史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十五章 最高の魔導士編

1145話 お前という人間

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 道中会ったエルフも同行して、私たちは森の中を進んでいた。森の中なんて、学園の裏にある森くらいだ……そこも最近ようやく行き来できるようになったから、フィルちゃんにとっては初めてかもしれない。
 けれど、フィルちゃんは楽しそう。

 さて、先頭を歩くエルフ……エルフエルフって、そろそろ名前を知りたいな。

「それで、あなた名前は? 改めまして、私はエラン・フィールドだよ。よろしくね」

「る、ルリー、です」

「フィルだよ! この子はもふもふ!」

「わぅ!」

 私の名前は知っているみたいだけど、改めて名乗る。自己紹介は大切だもんね。
 そして私に続いてルリーちゃん、フィルちゃんがそれぞれ名乗る。フィルちゃんは自分が乗っているもふもふも紹介する。

 それを受けて、先を進むエルフは振り返り、そのきれいな顔を見せた。

「……アスィーだ」

「アスィー」

 わりとすんなりと名乗ってくれたな。

 アスィーと名乗ったエルフの男の子。グレイシア師匠を先生と呼んでいて、師匠がいなくなった後この近辺を警護してくれているのだと言う。
 ただ、先生と慕う師匠の頼みでも、縁もゆかりも無いこの場所を守る義理はこの人には無いはずだ。

「アスィーは、なんでここを守ってくれてたの?」

 森など、魔石が発生しやすい場所。放置していれば、そこはすぐに魔物……そして魔獣が増える危険地帯となってしまう。

 だからそうなる前に、例えば冒険者に依頼して魔物や魔獣を退治する。でも、依頼が出るのは当然事が起こった後だ。
 それに、依頼が出てすぐに受けてもらえるとは限らない。時間が長引けばそれだけ、危険も増す。

 でも……アスィーはここを、守っている。危険が広がる前に、速やかに対処してくれているのだ。
 それはありがたいけど、やっぱり理由がわからない。

「師匠がここを去ってから……だよね。私が家を出てからどれだけ経って師匠が去ったのかわからないけど、それでも一人でずっと守ってくれてたの? どうして?
 あっ、別に変な意味じゃないよ。純粋に嬉しいんだけど、理由はなにかなって」

「……別に、たいした理由はない。先生から頼まれたのと、それに……」

 アスィーは振り返り、ちらっと私を見た。

「?」

「帰ってくるかもしれないと、思ったから」

 再び前を向き、少し歩くスピードを速くする。
 帰ってくるかもって……私が、ってことか? いやそれはないか、会ったこともないんだし。

 てことはら師匠かな。こう言うってことは、師匠はここへは戻ってきていないのか。

「それにしても……」

「ママー、この森おもしろいねー」

「ふふ、そうだね」

「……お前、子持ちだったのか。やることやってるんだな」

「違う!」

 この人もか! この人も私とフィルちゃんの関係を誤解するのか!
 いやまあ、ママなんて呼ばれちゃってるんだから無理ない話かもしれないけど……

 だとしても、だよ!

「年齢! 年齢差に無理があるでしょ!」

 私はまだ学生で、フィルちゃんは子供! こんな大きな子供なんているわけないでしょ!

「見た目と中身が合ってないことなんて、珍しくもない」

「そりゃエルフの感覚からしたらそうでしょうよ。でも私人間だから」

「ならなぜその子はお前をママと呼ぶんだ」

「こっちが聞きたいよ」

 フィルちゃんに聞こえないように、少し声を抑える。
 それを察してか、ルリーちゃんがフィルちゃんの気を引いてくれている。

 あんまりフィルちゃんの前でママだママじゃないだ言うわけにいかないもんね。また泣かれても困るし。

「それに、私男の人と接したことすら魔導学園に行ってからなんだよ。そりゃ、記憶喪失の時期はあるけど……その頃十年前だからね。ないない」

「ふむ……いや、学園に行く前も男と過ごしていたじゃないか。せんせ……」

「おっそろしい想像やめて!?」

 確かに男性と……ってことを考えたら師匠が当てはまるけど、師匠は人として尊敬しているけど異性として見たことはない。
 師匠だって、私がもっと小さいときから面倒見てくれているんだし、そういう感情は持っていないだろう。

 第一、もしも師匠との……だとして、フィルちゃんにはエルフの特徴はないし。
 以前出会ったリーフェルさんはハーフエルフだったけど、特徴はエルフと同じようなものだ。

「とにかく、フィルちゃんは私の子供じゃないけど、私のことママって呼ぶの。あとあの子、記憶喪失……なのか、両親のことも覚えてないんだ」

「ほぉ、記憶喪失……黒い瞳といい、似たところがあるんどなママ」

「やめてっ」

 この人、クールな顔してめちゃくちゃ私のことからかってくるじゃん。意外とお茶目なのか?

「……よくもまあ、自分のことをママと呼ぶ得体のしれない人物のことを信用できるもんだな」

「むぅ……」

 私はもしかして馬鹿にされているのだろうか。むぅ、とほっぺたを膨らませる。
 すると、頭に手を置かれた。

「……なに?」

「いや、それがお前という人間なのだなと思ってな」

「?」

 なんだそりゃ、やっぱり馬鹿にしているのか? それとも、褒めてくれているのか。
 そんなもやもやした気持ちを持ったまま進んでいると……ついに、森がひらけた。
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