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魔法遊園地へ
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冒険者ギルドを目指してエポ村唯一の商店街をのしのしと歩くヒジリ。
その横に浮かんでヒジリと同じ速度で進むウメボシ。
そして二人の後ろをトボトボと歩くタスネがいる。
タスネは家の玄関でヒジリが抱きかかえようとした際に、村の中で抱っこされるのは流石に恥ずかしいからと言って断り普通に歩きだした。
が、歩みの遅いタスネを気遣ったウメボシが「浮かせて牽引しましょうか?」という提案をすると「優雅に浮いて進むだなんて何だか楽しそうだわ!」と、丸い目を輝かせてタスネはウメボシの提案を受け入れた。
しかし浮いた時に強い風が吹いてスカートが顔までめくれ上がり、下着であるズロースが丸見えとなってしまったのだ。
その状態をたまたまタスネの家の前を歩いていたホッフに見られてしまった。
ホッフは一度タスネと目が合ったにも拘らず、もう一度道を戻って、今来たような顔をしてくれたが、嘘が下手で顔が茹蛸のように赤くなっていた。
好意を寄せる異性に下着を見られた事にタスネはショックを受けて、ウメボシにけん引してもらうのを止めてもらい、今トボトボと歩いているのだ。
ヒジリは少し歩いては立ち止まってタスネを待つ、を繰り返している。
その度に土の上に石を敷き詰めただけの粗末な舗装道路が、ミシミシと音を立て僅かに沈む。
立ち止まって待っている間、ヒジリは退屈なのですぐ横にいるウメボシに話しかける。
「思ったのだが、この星の人間は物理的に脆い気がする。あとヒト科の種類が多過ぎる」
「そうでしょうか? 貧弱さの話でしたら、マスターの好きな二十世紀代の地球人も同じくらいの脆さでしたよ。ちょっとした事で簡単に死にますし、死んだらほぼ生き返れません。当時は転送技術を応用した人体再構成なんてありませんでしたから・・・。それと、この星の種族の多さは確かに異様ですね。今のところ、地走り族、犬人、オーガ、オーク、あと樹族の話を昨日タスネ様から聞きました。貴族階級のようです。どれもが進化の過程で淘汰し合わずに知性ある種として進化してきた事にウメボシは驚いています。恐らく昔はお互いが干渉しないような環境に住んでいたのでは、と推測します」
幾らか元気を取り戻し追いついたタスネが、二人の会話はチンプンカンプンだという顔をして割って入る。
「二人とも時たまノームみたいな会話をするよね」
「ノームという種族もいるのですか?」
「何言ってんのよ。東の果てにノームの島国があるでしょ? そういえば東の果てにオーガの国なんてあったかしら? ・・・まあいっか。ノームはね、凄いカラクリを作る反面、役に立たない道具もいっぱい作るから頭が良いのか悪いのか解らない種族だって言われているのよ。早口で難しい単語を使って喋るから、誰にも彼らが何を言っているのか解らないって冒険者が言っていたわ。樹族達はカラクリを嫌うからこの国には一人もノームがいないんだってさ」
「なるほど。他にも聞きたい。厄介な種族とかいるのかね? 悪名高い種族とか」
「えーっと・・・ごめんね・・・ヒジリは何だかオーガっぽくないから言うけど、そりゃあやっぱりオーガかな・・・。お腹が減ると、お構いなしで目についた生き物を食べようとするからね。あと、オーク兵は戦場で評判が悪いわね。投降した兵士を捕虜にせず必ず殺すんだって」
「ふむ・・・」
「マスター、タスネ様に色々聞いてお時間を取らせるのも何ですから、冒険者ギルドに寄った際に情報収集をして回ろうと思います」
ウメボシの言葉を聞いて、タスネはちょっとだけ肩をすくめて不思議そうな顔をした。
「別にどんどん聞いてくれていいのに。でも私はそんなに賢くないから、知っている事は多くないけどね・・・」
ヒジリはウメボシに情報収集の許可を出すと、今しがた到着した冒険者ギルドの扉を見てほぉと喜んだ。
幅も高さもあり大きなヒジリでも建物の中に入れる。入口が狭く天井の低い地走り族の家に入れなくて、若干疎外感を憶えていたのだ。
冒険者の報酬の一部や手数料で成り立っている冒険者ギルドの経済力は下手な領主よりも規模が大きい。大抵の村や街に立派な建物を構えている。
――――ゴゴゴゴ!
