史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1108話 あれだけいるなら一人くらい貰っても

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 無詠唱魔術の使い手コロニアちゃん、鬼族の末裔サリアちゃん……どちらも無二の力を持つ子たちだ。
 彼女たちとの戦いは、ゴルさんに確かな消耗を与えていた。目に見えて疲労しているのがわかる。

 相手が一年生だから、ってもう馬鹿にする人はいないだろう。それだけ、彼女たちは力を示した。

「でも……」

 ゴルさんを消耗させるための戦力。半端な実力ではゴルさんには通じない。
 そう考えると、ナタリアちゃんクラスで残っている可能性と言えば……ナタリアちゃん自身、そしてリーメイくらいじゃないだろうか。

 ナタリアちゃんは言うまでもないけど、リーメイもヨルを倒すほどの実力者だし。

「って言っても……」

 ゴルさんにあまり戦力を割くのも、それはそれで最良とは言えない。
 三年生クラスは一筋縄ではいかないし、それにあそこには……

「はっ!」

「しゃーっ」

 ……中でも一番と言っていいほどに目立っている人物、リリアーナ先輩だ。
 白髪のポニーテール、そして使い魔の白蛇……二つの白が、まるで踊りを踊っているかのように舞っている。

 その連携の取れた動きに、一年生のみんな翻弄されてしまっている。

 けど……

「ヤー!」

「!」

 舞う白蛇を、なにかが叩き落とす。叩き落とされた白蛇は、けれどすぐに体勢を立て直す。
 白蛇の動きを正確に捉え、尻ひれを叩きつけたのがリーメイだ。

 あの尻ひれ、あんな形で攻撃とかできるんだ……

「みんな、結構疲れてル。リー、頑張ル!」

 そう叫び、リーメイは自身の魔力を高める。そして誰が反応するよりも先に、手のひらを地面へと叩きつけた。
 直後、手のひらから放たれた水が辺り一面を飲み込んでいく。これは、先ほどの試合でも見せた会場全体足元が浸かる程度の水……ではない。

 リーメイを中心に水が広がり、けれど彼女の周りにしか水がない。それも、足元から腰……胸元へと、水のかさが増していく。

 なんと不思議な光景だろう。リーメイを中心に直径約一メートルを円状にして、その範囲のみ水かさが増しているのだ。
 やがて、円状の水……いや水柱が、リーメイをすっぽり包み込んだ。

「……あれ、なに?」

 誰かが、つぶやいた。
 いくら魔力の精度がうまくても、あそこまでのことができる人がどれだけいるだろうか。

 少なくとも、水を扱う魔法に関して……学園の生徒でリーメイに叶う人はいない。そう思わせるほどだった。

「といヤー!」

 そこからなにが起こるのか。三年生クラスは警戒している……その様子を確認し、リーメイは手を前にかざした。
 すると、リーメイを包む水柱からは無数の水弾が放たれる。

 水を弾のようにして放つなら、魔法を使えるなら誰でも使える。でも、リーメイのそれは威力や数がまったく違う。

「なにをこんなもの……!」

 放たれる水弾を、三年生はそれぞれ魔力防壁で防いでいく。ドドドド……と激しい衝突音が響く中、リーメイは次なる手を打つ。

 今放たれている水弾……それが、球体から形を変化させていく。
 人の形となったそれは、紛れもなくリーメイの姿をしていた。

「ワー!」

「ワー!」

「ワー!」

「ちっこいリーメイがいっぱいだ!?」

 次々放たれる水弾がリーメイの姿に変化していく……つまり、次々とちっさいリーメイが放たれるということだ。
 しかも、なにやらかわいらしい雄叫びを上げている。鳴くんだ……

 あれだけいるなら一人くらい貰っても……じゃなくて!

「水リーメイか……ヨルがこっぴどくやられてやつだよねぇ?」

「トゲどころかドリルでグサリと刺してくるなぁ」

 私は近くにいたヨルに視線を向ける。
 水で作った分身。それはさっきの試合でヨルを苦しめ、決着の一打となったものだ。

 あの時とは大きさも数も全然違う。たくさんのミニリーメイは三年生へとそれぞれ向かっていく。
 三年生も、魔力防壁を解いて迎え撃つけど……

「さっきの水分身……リーメイは、分身と自分の位置を入れ替えたりしてたわよね」

「うん。あれとは大きさが全然違うから、同じ事ができるのかはわからないけど……」

 リーメイの水分身は普通の分身魔法と違う。視界もダメージも共有されないみたいだし、分身と場所を入れ替わることもできる。
 なにより、分身かそうでないかは一目瞭然だ。

 なので、私の常識では考えられない。いや、そもそも魔導というものは、常識にとらわれない力なんだけど。

「ふん、こんな小さなもの……」

 わらわらと迫る水リーメイに、大柄な三年生が前に出る。見た感じ力自慢……ってやつだな。
 彼は鼻息荒く、魔力強化したその拳を振り上げて……

「人魚かなんか知らんが、この俺様の相手では……」

「ヤー!」

「ぼへーい!?」

 彼が拳を振り下ろすより先に。水リーメイの一人が飛び上がり、彼の顔面をぶん殴る。
 小さいから素早い……以前に、ただでさえ大柄な男をあの体格差で殴り飛ばした!?

 まさかあの水分身……姿は小さくても、力は本体のリーメイと変わらないっていうのか?

「うりャー!」

「やハー!」

 それは、あちこちで起こっている。ミニリーメイ……いくら複数とは言え、体格差からどうしたって油断してしまう。
 さっきの大柄先輩が油断していたかはともかく……それも含め、三年生は水リーメイにボコボコにされてしまっている。

 一発貰えば隙ができ、その隙で複数の水リーメイが囲む。小さいからこそできることだ。
 そして当然のようかな水リーメイは、リリアーナ先輩……そしてゴルさんへも向かっていく。
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