚無の渦の向こう側へ!次は~最終駅~。塵となって別宇宙~塵となって別宇宙~」
狭まるフォースフィールドが誘導する出口は一つしか無かった。
その出口とはサカモト粒子が集まっては霧散を繰り返す虚無の渦のみ。
クロスケを壊してでもこの現状を打破しようとしたが急激に狭まったフォースフィールドのせいで十分な攻撃動作を取れるスペースがない。
マーサの背後から自分に破滅をもたらす音が轟々と聞こえる。
「カイン様!助けて!カイン様!」
「ん~~?何だ、マーサ。押されているじゃないか。情けない」
安全な場所でのんびりとアンドロイドのピンチを眺め、やれやれといった感じで何かを放り投げた。
「間に合わないかもな。まぁいいか」
そう言うとまた台座を調べてあれこれブツクサとつぶやき出した。
「カイン様!!」
アンドロイドの悲鳴に近い声が広間に響き渡った。
狭まったフォースシールドの中では吸引力が最大限となり、マーサは少しも抗う事も出来ずクロスケと共に粒子の粒となって虚無の渦に飲み込まれていった。
呆気なく死んでいく仲間にヤイバは立ち尽くしたまま呆然とした。
(まただ・・・。今度はクロスケ・さん・・・。皆逝ってしまう・・・何も言わずに逝ってしまう・・・)
「あ、間に合わなかったか。まぁ間に合った所でアレが君を助けてくれるかどうかは判らないけど」
カインが放り投げた小さなカプセルは何かのコアであった。それを何処からか現れたナノマシンが黒く集って覆い形を成していく。
見る間に出来上がったそれは本物よりも随分と小さく―――全長三メートル程だが、それは誰しもが見覚えのある形をしており、見る者に恐怖を与えた。
鉄傀儡と何処と無く似ており、ところどころ脈打つ有機物が体を覆っている。
「あ・・・・あれは・・・邪神・・・狂った邪神だ!」
ムロが恐怖でへたり込む。
世界を死の蝿で覆い全てを無に帰す恐怖の神。忘れようにも忘れられない恐怖をこの星の住民に刻んだ狂った神。
黒い霧が空を覆った時の光景をムロは今でも直ぐに思い浮かべる事が出来る。
「その通り。覚えていたのかね。これはコアを失って亜空間を彷徨っていた邪神のナノマシンから作り出したコピーだ。邪神の生きているナノマシンを亜空間から探すのは大変だったよ。今しがたマナ関連施設以外を破壊するように命令した。それが出す・・・君達が死の蠅と呼ぶナノマシンは地表の文明を壊滅させるぐらいの事は出来る」
邪神と呼ばれる別宇宙のアンドロイドは一番の危険人物と判断したのか、ヴャーンズのいる方へと向いた。
キュゥゥンと音がしたと思うとムロとヴャーンズ苦しみだした。
咄嗟にヴャーンズはムロを突き飛ばす。
邪神の攻撃範囲から外れたのかムロは苦痛から開放され、父のように尊敬し慕うヴャーンズを何とか助ける為に近寄ろうとしたが、老魔法使いは手を出して来るなと言った。
「ウグググ・・・後は・・・後のことは頼んだぞ!一度見覚えの闇魔女!!・・・ハァハァ、ムロ、私は十分にバートラへの罪滅ぼしが出来ただろうか?ウグウッ!・・・さらばだ、ロロムの息子!いや・・・我が息子よ!」
「嫌だ!死なないで!あぁ!」
どうすればわからなくなって混乱するムロはビコノカミに向かって走り搭乗すべきか、ヴャーンズを助けるかでウロウロしている。
ヴャーンズは実は血の繋がりのあったムロを息子と呼んだ。随分と昔に行方不明となった従兄弟の息子を我が子のように愛した彼は、晩年の自分と行動を共にしてくれたムロを冥途の土産にと瞳に刻み付ける。
苦痛の中で頭に浮かぶ顔はムロとムロの妹、そしてサキュバスのウェイロニーだった。今頃、使いでバートラの上空を飛んでいる彼女は、すぐに主の命の終わりを感じとることになるだろう。主がいなくなれば、自分の生まれた世界へと自動的に戻っていくのが使い魔の掟なのだ。