滅多に開かない大きな扉が開き、大きなオーガがギルド内に現れたのを見て、未だヒジリの情報を仕入れていない他所から来た冒険者達がざわつく。
「敵襲?! いや、奴隷オーガか。 やっぱりいつ見てもデカいな、オーガは」
「オーガって肉弾戦を挑むととんでもなく手強いんだよなぁ。魔法を使わなければほぼ負ける」
「誰が使役してんだ?」
冒険者達の視線が一斉にタスネに向いたので本人は緊張して歩き方がぎこちない。
扉の内側でギルドを警備している者は既にヒジリの事を知っているので敬礼をして迎えた。
オークの遊撃小隊を投降させたヒジリ、ウメボシ、それを使役するタスネはちょっとした村の英雄なのだ。
「おや、これはこれは。村の英雄様じゃないですか」
そう言って冒険者と情報交換をしていた一人の地走り族の男性が近寄ってきた。
見事なバーコード禿げ、タプタプした顎肉、出っ張ったお腹。しかしながら顔も声も地走り族の特徴通り子供であるのでなんとなく可愛い。禿親父のコスプレをした子供のようで滑稽なのだ。
「先日のオークとの戦いは素晴らしかったな。オークの一隊を見ても動じることなく、敵を引きつけ翻弄する怪力のオーガメイジ、オーガメイジの魔力の少なさを補い、後方から相手の戦闘力を無力化する使い魔のイービルアイ。真に見事な活躍であった。タスネは一体どうやって彼らを飼いならしたのかね?」
飼いならすという言葉にヒジリ達が憤慨しないか気にしながらタスネは答える。
「飼いならすなんてとんでもない。彼らが自主的に協力してくれたのであって、あの・・・」
「なんと! それは本当か? 友好的で有効的な(※オヤジギャグ)オーガとイービルアイを君は偶然得たというのかね! 羨ましい! 単刀直入に言うが、あの二匹を売ってくれんかね? 金貨十枚は出す! 金貨十枚もあれば君はまた魔法学校に通えるだろう?」
タスネが魔法学校中退者という軽い侮蔑が込められているのは言うまでもない。
それを感じ取ったタスネは何も言えなくなって下を向いている。
ヒジリはそんなやり取りはどうでもいいという顔で、禿げた地走り族の頭の上に手を置いた。
「申し訳ないが、禿げたちびっ子。我が主殿はクエストを受けに来たのだよ。邪魔をしないでもらいたい」
「な!? 禿げたちびっ子だと? 私はギルド長のカンデだ! ・・・それにしてもタスネのオーガは流暢な共通語を喋りおるな。流石腐ってもメイジというところか。じゃあこうしないかねタスネ。今、領主様から依頼が来ておってな。それを見事解決出来たら手数料を免除した報酬をそのままくれてやろう。ミスリル鉱山の利益の1%を毎月貰えるのだぞ。これは破格の報酬だ。しかし、失敗したなら君にオーガ達を使役する能力が無いという事で没収する。どうかね? これはギルド長としての会員への命令だ。冒険者を辞めない限り断れないぞ。それに我々の方がオーガ達を上手く使役できるだろうしな」
「そんな一方的な・・・。それにまたオークの襲撃があるかもしれないのに村を手薄にして良いんですか?」
「それは心配ない。こないだはたまたま殆どの冒険者達が出払っていて村が手薄だったが、今は傭兵や冒険者がいるし、一応王都にも連絡をした。じきに騎士様達が来るだろ。そもそも闇側の者が結界を突破するのは容易では無い。そう何度も何度も高額な結界破りのアイテムを使って、侵入はしてこんだろうしな。それにしても何でオーク達がこんな貧村にまで来たのか・・・」
何よりも自分の利益を優先するギルド長の強引な取り決めに困惑し、助けを求めるようにタスネはヒジリを見る。
「私は構わんよ。さっさと依頼内容を教えてもらおうか」
プルプルと怒りで震え、今にも目から光線を出してしまいそうなウメボシを制して、涼しい顔で応じるオーガにカンデギルド長は益々興味を持って目を輝かせた。
「ホホ! 自信があるようだな。では内容をば。領主様の所有する国境近くのミスリル鉱山が闇ドワーフ達に占拠されてしまったので取り戻してほしいとの事。交渉でも力ずくでも構わん。先に12人ほど冒険者を送ったのだが、まだ到着したばかりでね。特に進展は無い。詳しい場所はそこの平職員にでも聞いてくれたまえ。早くしないと先にやった冒険者達にクエストを達成されてしまうぞ」
