805 / 1,198
第十章 魔導学園学園祭編
792話 警戒されますの
しおりを挟むさて、学園祭四日目も終わりを迎えた。
ついに明日が最終日。楽しかったお祭りも、終わりなのかぁ。
「楽しい時間はあっという間だよぉ」
私はベッドに倒れ込む。ふかふかで気持ちいい。
「ま、はしたないですわよ」
そんな私を見て、軽く注意をするのは同室のノマちゃんだ。
私の隣に座り、頭を撫でてくれる。
「んむぅ……」
「ほら、スカートも捲れて余計にはしたないですわよ」
「ノマちゃんとフィルちゃんしかいないんだしいいじゃあん」
「どこであろうと、乙女の嗜みは大切にしなければ」
「あー、それ私もやってー」
明るい声に視線を動かすと、ノマちゃんの隣にフィルちゃんは寝転がる。私とは逆側だ。
しかも、ノマちゃんの膝に頭を乗せ、撫でて撫でてとせがんでいるのだ。
「まったく、仕方ないですわねー」
「えへへー」
「ノマちゃん、私も私も!」
「子供ですか」
呆れたような態度を見せながらも、ノマちゃんは私の頭を撫でるのはやめない。
それぞれフィルちゃんと私をなでなでしてくれているのだ。ノマちゃんの手が温かくて柔らかい。
こうして、誰かに頭撫でられるの好きだなぁ。
「それにしても、確かに明日でおしまいなのは寂しいですわね」
「だよねー」
「ですが、終わるものを悲観していても仕方ありません。その先に、新たな楽しみを見つけなければ」
ノマちゃんは大人だなぁ。私はそんな風にすぐに切り替えられないよ。
とはいえ、ノマちゃんの言っていることもわかる。なにをどう考えても終わってしまうものは終わってしまうんだし、それならその後にある楽しみに目を向けるべき。
あれが終わるから寂しい、ではなく、あれが終わるから次はあれが始まる嬉しい、みたいな。
そう、そして学園祭が終わってその後にある大きな行事が他クラス試合……いや、その前に。
「使い魔召喚!」
「そう、使い魔召喚ですわ!」
「ですわ!」
私とノマちゃん、そしてフィルちゃんがそれぞれ叫ぶ。
やっぱりノマちゃんも、使い魔召喚の授業を楽しみにしているみたいだ。
いや、楽しみにしてない子なんていないんじゃないだろうか。
ネクちゃんだって、不安なだけで楽しみじゃない、とまでは言ってなかったはずだし。
「フィールドさんもフィルちゃんも、すでに使い魔がいますものねー、ずっとうらやましかったんですのよ」
「あらまあ」
「特にフィルちゃんなんて、見せつけるように部屋でもふもふちゃんと遊んでー!」
「きゃーっ」
まるで鬱憤を晴らすかのように、ノマちゃんはフィルちゃんの頭をものすごい速さでわしゃわしゃやる。
だけど、それは当然なでなでの領域を出ないため、フィルちゃんは喜ぶばかりだ。
私は、部屋でクロガネを召喚することはできない。もし召喚しようもんなら、部屋どころか女子寮が吹っ飛んでしまう。
対してもふもふは、小さい。ペットみたいな感覚だ。
だから、部屋の中で遊ぶこともできる。
「結局、魔物だけどなんにもないよねぇ」
フィルちゃんが契約したもふもふは、黒い毛並みでまん丸、そして赤い瞳が特徴的の魔物だ。うさぎのように見えなくもない。
毛玉魔物とはいえ、魔物は魔物。前例のない魔物との使い魔契約に、注意しろと言われていたけど。
今のところ、変わったところはない。むしろフィルちゃんによくなついている。
「確かにフィルちゃんにはなついているし、フィールドさんにも親し気ですが……いまだにわたくしだけ警戒されているのは悲しいですわ」
およよ……とノマちゃんは悲しげに言う。
そう、もふもふは契約者のフィルちゃんはもちろん、私とも仲良くしてくれるのだが……ノマちゃんには、なんだか警戒した様子を見せているのだ。
警戒って言っても、噛んだりするわけじゃない。ただ、唸ったり睨みつけたり。
それでもノマちゃんにとっては、ショックなことに変わりはない。
「ノマちゃんおっぱい大きいからなー」
「それ関係あります?」
「おっぱい! おっぱい!」
「フィルちゃん、変な言葉を覚えないですの」