家族とはどういうものかを今一度思い出させてくれたムロを見つめ、ニッコリ笑って頷くと年老いたゴブリンは、ツーっと目と鼻と耳から血を流してその場に崩れ落ちた。杖が乾いた音を立てて転がる。
「バートラへの罪滅ぼしなんてとっくの昔に終わっていたよ!寧ろバートラの住民がヴャーンズさんへの罪滅ぼしをするべきだったんだ!僕たちは一体ヴャーンズさんに何が出来たっていうのさ!貴方の家族を滅茶苦茶にしたのに!」
ムロは涙を零し何度も彼の名を叫んだ。名を叫んでも蘇ることはないが、それでもヴャーンズの名前を呼び続けるしか出来なかった。
誰もがムロを慰める余裕はなく、額に冷たい脂汗をかきながら邪神への対処を考えていると、突然邪神の背後に虚無の渦が発生した。
ヴャーンズに託された虚無魔法を一度見覚えの能力があるイグナが唱えたのだ。
「ヤイバ!立って!もうクロスケはいない!頼れるのは貴方しかいないから!」
「でも・・・僕には・・・もう・・・」
どうしてもヤイバには怒りが湧いてこなかった。怒りが悲しみを上回ってくれればこの足も動くのにと、自分の異常な現状を妙に思い、少しの間瞑想して原因を探る。
体を巡るマナに意識を集中すると自身の魔力の器に微かだが呪いの汚れのような物を見つけた。それは小さすぎて注意して探らないと判らない程のものであった。
(まさか・・・!あの時の・・・オーガ酒場で人形に憑依していた悪霊・・・!怒りが湧かないのはあの悪霊の最後に発した呪いか!なんて事だ・・・もう終わりだ・・・)
邪神は次にイグナを除外すべき危険な対象と判断し、先程ヴャーンズを葬った超音波をイグナに向けて発した。
と、突然今まで目立った動きをしていなかったライジンがイグナを抱えると素早く移動して邪神の攻撃から逃れる。
リツは悲しみに動けなくなった息子の近くまで行くと、フルヘルムの上から殴った。
「いつまでそうしているのですか!フーリー家の嫡男が情けない!今は悲しみに打ちひしがれている時ではありません!いつも戦闘中は冷静に効率的に動きなさいと言っているでしょう!」
ライジンがイグナを抱え、逃げ回っている間に何とかして息子の目を覚まそうとしたが、ヤイバはそれは無理だと伝えた。
「もう無理なんです・・・母上。僕の超常的な力の原動力である怒りが・・・呪いで封じられてしまったのです。虚無の拳を使えない今の僕はあの邪神を渦に押す事なんてできません・・・」
「やりなさい!それでもやるしかないのです!私も手伝いますから!」
しかしリツの言葉とは逆にヤイバはしゃがんで蹲った。
動けるようになったカワーは痛めた肩を押さえながらヤイバを心配して近くまでやってくる。
「ヤイバ・・・」
顔を上げたヤイバは怯える犬のような目で友人と母親を見る。
「無理だ・・・。僕にはもう無理だ・・・。助けてよ・・・父上!力が無ければあんな邪神を倒すのは無理だ!父上が命を引き換えにして倒した邪神を僕が倒せるはずがない!ワロは灰になって死んだ!マサヨさんも首を折られて死んだ!クロスケは虚無に消えてヴャーンズさんも血を流して死んで・・・助けて父上!助けてよ!うわぁぁぁ!」
強く硬い鋼の剣は突然折れてしまう。今のヤイバを見てカワーはそう思った。柔らかい鉄と硬い鋼で作られた特別な剣は折れにくい。
一見強そうなヤイバの心は限界以上の負荷を与えると簡単に折れてしまうのだ。
自分だってそうだが、挫折を知る彼は心への負荷の逃し方をヤイバよりは心得ている。その逃し方を知らないヤイバは負荷を心に蓄積させてしまい、心にショックを受け動けなくなった。その経験はカワーにもある。