そう言って憎たらしい顔で窓口の方を二重顎で指すと、カンデはギルド長室に入っていった。
「ギルド長にそこまでの権限があるとは思えませんが? タスネ様」
普段は青色の瞳だが怒りで赤くなった瞳のウメボシはタスネに聞いた。
「村の権力者なんてどこもこんな感じよ。カンデは冒険者ギルド本部から、冒険者ギルド長に任命された途端に、あんな風に威張り散らすようになったの。冒険者ギルドがないと汚れ仕事や、街道の治安維持も貴族や住民が担う事になって負担が増えるでしょ? だから誰も迂闊に口出しは出来ないのよ。きっとさっきだって私が何を言い返しても、難癖をつけてきたはずよ。実際、闇ドワーフを追い出すという難しいクエスト押し付けてきたし」
ウメボシの瞳がますます赤くなった。
「依頼が簡単であれば先にやった冒険者が直ぐにでも達成してしまうでしょうし、難しければそれはそれで厄介ですし・・・・。汚い手を使いますねギルド長は。一方的な契約の押しつけがまかり通るなんて、一体この国の法制度はどうなっているのでしょうか? 法の番人は存在しないのでしょうか? ねぇマスター」
「法が機能していないのであれば、力で対抗するしかあるまい。要は我が主殿を重要な人物にしてしまえばいいのだ。私にはその力がある」
ヒジリは腕を組んで自信たっぷりの顔で目を閉じている。
「そうね、そうすればギルド長も・・・。え! 私が?」
頷きかけてタスネはヒジリを二度見した。
「難易度の高いクエストを受け続けて、我々に依存するようにしてしまえばいいのだ。そうなればギルドは我々を重要なポジションに置くようになるだろう。で、気がついた時には立場が逆転しているという訳だ」
「ハハハ・・・。その通り有言実行出来ればいいけど・・・」
ヒジリの突拍子もない話に困惑しつつ、タスネは窓口で素早くクエストを受ける手続きを済ませた。
「それではマスター、約束通り情報収集に行ってまいります。既に冒険者ギルドの書物は全てスキャンさせて頂きましたので村中の書物を読み漁ってきます。それからミスリル鉱山の位置情報も得ておりますので、得た情報は今後必要がある時に提供していきたいと思います」
「ああ、よろしくウメボシ」
「有能な使い魔さんだね~」
「うむ。不法投棄され廃棄処分寸前のウメボシを、ゴミ集積所から私が貰い受けて直したのだから優秀で当然だ。でも知らない機能も多いし時々何だかおかしなところがあって・・いやこの話はするまい。忘れてくれ」
「何言っているのか解らないけど、じゃあアタシはアルバイトがあるから行ってくるね。ヒジリは家でゆっくりしてて。多分妹達が休ませてくれないだろうけど。ウフフ」
情報収集に出かけたはずのウメボシが忘れていましたと言ってすぐに戻ってきた。
「これを生活の足しにしてください」
アルバイトに行こうとしていたタスネに、砂金を売って教会での登録手数料を引いた残りの銀貨九枚が入った皮の袋を差し出したがをタスネは黙って首を横に振り、受け取ろうとはせず行ってしまった。
どうやら対価の伴わないお金の施しを良しとはしない性格のようだ。地走り族にしては珍しい性格である。
「お金による施しを受けないとは! タスネ様はどこか昔の日本人に通ずるところがありますね、素晴らしい!」
ウメボシは自分の行動が彼女のプライドを傷つけたのではないかと心配しつつも称賛する。目を潤ませて暫くタスネの小さな背中を見送り、お金を無造作にヒジリに渡すとウメボシも立ち去った。
「では私は庭でゴロゴロさせてもらおうか」
今のやり取りに何も感じるところが無かったのか、ダメ男のようなセリフを吐いてヒジリはタスネの家に向かう。家に着くなり
「オーガのおじちゃ~ん!」
と三姉妹が飛びついてきた。
「私はおじちゃんなどではない。ヒジリという名前がある。それにまだ十九歳だ。若い」
「解ったヒジリのおじちゃん」
コロネの返事に「駄目だこりゃ」と心の中で二十世紀の大好きなお笑い芸人の物真似をしながら呟く。
「遊んでよぉ、ヒジリ~!」
分厚い唇から甘ったるい声で次女のフランは言う。
ふんわりとした金髪のボブ、水色の瞳がターコイズのようだ。とても十二歳とは思えない。
彼女の潤んだ大きな目がヒジリを見つめている。
「遊んでよー、ヒジリー」
