史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
776 / 1,198
第十章 魔導学園学園祭編

764話 美人だったからね

しおりを挟む


 ガルデさんとフェルニンさんの関係を、羨ましそうにしている二人。
 三人の日常を知らないけど、冒険者だし出会いがないんだろうな。

 ガルデさんとフェルニンさんは昔馴染みだって言ってた気がするし、そういった例外を除けば出会いがない。
 ……だけども、だ。

「ヒーダさんヒーダさん」

「ん? どしたいエランちゃん」

「春、来てるかもしれませんぜ」

「え?」

 出会いという点なら、少なくともヒーダさんにはあるということを。

 以前、ヒーダさんがお腹を貫かれるほどの重傷を負った時、それを助けてくれたのが名も顔もわからない魔導士。
 女性という以外に手がかりはない……のだけれど。

 その魔導士と、私は会ったのだ。

「ヒーダさんの怪我を治してくれた人いたじゃん、私会ったんだよ」

「……え、マジか?」

 一瞬、きょとんとした表情を浮かべたヒーダさんだけど……それはすぐに、驚きのものへと変わる。
 冒険者にとって怪我は日常茶飯事だろうけど、私がそれを知っているとなると限られてくる。

 それに、わざわざ治療してくれたという人。
 自分がお腹に穴を空けた怪我だ、忘れるはずもない。もちろん、それを治してくれた人も。

「そ、そうなのか! いつ、どこで!?」

「さっき、学園内で」

「マジかよぉ!」

 そう、本当にさっきだ。午前中のことだもん。

「じゃあ、学園祭に来てたってことか! 今もいるかな!?」

「そこまではわかんないかなぁ」

「そうかぁ……改めて礼をしたかったんだが」

「改めてって、礼を言ったのは俺だけどな」

「言うな」

 その魔導士と入れ違いになったかもしれない。ヒーダさんは、がしがしと頭を掻いた。
 そんなヒーダさんを、ケルさんがからかう。

 治療のとき、側にいたのがケルさんだ。気を失ったままのヒーダさんに代わり、お礼を言ったのだという。

「言葉のあやだろ。俺からちゃんと、あの時の礼をだなぁ」

「ヒーダさんたちが来てるってわかってたら、待ってもらってればよかったね」

「エランちゃんのせいじゃねーって」

 ヒーダさん本人としては、直接お礼を言いたいだろう。
 命に関わる重傷を治してもらったんだ。そのとき気絶してて、お礼どころか顔も名前も知らないままとか私なら気が気じゃない。

 まあ、お礼ももちろんだけど……

「めっちゃ美人だったよ、その人」

「! ほ、ほぉ?」

 私の言葉に、ヒーダさんの肩が跳ねた。
 美人、って言葉に反応したね。

「そうそう、もうめーっちゃ美人。すごかったよー」

「そ、そんなにか!?」

「うん。もしかしたら、これが縁でお近づきになれたりするかもよ」

「えぇー、そ、そうかなぁー?」

 多少大げさに言ってはいるものの……美人なのは事実だ。嘘は言っていない。
 ちょっと影がある感じだったけど、そこがまたいいっていうか。

「で、その人の名前は!?」

「リーフェルさん」

「そっかぁ、リーフェル、かぁ」

「いや、リーフェルサンだろ」

「からかうな!」

 仲いいなぁ、この二人。

 ともかく、顔も名前も知らなかった相手の名前を知れたことは、大きな前進なはずだ。多分。
 まあそれはそれとして、問題は一つある。

「いい名前じゃんか、素敵だ」

「リーフェルさんも、ヒーダさんのことは覚えてるみたいだったよ」

「ホントか!」

 なんせ、私のお友達を治した……ってことで交流を持てたくらいだ。
 リーフェルさん的には、ヒーダさんたちは私の友達に見えたようだ。

 ……実際、私と冒険者トリオの関係ってなんだろうな。友達、でいいのかな。
 最初は、『ペチュニア』で顔を合わせるだけの、気のいいおっちゃんって感じだったけど。

「で、で、その人の連絡先とかわかんないのか!?」

「あー、ごめん。そういったことは聞いてないや」

 リーフェルさんに関する問題……それは、名前以外の情報がないってことだ。

 旅をしてた……みたいなことは言ってたけど、それだけ。今住んでいる場所とか、聞いていない。
 そもそも、この国のどこかに住んでいるのかも、わからない。

「なぁんだ……そうなのか」

 あからさまにがっかりするヒーダさん。
 命の恩人へのお礼を逃したこと。そして私が美人美人言ってた美人に会えなかったこと。
 これらが、ヒーダさんをがっかりさせてしまったようだ。

 うーん……あんな大げさに言った私にも責任の一端があるような気がする。

「まあ、もしかしたらまだ学園祭回ってるかもしれないし……希望は捨てないほうがいいよ」

 私がリーフェルさんと別れたのはあくまで、校舎を出たところでだ。
 そこからどこに行ったのかまでは、わからない。

 あんなことがあったから帰ったかもしれないし、逆にあんなことで帰るのは癪だからと残っているかもしれない。

「そ、そうか……そうだよな! よし、ちょっくら探してくる!」

 私の言葉に元気をもらったのかは知らないが、ヒーダさんは張り切った様子で立ち上がる。

 すごい切り替えだ……これがお礼と下心が半々になった結果か。
 そのまま教室から出ていこうとして……ヒーダさんは、振り返った。

「そのリーフェルさんって、どんな見た目なんだ?」

 特徴を知らずに探せないよな、そりゃ。

「髪は銀色で、肌は白いの。で、とっても美人。
 スタイルよくて、服は……どっかのお嬢様みたいな服着てたね。ふりふりだったよ。あと帽子被ってた」

「わかった!」

 ……私から焚き付けておいてなんだけど、なんともふわっとした説明だなぁ。
 でもヒーダさんは、私に「ありがとう」とお礼を言ってから、教室を出ていってしまった。

 うーん……ちゃんと見つけられるかな。

「ま、なんとかなんだろ」

「……そうだね」

 私の心を読んだかのようなケルさんの言葉に、私は小さくうなずいた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!

夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。 彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。 価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い! これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。

戦姫のトロイメライ~断罪される未来が視えたので先に死んだことにしました

志熊みゅう
恋愛
 十三歳の誕生日、侯爵令嬢エディット・ユングリングは、自分が死ぬ瞬間を"夢"に視た。  卒業舞踏会で、婚約者であるフィーラ帝国・第一皇子マティアス殿下から、身に覚えのない罪で断罪され、捕らえられる。傍らでは見知らぬピンクブロンドの令嬢が不敵に微笑む。貴族牢のある北の古城に連行される途中、馬車ごと“死の谷”へと落ちていった――そんな妙に生々しい夢。  マティアス殿下は聡明で優しく、エディットを大切にしているように見えた。だから誰もその"夢"のことを気に留めなかった。しかし、兄の怪我、愛猫の死、そして大干ばつ――エディットの"夢"は次々と現実になっていく。ある日、エディットは気づく。この"夢"が、母の祖国・トヴォー王国の建国の軍師と同じ異能――"未来視"であることに。  その頃、一年早く貴族学院に入学したマティアス殿下は、皇宮から解放され、つかの間の自由を知った。そして、子爵令嬢ライラに懸想するようになる。彼女は、"夢"の中で冷酷に微笑むあの令嬢に瓜二つ。エディットは自分が視た"夢"が少しずつ現実になっていくことに恐怖した。そんな時に視た、黒髪の令息が「愛しているよ」と優しくはにかむ、もう一つの『未来』。エディットは決心する。  ――断罪される未来を変えたい。もう一つの未来を自分で選び取る。  彼女は断罪される前に、家族と共に自らの死を偽装し、トヴォー王国へと身を隠す。選び取った未来の先で、エディットは『戦姫』として新たな運命の渦に飲まれていく――。  断罪の未来を捨て、愛する者のために戦う令嬢の恋愛ファンタジー!

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク 両親は村を守る為に死んでしまった 一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。 神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。  そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...