史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十章 魔導学園学園祭編

692話 そりゃ注目されるよね

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 ウチのクラスにゴルさんとリリアーナ先輩が来たことで、室内はしばらく落ち着きを失っていた。
 ようやく落ち着きを取り戻してきたが、それでもチラチラと視線は感じる。

「それにしても、なかなか盛況のようだな」

 周囲を見て、ゴルさんが言う。
 普段目にすることのないめいど服……その物珍しさに、どんどん人が増えているように思う。

 この分なら、お昼には結構忙しくなりそうだなぁ。
 午後の人は、頑張ってもらわないと。

「それで、お二人はなににする? まさか私の様子を見ただけで帰るなんてことはないでしょ?」

「そうだな……」

 お水を飲みつつ、考えて……ゴルさんは、隣を見た。

「リリアーナ、お前はなにか食べたいものはあるのか」

「え、わ、私ですか!?」

 せっかくだ、二人にもウチの料理を食べていってもらいたい。
 決定権を委ねられたリリアーナ先輩は、食い入るようにメニューを見つめている。

 それからしばらくして、ようやく決めたようだった。

「そ、それではこの、伸びるちゅるちゅるで」

「はいはーい。ゴルさんは?」

「俺はとりあえず飲み物を貰おうか」

 注文を取り、「かしこまりました」と返事をする。

「では、料理を作ってきますので、少々お待ちくださいねー」

「ご、ゴルドーラ様? 私だけなんて、その……」

「気にすることはない」

 二人のやり取りを聞きながら、私は背を向けて歩き出す。
 なんだか、周りからの視線がすごいな……めっちゃ見られている。

「なああの黒髪の子、何者だ?」

「ほら、あれだろ? 学園始まって以来の狂犬、エラン・フィールド」

「マジかよ。あんなかわいいのに中身はとんでもない狂人ってことか」

 ……なんか、私についていろいろ言われてるなあ。学園内でいろんな噂があるのは知っていたけど。
 学園の外にまでいろんな噂が広まっているとか、どうなってるんだよ。

 とはいえ、別に気にするような内容じゃない。言いたい人には言わせておけばいいのさ。

「え、エランちゃん! どど、どうだった!? 大丈夫だった!?」

「す、すごいねあんな、ゴルドーラ様に堂々と……」

 調理場に戻ると、ウルウちゃんとアメリアちゃんが話しかけて来た。
 私が堂々とゴルさんと話していたのが、よほど驚いたらしい。

 別に私、ゴルさんと同じ生徒会なんだからそんなに驚かなくても……
 ……あぁそっか。みんな、私が生徒会に入っていることは知ってても、私がゴルさんと話している所は見たことないのか。

「大丈夫なの!? こき使われたりしていない!?」

「なにか嫌なこととかない!?」

「お、おぉ……」

 ……それに、私が生徒会に入った経緯は、『決闘で負けたから』ということになっている。
 いや、それは間違いではないんだけど。ゴルさんとの決闘の賭けで、私が負けたらゴルさんのものになる、といった要求をされた。

 それで、決闘では私は負けた。だから、周りからは……私が生徒会で窮屈な思いをしているんじゃないかと思っている子も、いるかもしれないわけだ。
 実際は、ゴルさんから生徒会に入るように勧められて私も納得して入ったから、なにも問題はないんだけど。

「大丈夫だよ、みんないい人だし。だいたい、ひどいことされてたらゴルさんなんて呼べないよ」

「そ、それはそうかもしれないけど……エランちゃんだし……」

「うん……」

 おいおい、それはどういう意味だい?

「そ、それより……ご、ゴルドーラ様の、ちゅ、注文……」

「おっと、そうだった」

 ネクちゃんが間に入ってくれたおかげで、二人からの追及は止まる。
 さすがに、お客さん……それ見も、ゴルさんを待たせるわけにはいかない。

 ま、料理注文してくれたのはリリアーナ先輩だけなんだけどね。

「えぇと、伸びるちゅるちゅるだったよね」

 リリアーナ先輩が注文したものを復唱しつつ、調理に取り掛かる。
 まずは、お湯を沸騰させて……その間に麺を取り出して、それを沸騰したお湯の中に入れる。
 それから、麺がゆで上がるまでかき混ぜてと。

 そんで、柔らかくなった麺を上げて、お皿に盛り付ける。
 その上に、牛乳を固めたものをかけていく。ヨルはこれをチーズって言ってたっけな。

 とろとろのチーズを麺の上にかけて、味を付ける。このチーズはめっちゃ伸びるので、料理名に伸びる、と書いてあるわけだ。

「よっし、完成」

 うん、なかなかの出来栄えだ。
 そういえば私、紅茶は淹れたことあっても料理を作ったことはないな。まあそんなことする必要もないんだけど。

 ふふふ、私の料理の腕前に驚くといいよ。

「それじゃ、これを……」

 誰に持って行ってもらおう。そう聞こうとしたけど、みんなの視線が私を見ていた。
 あはは、やっぱり私に持って行けってことね。

 まったく、めいど服を着ていてよかったよ。まあ元々めいど服を着るつもりだったんだけど……

「お待たせしましたー」

「うむ」

 ゴルさんとリリアーナ先輩のところに戻ると、ゴルさんは先ほど注文飲み物を飲んでいた。
 いったい誰が運んできたのか……そう思っていたけど、どうやらフィルちゃんが持ってきてくれたよだ。

 あの子もある意味で、怖いもの知らずだからなぁ。

「ほぉ、なかなかおいしそうだ」

「でしょー。私が作ったんだよ」

 料理を見て、ゴルさんが食器に手を伸ばす。これはリリアーナ先輩が注文したものなのだけど。
 そんな私の気持ちとは裏腹に、ゴルさんは流れるような作業で、巻き上げた麺を持ち上げて……

「ほら、リリアーナ」

「へ……?」

 それを、リリアーナ先輩の口元に、持って行った。
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