フランを真似するが抑揚がなく、一切の色気の欠片もない十歳の三女イグナがヒジリの腿に抱きついた。
黒色のショートヘアーに暗黒の渦ような瞳を持つその目は、一体何を考えているのか。
ヒジリは顎をさすって困惑しながら考える。
遊ぶと言っても小さな子供との遊び方が解らないのだ。
地球人は死ぬ事がないので、人口抑制が厳しく管理・統制されており、子供を見かける機会が少ない。
では自分が子供に再転生すれば良いではないかと考えがちだが、再び人生をやり直す場合は十八歳以上の年齢で蘇らないといけない法律になっている。
一定数存在する蘇りを永遠に拒んだ人達の穴埋めとして、子供を欲する夫婦に抽選で子孫を残す権利が与えられるが、それは宝くじ並みの低い確率なのだ。
ヒジリの親が如何に幸運だったかは言うまでもない。更にヒジリには祖父母もいたので、親も抽選に当たった幸運な子供だったのだ。それはもう天文学的な確率と言える。
今の状況に役立つ経験がこれまでに無かったかと子供時代を思い出してみたが、周りには祖父母や両親、その他の大人とロボットばかりがおり、常にチヤホヤされて育ったという記憶しかなかった。
四十一世紀には学校制度がないので、同世代の子供と遊んだ経験がない。
座って色々考えていると金髪を真上に二つ括りにした、如何にもお転婆という感じのコロネがヒジリの肩まで上り、立って立ってという。言われるがままヒジリがぬーっと立つと
「高い高い! 怖い怖い! しゃがんでー! しゃがんでー!」
と初めてタスネを抱っこした時と同じ事をコロネはどら声で言う。
ヒジリがしゃがむと、コロネはササッと降りて胸を押さえて「動悸よ鎮まれ!」と言わんばかりにバンバンと手のひらで叩いた。
「ドキドキしたー! 魔法遊園地の浮遊板より高かった!」
浮遊板とは【軽量化】の魔法が付与された、乗るとある程度浮き上がったり沈んだりを繰り返す手すり付きの板だ。反重力で浮いている訳ではなく、魔法で軽くなるので従業員が持ち上げたり、下げたりしているだけだ。
コロネが魔法遊園地の話をすると、他の姉妹の顔が徐々に暗くなっていく。まだ両親がいた頃に一度だけ行った事があったのだ。
二人の姉の顔を見たコロネがぽつりとつぶやく。
「あのね、ヒジリのおじちゃん。コロネ、魔法遊園地に行きたい・・・」
すかさず次女がいつも通りの甘い声だが、微かに厳しい口調でコロネを諭す。
「駄目よ。あそこはお金を払わないと入れないの。高いんだから」
まだ八歳のコロネは自分の家が貧乏な事は解っているが、感情的には両親との楽しかった思い出に、もう一度浸りたいのだ。しかしお金が掛かると解ると、渋々返事をして静かになる。
「ほう? 魔法遊園地というものがあるのかね。私は興味があるな。行ってみようではないか」
純粋に魔法遊園地に興味を持ったヒジリに対し三姉妹は「え?!」という顔をし、心が期待と懐疑の間で揺れ動いた。
「お金・・・、あるの?」
黒髪のイグナは暗黒の様な瞳に光を宿してヒジリを見つめる。
「ここに銀貨九枚ある。これで足りるかね?」
「わぁぁぁ!! どうしたの?そんな大金。一人千銅貨五枚だから四人だと二銀貨! ヒジリってもしかしてお金持ちなの~ん?」
と妖艶な笑みを浮かべ脚に手を回してくるフラン。豊満な胸がヒジリの脚に押し付けられる。
劣情を抱かないように生まれつき制御チップで調整されているヒジリは、脚にフランの胸が押し付けられても何も思うことはなく、通貨システムについて話始めた。
「通貨システムの無い我々にとって、お金と言うものは実に原始的なシステムでウンタラカンタラ」
「わからなーい! わからなーい!」
コロネがヒジリの脚に正拳突きをして抗議する。
「とにかく、まだ日は高い。行くとしようかちびっ子たち」
「わぁぁぁい!」
生活苦でロバを売ってしまい無用の長物となった四輪の荷台を、ヒジリは担ぎ上げて家の前の道まで運んで降ろし、子供たちを乗せた。
そしてそれをロバよりも力強くけん引して魔法遊園地に向かって出発するのだった。
道中、興奮した姉妹たちの声で騒がしくて、度々街道見回りの冒険者に闇側の奴隷商人オーガではないかとヒジリは怪しまれる事となったが、姉妹たちがやかましく抗議をして事なきを得た。
