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第十章 魔導学園学園祭編
790話 複雑な関係性
しおりを挟む「ご、ゴルドーラ様ぁ。な、なんでこんなところにぃ」
「俺も学園祭を楽しんでいる身だ。どこにいようと問題あるまい」
「楽しんでる面には見えないけど……あ、なんでもないですごめんなさい」
突然現れたゴルさんに、ピアさんはすごく驚いている。
そりゃ、いきなり後ろに人が立っていたら驚くよね。それもゴルさんが。
同学年から距離を取られているっぽいピアさんが、生徒会長のゴルさんにびっくりするのはおかしくはないんだろうけど……
「二人は、知り合いなの?」
さっきピアさんが、そんなことを言っていた。昔から……なんて、昔から知っていないと出てこない言葉だ。
「あー……まあ、ちょっとにゃ……」
答えてくれるピアさんは、だけど視線をそらしながら話していた。
まるで、あまり思い出したくない……とでもいうように。
それを見て、ゴルさんは軽くため息を漏らした。
「アランフェイク家とは、昔から交流があってな」
「ピアさんの家と?」
「あぁ。そもそもアランフェイク家は、代々魔導具を専門に作っている家だ」
へぇ、それは聞いたことなかったなぁ。
そういえば、ピアさんが魔導具技師を目指すようになった明確な理由は聞いたことなかったけど……
家がそういうところだったから、ピアさんも作りたいと思えたのかな。
「それで昔、ダラバス・アランフェイク……こいつの父親が、こいつを城に連れて来たことがあってな。国王様としては、俺に同年代の友人を多く作らせたかったらしい」
ゴルさんの家と、ピアさんの家は昔から交流があった。それは家柄の付き合い、そして父親同士の個人的な付き合い。
ゴルさんは立場的にも友人を作るのは難しそうだし、知り合いから当たるのはいい線だと思う。
そしてスポットが当たったのが、付き合いのあった男の娘……つまりピアさんだ。
「なんだ、じゃあ結構長い付き合いなんだ。なんだかほほえまー」
「話は最後まで聞け。それだけで終わっていれば、確かに微笑ましい話だったかもしれんな」
気のせいだろうか、ゴルさんの表情がだんだんと険しくなっていっている。
同時に、ピアさんがだんだんと小さくなっていっているようにも感じる。
「こいつは、自分の作った魔導具を俺に見せびらかした。そこで、その魔導具は爆発……お互い黒焦げになる程度で済んだが、城内はそれはもう大騒ぎだ」
「……」
「しかも、その魔導具は父親に隠れて持ってきたものだ」
な、なんかすごい話が出てきたな……
いや、まず確認したいのは……
「じ、自分で作ったって……それ、何歳のときの話?」
「具体的には覚えてないけど……さ、三歳くらいかなぁ?」
「二歳だ、間違えるな」
冷や汗だらだらのピアさんの言葉は、ゴルさんに鋭く修正される。それだけで、ピアさんの肩が震えている。
これは……ゴルさんが怖いというよりも、過去のやらかしへの罪悪感でいっぱいだといったところだろう。
多分、そのあとお父さんにいっぱい怒られたんだろうな。
「って、二歳?」
それは、信じがたい言葉だった。でも、ゴルさんが嘘をつくとも思えない。
ピアさんは二歳で、魔導具を作ったと……そう言うのか。爆発したらしいけど。
じゃあ、二歳のピアさんは城に魔導具を持ち込み、ゴルさんの前で爆発させたのか。
なにそれ、テロ? そりゃお城の中も大騒ぎになるよ。
「まさかピアさん、二歳にして王子暗殺を企てて……」
「ち、違う! アタシはただ、初めて会う子と少しでも仲良くなれたらなって……」
ぎろり、と鋭い背¥視線を向けるゴルさんに、ピアさんが慌てて弁明する。
いや、あれ別に睨んではいないか。ただ普段の目付きが鋭いからそう見えるだけで。
ピアさんとしては、仲良くなりたいゆえの行動……だと。
うーん、まあ初めての相手との接し方がわからないから、自分の好きなものを見せつける……って気持ちはわからなくもないけど。
ピアさんの場合、それが失敗魔導具だから大事になったわけだ。
「で、こいつは俺を避けるようになったわけだ」
多分、いっぱい怒られたんだろう。それはもう。
王子様にそんなことしちゃったら、まあ仕方ないとも言えるけど。
じゃあ、その件がトラウマになってピアさんはゴルさんが苦手なわけだ。
「かわいい子供のいたずらでは済まないってことかぁ」
「あ、あははは。じゃ、あ、アタシは他のお客さんの相手してくるから!」
「あ」
ピアさんは、逃げるように去ってしまった。
やってしまったことはとんでもないことだけど、本人に悪気はなかったのに。必死に謝ればゴルさんだって許してくれる……
いや、ゴルさんは怒っているのだろうか。不機嫌そうではあったけど、それはゴルさんのことを鼻持ちならないって言ったからだし……
「あれ、今の話だと非……があるとしたらピアさんで、別にゴルさんは鼻持ちならなくない?」
「……俺がその時、お前の作った魔導具はゴミだのクソだの言ったのが原因だろうな。あいつが謝ろうとしていたのも聞かずに」
「……」
ため息を漏らしながら、ゴルさんは言う。
け、結構言いますね……あなたも。
とはいえ、どっちが悪いって話になるなら……魔導具爆発させたピアさんになるのか?
まあ、二歳でそんなことがあって、謝ろうとしていた相手からぼろくそに言われれば、もう頭ぐちゃぐちゃになっちゃうのか。
なんて複雑な関係性なんだ。
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