突然、邪神がライジンを追うのを止めた。彼の腕の中のイグナが【姿隠し】を使ったのだ。
邪神はイグナを探して周囲をサーチしている。
「助けてよぉぉ!父上・・・僕を助けてよ、お父さん・・・」
静かになった洞窟でヤイバの子供返りしたかのような声が響く。
「ヤイバ・・・」
リツはフルヘルムの下で泣いていた。
自分が彼をあそこまで追いやってしまった。彼には家の格式だの何だのと言って散々今まで突き放しておいて、自分はライジンという恋人を作り劣情に溺れヤイバを傷つけた。彼の鋼の心を折るような傷をつけた要因の一つは自分でもあるだろう。
「全ては私の責任ですわ・・・。こうなれば私が邪神と相打ち覚悟で・・・」
そう言って震える足を前に踏み出そうとした時、背後から聞き覚えのある囁くような声が聞こえた。
洞窟の暗闇から現れたシルエットはどう見てもライジンのものであったが・・・。
「果たして私が十六歳の頃、自分の未熟な双肩にこれ程迄重い責任を負わされた事があっただろうか?答えは否だ。そして私がもし彼と同じ立場だったらどうだっただろうか?恐らく私も蹲って泣き喚いていたかもしれないな」
「?!」
蹲るヤイバ以外の一同は驚いてライジンを見る。
ライジンだった姿は一度光の粒子となり、もう一度形を作っていく。かつて世界を救った現人神の姿へ・・・。
ヤイバの感情は無に等しかった。混乱のせいか何が起きたのか直ぐに頭が理解出来ないのだ。灰になった彼女は何処かへ転移したのではないかと、都合のいい望みを胸に妹の灰を見つめる。
「天使よぉぉ!!来てくれ!」
真っ先に反応したのはマサヨであった。
嗚咽とともに出てくる涙を必死に堪えて杖を構え、以前召喚したウメボシをイメージする。その間にも洞窟のどこからか吹いてくる風が、元ワロティニスだった灰を拡散させていった。
(早く!早く来てくれ!)
マサヨの強い思いはすぐに叶うことになったが・・・。天使の羽が光とともに舞い散り、ウメボシは現れたが悲しそうな顔で灰を見つめた後消えてしまった。
「なんでだよ!くそっ!灰になったら天使でも復活させるのは無理だって事かよぉぉ!!」
「あら、親しい友人だったのかしら?ごめんなさいね」
これっぽっちも申し訳無さを感じない謝罪が、マサヨの心を煮え滾らせる。
「おまえぇぇぇ!おまえがぁぁぁ!!」
皆が突然のワロティニスの死に呆気にとられる中、いつも持っているヴャーンズに貰った無骨な杖を振り上げ、マサヨは激昂してマーサを殴りかかった。
「マサヨさん!」
何かがおかしい。違和感をヤイバは感じる。マサヨは基本的に勝てる勝負以外は挑もうとはしない性格なのに、まるで激情型にでもなったかのように策も無く殴りかかっている。
「馬鹿じゃないの?うふふ」
そんなマサヨを見透かしたように、アンドロイドの残った手はマサヨの首を掴むと枝でも折るように簡単に捻ってしまった。そのままマサヨの死体をヤイバの前にドサッ!っと放り投げる。
紐の切れたパペットのように横たわる目の前の亡骸を見て、ヤイバは親しい者の死を徐々に、そして確実に認識しだした。
「何だ・・・何が起きた?何故マサヨさんまで・・・。だってついさっきまで生きていたのに・・・」
ガシャンとヤイバは膝をついて震える手でマサヨ持ち上げた。持ち上げるとダラリと下がった手足はもう動こうとはしない。じわじわと底冷えする寒さのように悲しみがヤイバを包みだした。
(いつもなら・・・いつもならここで怒りが僕を・・・)
しかし怒りの精霊の憑依をいくら待とうがその気配すら感じない。まるで怒りの感情が無くなったかのように。あるのはただただ深い悲しみだけだった。
【姿隠し】から現れたイグナがヤイバの肩に手を置いて心配した。
(ヤイバの心が壊れ始めている・・・!)
