史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十五章 最高の魔導士編

1151話 私のこと好きなの?

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 アスィーは、ウーラスト先生に対してあまりいい印象を持っていないみたいだ。
 まあ、当初の私と似たような感じかな。私が師匠の弟子なのに、別に弟子を名乗る謎のエルフがいた……それと同じで、気に入らないのも当然か。

 ただ、学園に行かないって理由はそれだけじゃないみたいだけど。

「誘ってくれたのは……まあ、嬉しいとは思ってる。だけど俺は、やっぱりここにいる」

「それは、師匠の家を守るため? 師匠が帰ってくるかもしれないから」

「それもあるが……」

 月を見上げていたアスィーは……ゆっくりと、私を見た。
 その宝石のような緑色の瞳に見つめられると、緊張してしまう。師匠やルリーちゃんで慣れたとは思ってたんだけどなぁ。

 やっぱりエルフって美形だなぁ。はわぁ、私もこんな顔に生まれたかった。
 いやまあ、私自身もかわいい顔だとは思ってるんだけどさー。やっぱり違うったら違うものがあるっていうか……

「先生と、お前の帰ってくるかもしれない場所だからな。エラン」

「! わ、私?」

 続く言葉は、私も思わぬものだった。
 あまりに予想外なものだったので、ぽかんとしてしまう。きっと、間抜けに口をあんぐりと開けてしまっていることだろう。

 師匠はわかってたけど……わ、私? 私って?

「え、えぇと……?」

「……先生とお前が共に暮らしているのを、陰ながら見ていて……お前にとってもここが大切な場所だというのは、わかったから」

 困惑している私から顔をそらして、再び月を見上げるアスィー。
 つまり……っていうか言ったままだけど、アスィーは私のためにも、ここを守ってくれていたってこと?

 なにそれ、嬉しいのと恥ずかしいことでごちゃごちゃしてるんだけど。
 それに、アスィー本人も恥ずかしい事を言った自覚があるのか……耳が赤いし。

「そ、そっか。それはその……ありがとう?」

 なんにしても、私のためでもあるなら……ちゃんとお礼を言うべきだよね。

 するとアスィーは、顔を向こうに向けてしまった。本格的に照れてしまっているのだろうか。
 なんか、師匠やウーラスト先生とはまた違って違い世代な感じがするから、こういう反応が見れるのが新鮮だ。まあ、エルフだから実年齢はずっと上なんだろうけどさ。

「俺はただ、俺がやりたいからやっているだけだ」

 アスィーは、立ち上がる。それから私に背を向けたまま、歩き出す。

「え、どこ行くの?」

「寝る。適当に木の上ででも」

「なっ」

 その言葉に、私はとっさに立ち上がりアスィーの手を掴む。
 足を止め、不思議そうに振り向くアスィーに私は言う。

「いやいや、だから家の中で寝なって」

「いや、だから俺は外でいいと……」

「絶対こっちの方が気持ちいから!」

 ていうか、今まで家を守ってくれていた相手を外に放り出して自分たちは寝ちゃうとか、そんなの心が痛んじゃうから!

 しばらくのやり取りの後、アスィーははぁ……とため息を漏らす。

「わかった、そこまで言うなら仕方ない」

「なんかめちゃくちゃ私がわがまま言ったみたいになってる」

 ともあれ、アスィーは折れてくれたので手を離す。
 そろそろ眠気も出てきたし、戻ろうかな。

 アスィーに背を向け、歩き出す。後ろからアスィーが着いてきているのを感じる。

「なあ」

 と、後ろから声をかけられた。

「なあに?」

「お前たちは、明日には帰るのか?」

 それは、ここにいつまで滞在するのか、というものだ。
 元々ここに泊まるつもりもなかったし、そう考えていたんだけど……

 せっかく純粋なエルフと会ったんだし、いろいろ話したいこともあるよなぁ。
 今日は結局、師匠のことや精霊さんとの話で盛り上がったわけだし。

「どうせ帰ってもみんな留守にしてるしねー。どうしよっか」

 学園に戻っても、みんな帰省とかで居ない可能性が高いもんな。
 だからこそ、私たちはここに来たわけだし。

 だったら、もう一日くらい……とも思う。

「なになにアスィーったら、私たちが帰っちゃうのが寂しいの?」

 ま、逆に今の質問が『いつまで居るんださっさと帰れ』みたいな意味だったら、恥ずかしさと悲しさで泣いちゃうかもしれないけど。
 振り向くと、アスィーと目が合って……

「あぁ、そうだな」

 ……真っ直ぐな瞳で、そう答えた。

「あ、そ、そう」

 なんか、調子狂っちゃうな……素直というかなんというか、こっちが逆に照れちゃうよなぁ。
 しかも……

「お前たちというより、お前がだけどな」

 そんな言葉を続けてくるのだから、さらに困惑してしまう。

 ちょ、ちょっと、なになに。なんかめっちゃストレートなんだけどこのエルフ!
 さっきまで照れてたくせに! くせに!

「な、なんだよその言い方ー。もしかしてアスィー、私のこと好きなの?」

 こうなったら、また照れさせてやる。せいぜいその大きな耳を真っ赤に染めるがいいさ……

「あぁ、好き……なんだと思う」

「……へ?」

 だけど返ってきたのは、またしても予想もしていなかったもので。
 足を止めてしまった私を追い抜いて、アスィーは扉を開けて家に入っていく。

 それから、私に振り返り……

「入らないのか?」

「え? あぁ……うん、そうだね……」

 私も続いて、部屋に入る。

 ……寝る部屋はさすがに一緒とはいかないので、私は元々寝ていた部屋に戻る。
 今だすやすや寝ているルリーちゃんとフィルちゃんを見て、心を落ち着け、ベッドに入るのだけど……


『好き……なんだと思う』


 さっきの言葉が頭の中を周り、しばらく眠れなかった。
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