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第十五章 最高の魔導士編
1168話 調べてみるしかない
しおりを挟むノマちゃんのことは引き続き様子ということで。定期検診は続けてもらい、私やカゲくんがそれぞれ部屋、クラスで異変がないか見ておく。
ノマちゃん自身にも、あまり魔力を酷使しないように言っておかないと。授業中のものなら問題ないだろうけど……
他学年試合、それも二試合とも三年生と戦ったんだ。消費した魔力も相当なものだけど、あれほどのことはそうはないだろう。でも、気を付けないと。
「マーも見たかったなぁ、ノマちゃんの勇姿。一回戦じゃ、三年生クラスを破ったらしいじゃん」
「うん。それに二回戦だって、あとちょっとで勝ち抜けるところだったんだよ」
こうして、共通の友人の話で盛り上がれるのはいいことだ。まあマーチさんにとってノマちゃんが友達か、と言われると疑問だけど。
ノマちゃんの方は、マーチさんを尊敬しているから友達なんて恐れ多いって言いそうだな。
そんなこんなでノマちゃんの話で盛り上がりつつ、気づけば門の近くまでついていた。
「あ、エランさーん!」
門の向こう側にいるルリーちゃんが、私を見つけてぶんぶんと手を振っている。
私も手を振り返すと、「元気な子だね」とマーチさんは微笑ましそうに言った。
……マーチさんって、エルフ族に対してどう思ってるんだろうな。今度それとなく聞いてみようか。
「お待たせー。なんともなかった?」
「はい、なんともありません!」
合流し、ビシッと敬礼をするルリーちゃんに思わず笑ってしまう。
ちなみにフィルちゃんは……木陰で眠っていた。いっぱい歩いて疲れちゃったかな。
それからマーチさんに魔力封じの石を見せ、調べてもらうことに。
まずは、本当に魔導が使えないかどうかの確認。
「……本当だ、魔法が使えない。どころか、自分の体内を流れる魔力も感じ取れない」
「でしょ」
「こんなこと、生きてきて初めてだ」
魔力を感じられない、魔導を使えないというのは、今まで魔導と生活してきた人には新鮮と言うか、不気味と言うか……そんな感じだろうな。特に、自分の魔力を感じられないなんて。
興味深そうに石を見つめている。というかめちゃくちゃ近いな。
コンコンと手で叩いて強度を確認してみたり、すんすんと匂いを嗅いでみたり。舐め……たりはさすがにしないけど、頬擦りしたりとあらゆることを試している。
「ふむ……確かに力付くで壊すのは無理かもね。魔導が使えるならともかく、素手じゃね」
「なら、この石の範囲外から魔法や魔術を撃って、石にぶつけてみるというのはどうでしょう」
「いや……聞いた話じゃ、召喚していた使い魔がぱっと消えちゃったんでしょ? つまり、存在していた魔力の供給が絶たれた。
石の効果の範囲外の遠くから魔導を撃っても、効果の範囲内に入ったらその瞬間魔導が消失してしまう可能性が高い」
「なるほど……」
確かにそうだな。魔導が使えないどころか、使える遠くから撃っても近くになったら消えちゃう、か。
本当にどう処理したらいいんだろう。
「とりあえず、これを国の中に持って入るのは無理だ。なら、国の近く……だけど範囲外の場所に、これを埋めておくとか」
埋めておく……ふむ、そうすれば隠すこともできるか。
こんなもの、悪い人の手に渡ったらことだもんね。あの黒装束集団みたいに。
「あいつら、どこでこんなものを手に入れたのか……」
「それも含めて、きっちり尋問していかないとねぇ」
くくく、と笑うマーチさん。なんだか怖いよ。
マーチさんなら、なにかとんでもない方法で聞き出すんじゃないかという気持ちがある。
「ま、せっかくだしいろいろ検証してみるよ。本当に遠くから魔導を撃っても消えちゃうのかとか、そのあたりをね」
「お願いします」
「すみません、わざわざここまで来ていただくことになって……」
「いやぁ、いいっていいって。実は最近、部屋にこもってばかりだから少しは動け、ってゴルドーラ様にも言われてるんだよねー」
……開発研究のエキスパートのマーチさん。私にはよくわからないけど、外に出るよりかは座り仕事って感じだよな。
でも、マーチさんのことだから物事に熱中しすぎたらずっと部屋にこもってそうな感じがある。
それをゴルさんは、指摘したわけだ。
「ま、この石についてはいい場所に埋めといて、後日部下の子たちと調べてみることにするよ。今日はまだ残ってる仕事もあるし……それに、マーが調べるより先に黒装束が口を割ってくれれば手間も省けるしね」
「じゃあ、せめて穴を掘るのは手伝うよ」
「いいよいいよ、マーはこの門番くんに頼むから。若きキミたちは寮にお戻りよ」
「え、俺?」
……なんか門番のおじさんが手伝わせられることになっちゃった。巻き込んでごめんよ。
とはいえ、埋めるってことは穴を掘るわけで、魔導を使えない私たちよりもおじさんの方が適任のはずだ。多分。
使い魔召喚ができれば、もふもふにここ掘れわんわんしてもらえたんだけどな。ないものねだりをしても仕方ない。
その後、マーチさんはもう少し石について調べていくというので、私たちはあとを任せて国の中へと入る。
一日ぶりなのに、懐かしい感じだ。この賑やかさも、いいな。
10
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