【読心】で覗いたヤイバの心の中は深く暗く、彼が得意とする氷魔法のように冷たくなっているのが解った。その暗闇の中で小さな子供の頃の姿のヤイバが自分を抱きしめて震えだしている。最愛の妹を失い、親しかったマサヨが殺され・・・身近な者の死をこれまでに遭遇したことの無いヤイバの心を叩きのめすには十分だった。
「立て!ヤイバ!」
その声は少し離れた場所からの老いたゴブリンの声だった。彼は何故かわざと注目を浴びるような大きな声で、動作も大きい。
皆の目を十分に向けさせたと確認するとヴャーンズは詠唱を始めた。
「彼女を葬れるのはお前だけだ!」
詠唱を終えると杖を構えヤイバにそう叫んだが、果たして跪いたまま微動だにしない彼に声が届いたかどうかは判らない。
それでも老ゴブリンは杖を構えて呪文を完成させた。
マーサの後ろで渦巻く虚無が轟々と音を立てて現れた。
「何をやるつもりかしら?私達には魔法の類は効かないと言っているでしょう?」
「果たしてどうかな?そこのドラコーン!奴の動きを念力で封じられるか?闇魔女殿は皆に【弓矢そらし】を頼む」
チャガはヴャーンズに言われた通り、マーサの動きを念力で封じようとした。黒く丸い目がただマーサを見つめて唸る。
「駄目だ!あの人形は力が強すぎる。精々動きを鈍らせる程度だ!」
「う・・・体が重い・・・なにこれ・・」
助けを乞うようにマーサは視線をカインに向けたが、彼はフォースフィールドの中で台座を調べるのに夢中だ。
「構わん!そのまま続けろ!ヤイバ!さっさと立たんか!」
「ヤイバ立って!立ちなさい!呆けていても何も変わらないのよ!」
リツは現実を見ろと言わんばかりに厳しくヤイバに言う。
彼は無言で立ち、おぼつかない足でマサヨの亡骸を抱きしめた後、戦いの邪魔にならない場所へと置いた。
「やれるのかね?ヤイバ。何なら僕が行こうか?」
しかし返事は無かった。
カワーは俯いたまま立ち尽くす友人の精神状態を冷静に判断してマーサの元へ向かった。
向かいながらも思う。
(彼は神の子、英雄の子ってだけで好きな時に泣く時間も与えてもらえないのだ。こんな無慈悲な事があるか!待ってろ、ヤイバ。僕があの魔法傀儡モドキを倒してやるからな・・・)
「僕にだってボロボロの人形を虚無の渦に押しやるぐらい出来るさ!ヤイバはそこで見ていたまえ!」
そう言って走り出し勢いをつけて彼女を大盾で叩いた。しかしフォースシールドがそれを阻む。
リツもカワーと同じようにマーサに近づきバトルハンマーで数回マーサを叩くと、フォースシールドのエネルギーが底をついたのか、直に彼女を掴めるようになった。
「押しくら饅頭でもするつもりかしら?アハハ!」
「そうやって笑っていられるのも今のうちだ!」
リツがマーサの体を掴んで持ち上げ動きを封じている間に、少しでも弱らせてやろうとカワーは近づき、小剣に全体重を乗せて、彼女の背中から心臓を突こうとしたが・・・鈍かった彼女の動きが元に戻った。
自分を掴むリツの腕を強引に振りほどいて振り向き、右手の甲でカワーの小剣を弾くとミスリル鎧の真ん中をまるで粘土でも握るかのように鷲掴みにして持ち上げ放り投げてしまった。
カワーは凄まじい速度で洞窟の壁に叩きつけられて暫く動けなり、不甲斐ない自分にクソ!と歯噛みをする。
それを見たリツは後方に飛び退り、辛うじて彼女の薙ぎ払いの一撃を躱した。