遊園地に着くと客達は姉妹に連れられたオーガを見て一瞬驚いたが、危険がないと解るとまた遊びに興じる。
姉妹たちはもうこれ以上無い程のハイテンションで遊園地を楽しんだのだった。
その横に浮かんでヒジリと同じ速度で進むウメボシ。
そして二人の後ろをトボトボと歩くタスネがいる。
タスネは家の玄関でヒジリが抱きかかえようとした際に、村の中で抱っこされるのは流石に恥ずかしいからと言って断り普通に歩きだした。
が、歩みの遅いタスネを気遣ったウメボシが「浮かせて牽引しましょうか?」という提案をすると「優雅に浮いて進むだなんて何だか楽しそうだわ!」と、丸い目を輝かせてタスネはウメボシの提案を受け入れた。
しかし浮いた時に強い風が吹いてスカートが顔までめくれ上がり、下着であるズロースが丸見えとなってしまったのだ。
その状態をたまたまタスネの家の前を歩いていたホッフに見られてしまった。
ホッフは一度タスネと目が合ったにも拘らず、もう一度道を戻って、今来たような顔をしてくれたが、嘘が下手で顔が茹蛸のように赤くなっていた。
好意を寄せる異性に下着を見られた事にタスネはショックを受けて、ウメボシにけん引してもらうのを止めてもらい、今トボトボと歩いているのだ。
ヒジリは少し歩いては立ち止まってタスネを待つ、を繰り返している。
その度に土の上に石を敷き詰めただけの粗末な舗装道路が、ミシミシと音を立て僅かに沈む。
立ち止まって待っている間、ヒジリは退屈なのですぐ横にいるウメボシに話しかける。
「思ったのだが、この星の人間は物理的に脆い気がする。あとヒト科の種類が多過ぎる」
「そうでしょうか? 貧弱さの話でしたら、マスターの好きな二十世紀代の地球人も同じくらいの脆さでしたよ。ちょっとした事で簡単に死にますし、死んだらほぼ生き返れません。当時は転送技術を応用した人体再構成なんてありませんでしたから・・・。それと、この星の種族の多さは確かに異様ですね。今のところ、地走り族、犬人、オーガ、オーク、あと樹族の話を昨日タスネ様から聞きました。貴族階級のようです。どれもが進化の過程で淘汰し合わずに知性ある種として進化してきた事にウメボシは驚いています。恐らく昔はお互いが干渉しないような環境に住んでいたのでは、と推測します」
幾らか元気を取り戻し追いついたタスネが、二人の会話はチンプンカンプンだという顔をして割って入る。
「二人とも時たまノームみたいな会話をするよね」
「ノームという種族もいるのですか?」
「何言ってんのよ。東の果てにノームの島国があるでしょ? そういえば東の果てにオーガの国なんてあったかしら? ・・・まあいっか。ノームはね、凄いカラクリを作る反面、役に立たない道具もいっぱい作るから頭が良いのか悪いのか解らない種族だって言われているのよ。早口で難しい単語を使って喋るから、誰にも彼らが何を言っているのか解らないって冒険者が言っていたわ。樹族達はカラクリを嫌うからこの国には一人もノームがいないんだってさ」
「なるほど。他にも聞きたい。厄介な種族とかいるのかね? 悪名高い種族とか」
「えーっと・・・ごめんね・・・ヒジリは何だかオーガっぽくないから言うけど、そりゃあやっぱりオーガかな・・・。お腹が減ると、お構いなしで目についた生き物を食べようとするからね。あと、オーク兵は戦場で評判が悪いわね。投降した兵士を捕虜にせず必ず殺すんだって」
「ふむ・・・」
「マスター、タスネ様に色々聞いてお時間を取らせるのも何ですから、冒険者ギルドに寄った際に情報収集をして回ろうと思います」
ウメボシの言葉を聞いて、タスネはちょっとだけ肩をすくめて不思議そうな顔をした。
「別にどんどん聞いてくれていいのに。でも私はそんなに賢くないから、知っている事は多くないけどね・・・」
ヒジリはウメボシに情報収集の許可を出すと、今しがた到着した冒険者ギルドの扉を見てほぉと喜んだ。
幅も高さもあり大きなヒジリでも建物の中に入れる。入口が狭く天井の低い地走り族の家に入れなくて、若干疎外感を憶えていたのだ。
冒険者の報酬の一部や手数料で成り立っている冒険者ギルドの経済力は下手な領主よりも規模が大きい。大抵の村や街に立派な建物を構えている。
――――ゴゴゴゴ!
