史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十章 魔導学園学園祭編

783話 極限の中で

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 クロガネを包み込んでいた炎……それがかき消え、押し返されていく。クロガネの竜魔息ブレスによって。
 サラマンドラの吐きだす炎は、魔術にも匹敵する威力。それを、あの距離から押し返すなんて。

 というか、魔大陸で戦った時よりも強くなっているような?

 でも魔大陸って、精霊さんの力は使えないし魔力の質も違うから私やラッヘは満足いく力が出せなかった。逆にダークエルフのルリーちゃんにとってはいい場所だったけど。
 クロガネも、魔大陸の環境はここよりもいいはず。でも、あの時より今の方が強い気がする。

「私と契約したからなのかなぁ」

 私だって、クロガネが契約してからいっそう力が上がったような気がするし。
 逆があってもおかしくはない。

 だとしても、おっそろしいなぁ。

「グッ……ォオオオオオ!!」

 自分の炎を押し返され、動揺するサラマンドラ。でも、立ち直りの早さも早い。
 再び、強力な炎を放つ。

 竜魔息と炎が、ぶつかり合う。
 それは少しの拮抗を見せたけど、すぐに竜魔息が打ち破ってしまった。

「すごい魔力の密度……!」

 サラマンドラの皮膚も、固い鱗に覆われている。
 でも、クロガネの竜魔息を受けて無事である保証はない。

 本人もそれがわかっているからか、構える。そして……

「ゴォオオオオオオオ!!!」

 まるで大気が揺れていると感じるほどの、すさまじい咆哮。
 ……いや、違う。実際に揺れているんだ。

 大気が、そして地表が揺れ……割れる。地割れだ。
 ひびの入った場所から、灼熱の火柱が上がる。何本も、勢いよく。

 それはまるで意思を持っているかのように動き……迫る竜魔息へと、ぶつかっていく。

「……っ」

 灼熱の火柱は何本も重ね合わせ、竜魔息を押しとどめ……相殺する。
 バチンッ、と攻撃の余波が広がる。

 けれど、息をつく暇もなく……

「ジェアアアアアア!」

 先ほどよりも魔力の高まった、特大の炎がクロガネへと放たれる。しかも、またも地面から打ちあがる火柱を混ぜてだ。
 サラマンドラ自身の炎に、何本もの火柱が組み合わされる。それは、先ほどの炎の何倍もの威力があるだろう。

 それを見て、クロガネは……少し、笑ったように見えた。

『いいだろう……我もまだ楽しみたいと思っていたところだ』

 攻撃のことごとくを防がれ、打ち砕かれ……それでも向かってくるサラマンドラに、クロガネは好感を抱いているように見えた。
 だからだろうか……翼を広げ、魔力を高めているクロガネの姿が、これまでになく嬉しそうに見えたのだ。

 口の中に溜められていく魔力。また竜魔息を放つつもり……いや、違う。感じる魔力が、全然違う。

「もっと強いの……」

 気のせいだろうか。私の中の魔力が、クロガネに持っていかれているような気がする。

 契約を行った以上、術者と使い魔の魔力は共有されている。私がクロガネの魔力を借りたことはある。
 でも……逆は初めてだ。

 自身の持つ魔力だけではなく、契約している私の魔力も使って放つ竜魔息。これは、ただの竜魔息じゃなくて……

「バァアアアアアアア!!!」

 言ってしまえば、最大・竜魔息フル・ブレス
 ただの竜魔息より、威力も大きさも全然違う。あんなん、掠っただけでも並大抵の魔物は消し飛んじゃうよ!

 それとサラマンドラの炎とが、互いに向かい合い……激突寸前だ。
 なにも障害物などない。二つを遮るものなんてない。

 私たちはただ、その光景に目を奪われて……二つの強力な技が激突するのを、見届けて……


「はい、"そこまで"」


 ……クロガネとサラマンドラの戦いに目を奪われていた私は、でもその声が聞こえた。
 他にはなにも耳に入らないと思っていたのに、その声だけはなぜか聞こえた。

 そして、その直後だ……クロガネの最大・竜魔息とサラマンドラの特大炎が、激突する直前にふっと消えたのだ。

「え……」

「!」

 その光景に、私もゴルさんも……誰もが、あっけに取られていた。
 さっきとは違った意味で、言葉が出ない。息もつかせないほどの攻撃の連続に見惚れていたのとは違い、今はただ目の前でなにが起こったかわからないのだ。

 そんな私たちの耳に、パチパチパチと音が聞こえた。

「いやー、実に素晴らしい戦いだった。オレオレ、感心しちったよ~」

「……先生」

 振り向くとそこには、拍手をしながら歩いてきている先生……ウーラスト・ジル・フィールド先生の姿があった。

 先生は金色の髪を揺らし、尖った耳を撫でつけながら……私とゴルさんの間に立った。
 それから、私とゴルさん、クロガネとサラマンドラをそれぞれ見て……

「うん、実に素晴らしい戦いだった。それは認めるよ。
 でもでも……ちょぉっとやりすぎかな」

「え?」

 先生が指した方向には、先ほどまで観客に回っていた人たちが……半分以上姿を消していた。
 残った人たちも、ぽかんとした表情を浮かべている。

「あのね、これは学園祭で、このクラスの出し物は魔導を使ってお客さんに楽しんでもらう事でしょ。なのに、こんなとんでも戦い始めちゃって。お客さん怯えてるでしょ。
 それに、いくらここが異空間でもあんなんぶつけあったら、異空間なんて吹き飛んで外にまで影響しちゃうよ」

「あ……」

「キミら生徒会のメンバーなんだから、生徒の模範となるよう行動しないといけないのに自分らがそれを忘れてドンパチしちゃってどうするの」

「……すみません」

「……返す言葉もない」

 普段はおちゃらけた感じのウーラスト先生からの、マジ説教。 
 私たちは夢中になっちゃって、他のことなんか目に入ってなかった。

 これは……やっちゃったなぁ。
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