「すまない!あまり長時間念力で動きを封じる事は出来ない。精々三分が限度だ!次使えるようになるまで少し時間が掛かる」
「そこの気味の悪いドラコーンが私の動きを封じているのね?」
マーサの右手の人差し指にエネルギーが充填される。明らかに指先はチャガの方に向いているが、誰にもそれを防ぐ術はない。
それまで静かだったクロスケが突然、レーザービームを彼女の指先に命中させ、指先を爆発させた。
「きゃあ!」
「これでその凶悪なビームは使えへんで・・・。ワイの相棒をようも殺してくれたな!マーサ!」
クロスケは残像が見えるほど素早く動いてマーサを撃つも彼女はアクロバティックな動きでレーザービームを避けていく。
「アハハハ!回避モード中の私に旧式の攻撃なんて当たるものですか!」
しかしマーサは気がついていなかった。クロスケが無闇矢鱈と攻撃しているのではないと。彼は確実に虚無の渦へと彼女を誘導していたのだ。
そしてマーサは背後の轟々と鳴る渦の音にようやく気がついた。そして残念でしたという態度で肩を上げ、クロスケに向く。
「貴方、これを狙っていたの?お馬鹿さんね。ここまで近づけば誰にだって渦の気配には気がつくわ!でも言ったでしょう?魔法は効かないって・・・。ん・・・?この渦は・・・サカモト粒子!」
咄嗟に渦から離れようとしたがフォースフィールドが彼女とクロスケの四方を狭く囲んでいた。
「まさか!」
「ああ、そのまさかや。相棒がおらんこの世界に未練はないわ。一緒に行こか!虚無の渦の向こう側へ!次は~最終駅~。塵となって別宇宙~塵となって別宇宙~」
狭まるフォースフィールドが誘導する出口は一つしか無かった。
その出口とはサカモト粒子が集まっては霧散を繰り返す虚無の渦のみ。
クロスケを壊してでもこの現状を打破しようとしたが急激に狭まったフォースフィールドのせいで十分な攻撃動作を取れるスペースがない。
マーサの背後から自分に破滅をもたらす音が轟々と聞こえる。
「カイン様!助けて!カイン様!」
「ん~~?何だ、マーサ。押されているじゃないか。情けない」
安全な場所でのんびりとアンドロイドのピンチを眺め、やれやれといった感じで何かを放り投げた。
「間に合わないかもな。まぁいいか」
そう言うとまた台座を調べてあれこれブツクサとつぶやき出した。
「カイン様!!」
アンドロイドの悲鳴に近い声が広間に響き渡った。
狭まったフォースシールドの中では吸引力が最大限となり、マーサは少しも抗う事も出来ずクロスケと共に粒子の粒となって虚無の渦に飲み込まれていった。
呆気なく死んでいく仲間にヤイバは立ち尽くしたまま呆然とした。
(まただ・・・。今度はクロスケ・さん・・・。皆逝ってしまう・・・何も言わずに逝ってしまう・・・)
「あ、間に合わなかったか。まぁ間に合った所でアレが君を助けてくれるかどうかは判らないけど」
カインが放り投げた小さなカプセルは何かのコアであった。それを何処からか現れたナノマシンが黒く集って覆い形を成していく。
見る間に出来上がったそれは本物よりも随分と小さく―――全長三メートル程だが、それは誰しもが見覚えのある形をしており、見る者に恐怖を与えた。
鉄傀儡と何処と無く似ており、ところどころ脈打つ有機物が体を覆っている。
「あ・・・・あれは・・・邪神・・・狂った邪神だ!」
ムロが恐怖でへたり込む。