滅多に開かない大きな扉が開き、大きなオーガがギルド内に現れたのを見て、未だヒジリの情報を仕入れていない他所から来た冒険者達がざわつく。
「敵襲?! いや、奴隷オーガか。 やっぱりいつ見てもデカいな、オーガは」
「オーガって肉弾戦を挑むととんでもなく手強いんだよなぁ。魔法を使わなければほぼ負ける」
「誰が使役してんだ?」
冒険者達の視線が一斉にタスネに向いたので本人は緊張して歩き方がぎこちない。
扉の内側でギルドを警備している者は既にヒジリの事を知っているので敬礼をして迎えた。
オークの遊撃小隊を投降させたヒジリ、ウメボシ、それを使役するタスネはちょっとした村の英雄なのだ。
「おや、これはこれは。村の英雄様じゃないですか」
そう言って冒険者と情報交換をしていた一人の地走り族の男性が近寄ってきた。
見事なバーコード禿げ、タプタプした顎肉、出っ張ったお腹。しかしながら顔も声も地走り族の特徴通り子供であるのでなんとなく可愛い。禿親父のコスプレをした子供のようで滑稽なのだ。
「先日のオークとの戦いは素晴らしかったな。オークの一隊を見ても動じることなく、敵を引きつけ翻弄する怪力のオーガメイジ、オーガメイジの魔力の少なさを補い、後方から相手の戦闘力を無力化する使い魔のイービルアイ。真に見事な活躍であった。タスネは一体どうやって彼らを飼いならしたのかね?」
飼いならすという言葉にヒジリ達が憤慨しないか気にしながらタスネは答える。
「飼いならすなんてとんでもない。彼らが自主的に協力してくれたのであって、あの・・・」
「なんと! それは本当か? 友好的で有効的な(※オヤジギャグ)オーガとイービルアイを君は偶然得たというのかね! 羨ましい! 単刀直入に言うが、あの二匹を売ってくれんかね? 金貨十枚は出す! 金貨十枚もあれば君はまた魔法学校に通えるだろう?」
タスネが魔法学校中退者という軽い侮蔑が込められているのは言うまでもない。
それを感じ取ったタスネは何も言えなくなって下を向いている。
ヒジリはそんなやり取りはどうでもいいという顔で、禿げた地走り族の頭の上に手を置いた。
「申し訳ないが、禿げたちびっ子。我が主殿はクエストを受けに来たのだよ。邪魔をしないでもらいたい」
「な!? 禿げたちびっ子だと? 私はギルド長のカンデだ! ・・・それにしてもタスネのオーガは流暢な共通語を喋りおるな。流石腐ってもメイジというところか。じゃあこうしないかねタスネ。今、領主様から依頼が来ておってな。それを見事解決出来たら手数料を免除した報酬をそのままくれてやろう。ミスリル鉱山の利益の1%を毎月貰えるのだぞ。これは破格の報酬だ。しかし、失敗したなら君にオーガ達を使役する能力が無いという事で没収する。どうかね? これはギルド長としての会員への命令だ。冒険者を辞めない限り断れないぞ。それに我々の方がオーガ達を上手く使役できるだろうしな」
「そんな一方的な・・・。それにまたオークの襲撃があるかもしれないのに村を手薄にして良いんですか?」
「それは心配ない。こないだはたまたま殆どの冒険者達が出払っていて村が手薄だったが、今は傭兵や冒険者がいるし、一応王都にも連絡をした。じきに騎士様達が来るだろ。そもそも闇側の者が結界を突破するのは容易では無い。そう何度も何度も高額な結界破りのアイテムを使って、侵入はしてこんだろうしな。それにしても何でオーク達がこんな貧村にまで来たのか・・・」
何よりも自分の利益を優先するギルド長の強引な取り決めに困惑し、助けを求めるようにタスネはヒジリを見る。
「私は構わんよ。さっさと依頼内容を教えてもらおうか」
プルプルと怒りで震え、今にも目から光線を出してしまいそうなウメボシを制して、涼しい顔で応じるオーガにカンデギルド長は益々興味を持って目を輝かせた。
「ホホ! 自信があるようだな。では内容をば。領主様の所有する国境近くのミスリル鉱山が闇ドワーフ達に占拠されてしまったので取り戻してほしいとの事。交渉でも力ずくでも構わん。先に12人ほど冒険者を送ったのだが、まだ到着したばかりでね。特に進展は無い。詳しい場所はそこの平職員にでも聞いてくれたまえ。早くしないと先にやった冒険者達にクエストを達成されてしまうぞ」
そう言って憎たらしい顔で窓口の方を二重顎で指すと、カンデはギルド長室に入っていった。
