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第十三章 黒髪少女の軌跡編
994話 木実
しおりを挟むししょーに、もっとおいしいものを食べてもらいたいとけついを固めた私。さっそくりょうりの勉強を……と、思ったんだけど……
「りょうりの本、ないなぁ」
ししょーの家にある本。本が置いてある部屋はここだけだ。
なので、りょうりの本がないのかさがすんだけど……ぜーんぜんない。
あるのはまどうに関する本ばかりだ。そりゃ、私だってまどうについて学びたいから助かるけどさ。
他になんのじゃんるもないというのは……
「ししょー、もうちょっと他のことにも目を向けようよ」
「い、いいじゃないか別にっ」
他にしゅみとかないのかな、ししょー。
とりあえず、ここにある本から学ぶのは無理。となると、昨日の国に行ってから本屋さんを見つけて、りょうりの本をさがすか。昨日やっておけばよかった。
そんなことを考えていると……
「あ、せいれいさんだー」
窓の外で、きらきら光ってふわふわ浮かんでいるものを発見。せいれいさんだ。
私は家の外にとびだした。
せいれいさんもよろこんでくれているのか、あちこちに揺れている。
「せいれいさん、あーそー……え?」
せいれいさんと遊ぼうと思っていたけど、せいれいさんからの言葉に私は耳をすませる。
せいれいさんが直接しゃべっているわけではなくて、頭の中に声が聞こえてくる感じだ。
すると、せいれいさんはりょうりのしかたを教えてくれるのだという。
「ほんとに!?」
その言葉に、私はぴょんぴょんはねた。
本はないし、ししょーにも頼れない今、昨日の国にまた行くしかないと思っていたけど……せいれいさんが教えてくれるのなら!
でも、せいれいさんってりょうりできるのかな?
「りょうりはできなくても、教えることはむずかしくない……なるほど」
そんなわけで、私はざいりょう集めに行くことに。近くの森にあるもので、簡単に作れるものがあるのだという。
よぉし、そこにあるものでおいしいもの、作っちゃうぞ!
「エラン、私は少し用事があって出かけるから、留守番を……」
「だいじょーぶ、ししょー! 私、森の中行ってくるから!」
「あぁ、わかっ……えっ。いや、だめだよ危ないよ! せめて私も一緒に……」
「でもししょー用事があるんでしょ?」
「欠席するから!」
「でも、何年も前から今日は外せない用事をうめていた……みたいなこと言ってたじゃん」
「それは……でもエラン! 危ないから!」
「せいれいさんがいるから大丈夫! それにあんまり遠くには行かないから!
いい!? お休みとかしたらだめだからね! 私おこっちゃうからね!」
「エラーン!?」
……そんなやりとりを終えて、私はせいれいさんと共に森の中へ。
とちゅう、「絶対奥に行っちゃだめだぞー! 精霊にちゃんと頼るんだぞー!」とししょーの声が聞こえてきた。まったく心配しょうなんだから。
森の中……なんだか、すずしいな。木々があたりをおおって、太陽のねつをさえぎっているからかな。
「なんか、ふいんき……ふんいき? あるなぁ」
私はきょろきょろしながら、足を進める。
木はおっきいし、生えている草も同じだ。私の身長なんか、ゆうにこしている。
歩くたびに、足が草に当たってがさごそと音を立てる。
「えぇと、まずは……あの木の実!」
せいれいさんの教えにしたがって、私は木の上になっている木の実をはっけん。
あれをとる……って、したいところだけど。
私の身長じゃ届かないし、じゃんぷしてもとてもじゃないけど届きそうにないよなぁ。
「どうしよっか……」
うーんと考え、ひらめいた。こんなときこそまほうだ!
ししょーは、まほうはいめーじの力だって言ってた。昨日、手のひらから水を出したみたいに……
あの木の実を、とるいめーじ。いめーじするのは、そうだなぁ……風のやいばで、あの木の実と木の間を切って落としてしまうのはどうだろう!
「しゅーちゅー……しゅーちゅー……」
私は目を閉じて、意識をしゅーちゅーさせる。
いめーじして、頭の中に思いえがいて……まりょくを、たかぶらせて。
狙いをさだめて……
「えい!」
ぶんっ、と手を振る。手には風のやいばを持っていたいめーじ、それを投げ飛ばした。
風だから見えないけど、少しりったい的になってくっきりしている。
狙いは木の実。そのまま、木の実と木がつながっている部分を切り落として……
ぶしゃっ……
「……」
……木の実が、真っ二つになった。切れた部分から垂れて落ちたかじゅうが、私の顔に落ちてくる。
顔に落ち、そして口に入ったかじゅう。
うーん……おいしい!
「じゃない! ぬぅー!」
私はじだんだを踏んだ。まほうは制御がむずかしいとししょーは言っていた。
昨日みたいに、手のひらから水を出すだけなら問題ないと言っていたけど……
これじゃあ、全然だめだ。
いや、これはまほうのせいぎょと言うより、私の狙いがずれただけ?
「ぬぅー!」
じだんだを踏んでも、木の実は落ちてこない。というか、真っ二つになったのが落ちてきてもしょうがない。
しょうがないので私は、他にも木の実がないか探した。
こううんにも、木の実はすぐに見つかった。風のやいばをいめーじし、とばす。木の実真っ二つ。
かじゅうが顔面に落ちてくる。
「ぬぅー!」
こうなったら、勝負だ! 絶対に、木の実取ってやるからな!
その後私は、何度も何度も木の実にちょうせんしてはしっぱいし……身体中かじゅうだらけになりながらようやく木の実一つ手に入ったのは、一時間後だった。
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