フィルちゃんと私が仲良く出来て、ノマちゃんができない理由……それぞれに共通することがあるとすれば、ぱっと思い浮かぶのは胸の大きさだけど。
さすがに、おっぱいが大きい人を嫌う、なんてことはないと思う。たまに他の子とも遊ぶけど、ノマちゃんほどじゃないにしろおっぱい大きい子もいるし。
なら、他に理由がある。もちろん、好みの問題だってあるだろう。私たちだって、生理的に無理な人はいるんだし。
けれど、明確に理由があるとしたらそれは……
「もう、フィールドさんも変な言葉ばかり言ったらだめですわよ。フィルちゃんが真似しますからね」
……今のノマちゃんが、"魔人"と呼ばれる存在になっているってことだ。呼ばれるって言っても、呼んでたのレジーだけだけど。
体内の魔力がおかしくなった結果……とでもいうべきものだろうか。今のところ、ノマちゃんに異変はない。
もし、魔物のもふもふがノマちゃんを警戒する理由が、そこにあるのなら……
「ってフィールドさん、聞いてますの?」
「! あん、もちろん。ノマちゃんのおっぱいがおっきすぎておっきいってことだよね」
「どの辺をどう聞いていたんですの!」
せっかく同じ部屋にいるんだし、仲良くしてほしいけど……"魔人"ってものがそもそもよくわかんない以上、原因がそれだとして私にはどうにもできないよなぁ。
11
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する
もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。
だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く
乙女ゲームに転生するつもりが神々の悪戯で牧場生活ゲームに転生したので満喫することにします
森 湖春
恋愛
長年の夢である世界旅行に出掛けた叔父から、寂れた牧場を譲り受けた少女、イーヴィン。
彼女は畑を耕す最中、うっかり破壊途中の岩に頭を打って倒れた。
そして、彼女は気付くーーここが、『ハーモニーハーベスト』という牧場生活シミュレーションゲームの世界だということを。自分が、転生者だということも。
どうやら、神々の悪戯で転生を失敗したらしい。最近流行りの乙女ゲームの悪役令嬢に転生出来なかったのは残念だけれど、これはこれで悪くない。
近くの村には婿候補がいるし、乙女ゲームと言えなくもない。ならば、楽しもうじゃないか。
婿候補は獣医、大工、異国の王子様。
うっかりしてたら男主人公の嫁候補と婿候補が結婚してしまうのに、女神と妖精のフォローで微妙チートな少女は牧場ライフ満喫中!
同居中の過保護な妖精の目を掻い潜り、果たして彼女は誰を婿にするのか⁈
神々の悪戯から始まる、まったり牧場恋愛物語。
※この作品は『小説家になろう』様にも掲載しています。
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について
水定ゆう
ファンタジー
【火曜、木曜、土曜、に投稿中!】
千年前に起こった大戦を鎮めたのは、最強と恐れられ畏怖された「魔女」を冠する魔法使いだった。
月日は流れ千年後。「永久の魔女」の二つ名を持つ最強の魔法使いトキワ・ルカはふとしたことで眠ってしまいようやく目が覚める。
気がつくとそこは魔力の濃度が下がり魔法がおとぎ話と呼ばれるまでに落ちた世界だった。
代わりに魔術が存在している中、ルカは魔術師になるためアルカード魔術学校に転入する。
けれど最強の魔女は、有り余る力を隠しながらも周囲に存在をアピールしてしまい……
最強の魔法使い「魔女」の名を冠するトキワ・ルカは、現代の魔術師たちを軽く凌駕し、さまざまな問題に現代の魔術師たちと巻き込まれていくのだった。
※こちらの作品は小説家になろうやカクヨムでも投稿しています。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる