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第十章 魔導学園学園祭編
767話 共通の話題ってなんだろな
しおりを挟む同じクラスの仲間なんだから、話す内容はいくらでもある。でも、そうはうまくいかない。
キリアちゃんの性格的にも、あれこれ考えてもいざ話しかけることができたら、考えていたものが全部吹っ飛んじゃうわけだ。
なので、これと決めたものを話す。そう決めておく。
そうすることで、いくら驚いても忘れないはずだ。多分。
「共通の話題かぁ」
それがお互いに共通する話題ならば、忘れることはない。きっと。
そこで私は考える。キリアちゃんとダルマスの共通の話題はなにがあるだろうか、と。
クラスメイトなんだし、共通点なんて結構ありそうだけど……うーん、男女、身分の差、性格……見事に噛み合わない。
二人が好きなもの、嫌いなもの……それとも、二人が同じく仲良くしている人。
女の子のキリアちゃんと、男の子のダルマスが共通で仲良くしている人なんて……
…………私か?
「なにか思いつきました?」
「二人の共通の話題私かもしれない」
「あぁ……」
なんだようノマちゃん、その複雑そうな表情は。
やっぱりそうなりますのね……みたいなこと言いたそうだ。
「……しかし、フィールドさんのお友達というからにはそのお友達は当然として、意中の殿方もフィールドさんと仲良くしているんですよねぇ」
「え? あ、まあ……あれ?」
「フィールドさんが懇意にしている殿方……異性とのあれこれを聞かないフィールドさんが懇意にしているとなれば、それはクラスメイトか生徒会の方々か……」
「わー!」
し、しまった。私ってばキリアちゃんのこともダルマスのことも名前は出さないでいたのに。
共通の話題が私ってことで、二人とも私と仲良くしている……つまり近しい人物だとわかってしまった。
しかも私が仲良くしてる男の子は限られるから、クラスメイトってことまで当てられちゃってるよ。
「な、なんのことかなー? ひ、ひゅー、ひゅーっ」
「安心してください、別に詮索しようとは思っていませんわ。ただ、わたくしも恋愛相談するにあたって、少しでも多くの情報があったほうがいいので」
口笛を吹く(吹けてない)私に、ノマちゃんは安心するようにと微笑む。
どうやら、私が言っている二人が誰なのか、探る気はないらしい。私としても、本人の許可も取ってないのにバレるわけにはいかないもんな。
……でも、ノマちゃんの言うことも一理ある。
私からアドバイスを貰おうと持ちかけておいて、その相手を伏せているんだから。情報がないんだ、ぼんやりした答えしか出せないだろう。
……やっぱり、なにも言わないのは失礼、かな。
「……本人には内緒で相談してるから、深いところまでは言えないんだけどさ。友達の子は平民で、相手は貴族なんだ」
「まあ」
せめて、これくらいなら……いいよね。
勝手に話しておいて、勝手に話しちゃってごめんキリアちゃん。でも、最低限だけだから。
さて、私のこれくらい、を聞いたノマちゃんはと言うと……
「平民と貴族、身分違いの恋! もえますわ!」
目をキラキラさせて、すんごい笑顔を浮かべていた。
他の人の恋路は、なんか楽しいもんだ。それに加えて、身分違いの恋。
ノマちゃん自身、貴族の自分が王族のコーロランに恋している。身分違いの恋だ、なんとなく親近感があるんだろう。
ノマちゃんの場合、身分違いっても相手は王族な上に婚約者までいるから、難易度爆上がりだけど。
「なるほど……それは確かに、平民だと貴族相手に気後れしてしまいそうですですわねぇ。その貴族の殿方は、平民だからといって下に見るような方ですの?」
「最初はそうだったんだけど、今はそうでもないよ」
ダルマスも、最初は平民だなんだと見下している傾向があった。
でも、ある時を境にそれはなくなり……平民だろうと貴族だろうと、分け隔てなく接している。
そのおかげで、ダルマスの周りの他の貴族も、平民に対して好意的だ。
「フィールドさんは、わたくしの言ったようにお友達が話の内容を決めても、話しかけるまでにも躊躇してしまう……つまりはそのお友達は、話しかける勇気が持てない、と思っているんですわよね?」
「そう。なんとかならないかな?」
「それはさすがに、本人に頑張ってもらうしかないですわね」
いくらアドバイスを貰ったとしても、結局のところ……話しかけるのは、キリアちゃんだ。
キリアちゃん自身が気持ちを強く持たないと、どうにもならないってことだ。
こうして考えると、簡単なようで難しい。私なら、スパッと話せに行っちゃうんだけどな。
それとも、好きな人相手だと……普段とは変わっちゃうんだろうか。
「相手の殿方が、平民に対して好意的ならば、そこまで慎重になる必要はないと思いますが……」
「こればかりはキ……本人の性格の問題だからねぇ」
あっぶねぇ、つい流れで普通にキリアちゃんって言っちゃうところだったよ。
「ともかく、殿方との共通の話題を見つけること。そして、気安くとはいかなくても普通に話しかけられるようになること。これが重要ですわね」
「なるほど」
ノマちゃんが二本の指を立て、言う。
とりあえずはこの二つをきちんとすることからだ。
明日キリアちゃんに、早速伝えるとしよう。
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