「ギルド長にそこまでの権限があるとは思えませんが? タスネ様」
普段は青色の瞳だが怒りで赤くなった瞳のウメボシはタスネに聞いた。
「村の権力者なんてどこもこんな感じよ。カンデは冒険者ギルド本部から、冒険者ギルド長に任命された途端に、あんな風に威張り散らすようになったの。冒険者ギルドがないと汚れ仕事や、街道の治安維持も貴族や住民が担う事になって負担が増えるでしょ? だから誰も迂闊に口出しは出来ないのよ。きっとさっきだって私が何を言い返しても、難癖をつけてきたはずよ。実際、闇ドワーフを追い出すという難しいクエスト押し付けてきたし」
ウメボシの瞳がますます赤くなった。
「依頼が簡単であれば先にやった冒険者が直ぐにでも達成してしまうでしょうし、難しければそれはそれで厄介ですし・・・・。汚い手を使いますねギルド長は。一方的な契約の押しつけがまかり通るなんて、一体この国の法制度はどうなっているのでしょうか? 法の番人は存在しないのでしょうか? ねぇマスター」
「法が機能していないのであれば、力で対抗するしかあるまい。要は我が主殿を重要な人物にしてしまえばいいのだ。私にはその力がある」
ヒジリは腕を組んで自信たっぷりの顔で目を閉じている。
「そうね、そうすればギルド長も・・・。え! 私が?」
頷きかけてタスネはヒジリを二度見した。
「難易度の高いクエストを受け続けて、我々に依存するようにしてしまえばいいのだ。そうなればギルドは我々を重要なポジションに置くようになるだろう。で、気がついた時には立場が逆転しているという訳だ」
「ハハハ・・・。その通り有言実行出来ればいいけど・・・」
ヒジリの突拍子もない話に困惑しつつ、タスネは窓口で素早くクエストを受ける手続きを済ませた。
「それではマスター、約束通り情報収集に行ってまいります。既に冒険者ギルドの書物は全てスキャンさせて頂きましたので村中の書物を読み漁ってきます。それからミスリル鉱山の位置情報も得ておりますので、得た情報は今後必要がある時に提供していきたいと思います」
「ああ、よろしくウメボシ」
「有能な使い魔さんだね~」
「うむ。不法投棄され廃棄処分寸前のウメボシを、ゴミ集積所から私が貰い受けて直したのだから優秀で当然だ。でも知らない機能も多いし時々何だかおかしなところがあって・・いやこの話はするまい。忘れてくれ」
「何言っているのか解らないけど、じゃあアタシはアルバイトがあるから行ってくるね。ヒジリは家でゆっくりしてて。多分妹達が休ませてくれないだろうけど。ウフフ」
情報収集に出かけたはずのウメボシが忘れていましたと言ってすぐに戻ってきた。
「これを生活の足しにしてください」
アルバイトに行こうとしていたタスネに、砂金を売って教会での登録手数料を引いた残りの銀貨九枚が入った皮の袋を差し出したがをタスネは黙って首を横に振り、受け取ろうとはせず行ってしまった。
どうやら対価の伴わないお金の施しを良しとはしない性格のようだ。地走り族にしては珍しい性格である。
「お金による施しを受けないとは! タスネ様はどこか昔の日本人に通ずるところがありますね、素晴らしい!」
ウメボシは自分の行動が彼女のプライドを傷つけたのではないかと心配しつつも称賛する。目を潤ませて暫くタスネの小さな背中を見送り、お金を無造作にヒジリに渡すとウメボシも立ち去った。
「では私は庭でゴロゴロさせてもらおうか」
今のやり取りに何も感じるところが無かったのか、ダメ男のようなセリフを吐いてヒジリはタスネの家に向かう。家に着くなり
「オーガのおじちゃ~ん!」
と三姉妹が飛びついてきた。
「私はおじちゃんなどではない。ヒジリという名前がある。それにまだ十九歳だ。若い」
「解ったヒジリのおじちゃん」
コロネの返事に「駄目だこりゃ」と心の中で二十世紀の大好きなお笑い芸人の物真似をしながら呟く。
「遊んでよぉ、ヒジリ~!」
分厚い唇から甘ったるい声で次女のフランは言う。
ふんわりとした金髪のボブ、水色の瞳がターコイズのようだ。とても十二歳とは思えない。
彼女の潤んだ大きな目がヒジリを見つめている。
「遊んでよー、ヒジリー」
フランを真似するが抑揚がなく、一切の色気の欠片もない十歳の三女イグナがヒジリの腿に抱きついた。
黒色のショートヘアーに暗黒の渦ような瞳を持つその目は、一体何を考えているのか。