世界を死の蝿で覆い全てを無に帰す恐怖の神。忘れようにも忘れられない恐怖をこの星の住民に刻んだ狂った神。
黒い霧が空を覆った時の光景をムロは今でも直ぐに思い浮かべる事が出来る。
「その通り。覚えていたのかね。これはコアを失って亜空間を彷徨っていた邪神のナノマシンから作り出したコピーだ。邪神の生きているナノマシンを亜空間から探すのは大変だったよ。今しがたマナ関連施設以外を破壊するように命令した。それが出す・・・君達が死の蠅と呼ぶナノマシンは地表の文明を壊滅させるぐらいの事は出来る」
邪神と呼ばれる別宇宙のアンドロイドは一番の危険人物と判断したのか、ヴャーンズのいる方へと向いた。
キュゥゥンと音がしたと思うとムロとヴャーンズ苦しみだした。
咄嗟にヴャーンズはムロを突き飛ばす。
邪神の攻撃範囲から外れたのかムロは苦痛から開放され、父のように尊敬し慕うヴャーンズを何とか助ける為に近寄ろうとしたが、老魔法使いは手を出して来るなと言った。
「ウグググ・・・後は・・・後のことは頼んだぞ!一度見覚えの闇魔女!!・・・ハァハァ、ムロ、私は十分にバートラへの罪滅ぼしが出来ただろうか?ウグウッ!・・・さらばだ、ロロムの息子!いや・・・我が息子よ!」
「嫌だ!死なないで!あぁ!」
どうすればわからなくなって混乱するムロはビコノカミに向かって走り搭乗すべきか、ヴャーンズを助けるかでウロウロしている。
ヴャーンズは実は血の繋がりのあったムロを息子と呼んだ。随分と昔に行方不明となった従兄弟の息子を我が子のように愛した彼は、晩年の自分と行動を共にしてくれたムロを冥途の土産にと瞳に刻み付ける。
苦痛の中で頭に浮かぶ顔はムロとムロの妹、そしてサキュバスのウェイロニーだった。今頃、使いでバートラの上空を飛んでいる彼女は、すぐに主の命の終わりを感じとることになるだろう。主がいなくなれば、自分の生まれた世界へと自動的に戻っていくのが使い魔の掟なのだ。
家族とはどういうものかを今一度思い出させてくれたムロを見つめ、ニッコリ笑って頷くと年老いたゴブリンは、ツーっと目と鼻と耳から血を流してその場に崩れ落ちた。杖が乾いた音を立てて転がる。
「バートラへの罪滅ぼしなんてとっくの昔に終わっていたよ!寧ろバートラの住民がヴャーンズさんへの罪滅ぼしをするべきだったんだ!僕たちは一体ヴャーンズさんに何が出来たっていうのさ!貴方の家族を滅茶苦茶にしたのに!」
ムロは涙を零し何度も彼の名を叫んだ。名を叫んでも蘇ることはないが、それでもヴャーンズの名前を呼び続けるしか出来なかった。
誰もがムロを慰める余裕はなく、額に冷たい脂汗をかきながら邪神への対処を考えていると、突然邪神の背後に虚無の渦が発生した。
ヴャーンズに託された虚無魔法を一度見覚えの能力があるイグナが唱えたのだ。
「ヤイバ!立って!もうクロスケはいない!頼れるのは貴方しかいないから!」
「でも・・・僕には・・・もう・・・」
どうしてもヤイバには怒りが湧いてこなかった。怒りが悲しみを上回ってくれればこの足も動くのにと、自分の異常な現状を妙に思い、少しの間瞑想して原因を探る。
体を巡るマナに意識を集中すると自身の魔力の器に微かだが呪いの汚れのような物を見つけた。それは小さすぎて注意して探らないと判らない程のものであった。
(まさか・・・!あの時の・・・オーガ酒場で人形に憑依していた悪霊・・・!怒りが湧かないのはあの悪霊の最後に発した呪いか!なんて事だ・・・もう終わりだ・・・)
