史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十章 魔導学園学園祭編

679話 ちゅーとか!?

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 翌日、放課後。

「……さて、これで全クラスの出し物がまとまったか」

 手にした資料を見て、ゴルさんがつぶやいた。
 その資料には、クラスごとの出し物が書かれている。もちろん全学年の。

 なぜそんな資料があるのか。それは私たちがそれぞれのクラスから、案をまとめたから。
 私たちは生徒会として、それぞれのクラスに出し物を聞きに行ったのだ。

 私は一年、シルフィ先輩は二年、そしてゴルさんたちは三年。
 もともと今日の放課後までに決めておくように生徒たちには通達されていたのだ。それを、放課後私たちが確かめに行く。

「でも、中には出し物が被るものもあったんじゃない?」

「そうだな。だが、各々やりたいものを無理に変えさせる必要もない」

 とんとん、と資料を整えるゴルさん。
 ちなみにあの資料は、私たちから全学年の出し物を聞いたリリアーナ先輩が手早く作ったものだ。

 すでに、それのコピーは私たちの手にもある。

「被ったら被ったで、その内容をどれだけ盛り上げられるかはそのクラスの問題だからねー」

「なるほど。ちなみに、それぞれのクラスが決めたものをそのまま採用してますけど、あんまりにも変なものだったらどうするんですか?」

「その場合は、先生方が注意しとるじゃろ」

 いくら生徒主体の学園祭出し物とは言っても、ものの限度はある。あまりにおかしなものになってしまう可能性もある。
 それを防ぐために、あまりにひどいものは先生が却下する……ってことか。

 サテラン先生は、傍観していたけど……あれも、私たちがあまりにもひどい出し物をしようとしたら、止められてたんだろうなぁ。

「本来なら、出し物を決める時間ももう少し余裕を持ち、クラスの代表に報告に来てもらうのですが……」

「時間がないから、その場で先生がいいものか悪いものか見極めて、私たちがそれを纏めると」

「そういうことだ」

 なるほど。時間が短縮されたらされたなりに、ちゃんとやり方も合わせているってことか。
 こうやってみんなで協力して、なんとか形にしていくわけだ。

「問題は、当日までに各々の準備が間に合うかだが……そこは、自己責任だ」

「急に突き放すじゃん」

「ま、これらを見る限り問題ないだろう」

 リリアーナ先輩がまとめた師匠はきっちりと学年別に分かれていて、とても見やすい。
 それを元に、生徒会は生徒会で決めていくこともあるのだけど……

 ……いつも、通りか?

「ねーねータメリア先輩、どう思います?」

 私は、近くにいたタメリア先輩に話しかける。
 その内容は、話さなくてもきっと伝わるだろう。だって、タメリア先輩の目もそっちを見ているから。

「んーーー……いつも通り、に見えるけどなあ」

 その先に居るのは、ゴルさんとリリアーナ先輩。
 どうして二人が気になるのか? それは、先日あったプロポーズタイムが原因だ。

 あのあと、ゴルさんとリリアーナ先輩を二人残して、生徒会を出たわけだけど……
 誰もおらず、二人きりになった生徒会で二人は、いったいどんな話をしたのか。

 昨日も、二人を見ていたけど別に変わったところはなかった。

「リリアーナは元々、表情が変わりにくいからなぁ……まあ、あのプロポーズんときはさすがに壊れてたけど」

 リリアーナ先輩は、いつも凛とした表情をしている。それがとてもかっこいいわけだけど。
 だからこそ、なにを考えているのかわからない部分はある。

 いったい、二人はどんな話をしたんだろうか。この部屋で、二人きりで……

「ふ、二人きり……」

 ふと、二人きりというワードに引っかかりを覚える。
 二人きり、二人きり……そうだよ、婚約している状態の男女が、誰もいない部屋で二人きり!

 そこで、直前にプロポーズ! 邪魔者はいない! 盛り上がる二人!
 これは……あ、あれだよ! なんか、すごいことしちゃったんじゃない!?

 そう、たとえば……ちゅ、ちゅーとか!

「……なんだ、先ほどからこちらをじっと見て」

「へ!?」

 やだ、私ってばそんなにじっとゴルさんたちのこと見てた!?
 ううん、頭の中でよからぬ妄想が広がってしまった……な、なんてこと。

 ……いや、これは私は悪くないんじゃないかな!? ゴルさんたちが意味深に、二人きりになるから!

「ご、ゴルさんのハレンチ!」

「……なにを言っているんだお前は」

 そういえば、二人を二人きりにしたのは、私たちが気を利かせた結果だった気もする。
 まあ、そんなことはどうでもいいんだよ。

「エランちゃん、疲れているなら休みますか?」

「いや、大丈夫です……」

「ふん、軟弱な奴め」

 なんとかその場はごまかせた……かな。なんか疲れてることにされたけど。
 あと、一緒に話をしていたタメリア先輩はさらっと逃げやがった。

「では、今後の流れを説明する。準備について必要なものがあれば、各々生徒会に申請するように。また、生徒会メンバーは自主的に同学年の様子を観察しろ。気付いたことがあれば、なんでもいい、逐一報告するように」

 手慣れたように、ゴルさんは説明していく。さすが、去年も経験しているだけある。
 ただ、去年とは違って準備期間など縮小されている。勝手も違うはずだ。なのに、戸惑った様子は見せない。

 やっぱり、こういう人に着いていきたいって思わせてくれるよね。次期国王ってこともあり、そのあたりも意識しているのかもしれない。
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