ヒジリは顎をさすって困惑しながら考える。
遊ぶと言っても小さな子供との遊び方が解らないのだ。
地球人は死ぬ事がないので、人口抑制が厳しく管理・統制されており、子供を見かける機会が少ない。
では自分が子供に再転生すれば良いではないかと考えがちだが、再び人生をやり直す場合は十八歳以上の年齢で蘇らないといけない法律になっている。
一定数存在する蘇りを永遠に拒んだ人達の穴埋めとして、子供を欲する夫婦に抽選で子孫を残す権利が与えられるが、それは宝くじ並みの低い確率なのだ。
ヒジリの親が如何に幸運だったかは言うまでもない。更にヒジリには祖父母もいたので、親も抽選に当たった幸運な子供だったのだ。それはもう天文学的な確率と言える。
今の状況に役立つ経験がこれまでに無かったかと子供時代を思い出してみたが、周りには祖父母や両親、その他の大人とロボットばかりがおり、常にチヤホヤされて育ったという記憶しかなかった。
四十一世紀には学校制度がないので、同世代の子供と遊んだ経験がない。
座って色々考えていると金髪を真上に二つ括りにした、如何にもお転婆という感じのコロネがヒジリの肩まで上り、立って立ってという。言われるがままヒジリがぬーっと立つと
「高い高い! 怖い怖い! しゃがんでー! しゃがんでー!」
と初めてタスネを抱っこした時と同じ事をコロネはどら声で言う。
ヒジリがしゃがむと、コロネはササッと降りて胸を押さえて「動悸よ鎮まれ!」と言わんばかりにバンバンと手のひらで叩いた。
「ドキドキしたー! 魔法遊園地の浮遊板より高かった!」
浮遊板とは【軽量化】の魔法が付与された、乗るとある程度浮き上がったり沈んだりを繰り返す手すり付きの板だ。反重力で浮いている訳ではなく、魔法で軽くなるので従業員が持ち上げたり、下げたりしているだけだ。
コロネが魔法遊園地の話をすると、他の姉妹の顔が徐々に暗くなっていく。まだ両親がいた頃に一度だけ行った事があったのだ。
二人の姉の顔を見たコロネがぽつりとつぶやく。
「あのね、ヒジリのおじちゃん。コロネ、魔法遊園地に行きたい・・・」
すかさず次女がいつも通りの甘い声だが、微かに厳しい口調でコロネを諭す。
「駄目よ。あそこはお金を払わないと入れないの。高いんだから」
まだ八歳のコロネは自分の家が貧乏な事は解っているが、感情的には両親との楽しかった思い出に、もう一度浸りたいのだ。しかしお金が掛かると解ると、渋々返事をして静かになる。
「ほう? 魔法遊園地というものがあるのかね。私は興味があるな。行ってみようではないか」
純粋に魔法遊園地に興味を持ったヒジリに対し三姉妹は「え?!」という顔をし、心が期待と懐疑の間で揺れ動いた。
「お金・・・、あるの?」
黒髪のイグナは暗黒の様な瞳に光を宿してヒジリを見つめる。
「ここに銀貨九枚ある。これで足りるかね?」
「わぁぁぁ!! どうしたの?そんな大金。一人千銅貨五枚だから四人だと二銀貨! ヒジリってもしかしてお金持ちなの~ん?」
と妖艶な笑みを浮かべ脚に手を回してくるフラン。豊満な胸がヒジリの脚に押し付けられる。
劣情を抱かないように生まれつき制御チップで調整されているヒジリは、脚にフランの胸が押し付けられても何も思うことはなく、通貨システムについて話始めた。
「通貨システムの無い我々にとって、お金と言うものは実に原始的なシステムでウンタラカンタラ」
「わからなーい! わからなーい!」
コロネがヒジリの脚に正拳突きをして抗議する。
「とにかく、まだ日は高い。行くとしようかちびっ子たち」
「わぁぁぁい!」
生活苦でロバを売ってしまい無用の長物となった四輪の荷台を、ヒジリは担ぎ上げて家の前の道まで運んで降ろし、子供たちを乗せた。
そしてそれをロバよりも力強くけん引して魔法遊園地に向かって出発するのだった。
道中、興奮した姉妹たちの声で騒がしくて、度々街道見回りの冒険者に闇側の奴隷商人オーガではないかとヒジリは怪しまれる事となったが、姉妹たちがやかましく抗議をして事なきを得た。
遊園地に着くと客達は姉妹に連れられたオーガを見て一瞬驚いたが、危険がないと解るとまた遊びに興じる。
姉妹たちはもうこれ以上無い程のハイテンションで遊園地を楽しんだのだった。
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