邪神は次にイグナを除外すべき危険な対象と判断し、先程ヴャーンズを葬った超音波をイグナに向けて発した。
と、突然今まで目立った動きをしていなかったライジンがイグナを抱えると素早く移動して邪神の攻撃から逃れる。
リツは悲しみに動けなくなった息子の近くまで行くと、フルヘルムの上から殴った。
「いつまでそうしているのですか!フーリー家の嫡男が情けない!今は悲しみに打ちひしがれている時ではありません!いつも戦闘中は冷静に効率的に動きなさいと言っているでしょう!」
ライジンがイグナを抱え、逃げ回っている間に何とかして息子の目を覚まそうとしたが、ヤイバはそれは無理だと伝えた。
「もう無理なんです・・・母上。僕の超常的な力の原動力である怒りが・・・呪いで封じられてしまったのです。虚無の拳を使えない今の僕はあの邪神を渦に押す事なんてできません・・・」
「やりなさい!それでもやるしかないのです!私も手伝いますから!」
しかしリツの言葉とは逆にヤイバはしゃがんで蹲った。
動けるようになったカワーは痛めた肩を押さえながらヤイバを心配して近くまでやってくる。
「ヤイバ・・・」
顔を上げたヤイバは怯える犬のような目で友人と母親を見る。
「無理だ・・・。僕にはもう無理だ・・・。助けてよ・・・父上!力が無ければあんな邪神を倒すのは無理だ!父上が命を引き換えにして倒した邪神を僕が倒せるはずがない!ワロは灰になって死んだ!マサヨさんも首を折られて死んだ!クロスケは虚無に消えてヴャーンズさんも血を流して死んで・・・助けて父上!助けてよ!うわぁぁぁ!」
強く硬い鋼の剣は突然折れてしまう。今のヤイバを見てカワーはそう思った。柔らかい鉄と硬い鋼で作られた特別な剣は折れにくい。
一見強そうなヤイバの心は限界以上の負荷を与えると簡単に折れてしまうのだ。
自分だってそうだが、挫折を知る彼は心への負荷の逃し方をヤイバよりは心得ている。その逃し方を知らないヤイバは負荷を心に蓄積させてしまい、心にショックを受け動けなくなった。その経験はカワーにもある。
突然、邪神がライジンを追うのを止めた。彼の腕の中のイグナが【姿隠し】を使ったのだ。
邪神はイグナを探して周囲をサーチしている。
「助けてよぉぉ!父上・・・僕を助けてよ、お父さん・・・」
静かになった洞窟でヤイバの子供返りしたかのような声が響く。
「ヤイバ・・・」
リツはフルヘルムの下で泣いていた。
自分が彼をあそこまで追いやってしまった。彼には家の格式だの何だのと言って散々今まで突き放しておいて、自分はライジンという恋人を作り劣情に溺れヤイバを傷つけた。彼の鋼の心を折るような傷をつけた要因の一つは自分でもあるだろう。
「全ては私の責任ですわ・・・。こうなれば私が邪神と相打ち覚悟で・・・」
そう言って震える足を前に踏み出そうとした時、背後から聞き覚えのある囁くような声が聞こえた。
洞窟の暗闇から現れたシルエットはどう見てもライジンのものであったが・・・。
「果たして私が十六歳の頃、自分の未熟な双肩にこれ程迄重い責任を負わされた事があっただろうか?答えは否だ。そして私がもし彼と同じ立場だったらどうだっただろうか?恐らく私も蹲って泣き喚いていたかもしれないな」
「?!」
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