史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十章 魔導学園学園祭編

793話 学園祭最終日!

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 ……ついに学園祭五日目。最終日がやってきた。

 目覚めは気持ちのいい朝で、外は快晴だ。この五日間、天気は晴れだった。おかげで学園祭を存分に楽しむことができる。
 雨が降ったら、例えばピアさんの魔導具店にも影響あっただろうし。

「ふわぁ、おはようございますわ」

「おはようノマちゃん! いい朝だね!」

「朝から元気ですわねぇ」

 ベッドの上で目をこすりながらも起き上がるノマちゃんは、口元に手をかざしてお上品なあくびをしている。
 いつもはドリルな髪も、寝起きはストレートに下ろされている。所々髪が跳ねているのがちょっとかわいい。

 わざわざドリルにしなくても、今のままの髪型でも充分かわいいとおもうけどなぁ。寝癖は直すとして。

「じゃ、ちゃちゃっとやっちゃおうか」

「お願いしますわー」

 洗面所で顔を洗ってきたノマちゃんは椅子に座り、私はその後ろへ。
 そしてノマちゃんのきれいな髪に手を伸ばし、触れる。サラサラだぁ……やっぱりいつ見てもノマちゃんの髪は美しいな。いいにおいもする。

 っと、そんなことよりも。私は慣れた手つきで、ノマちゃんの髪の毛をいじいじいじ。
 ストレートだった髪は、あっという間……というほどすぐでもないけど、ドリルヘアーへと完成する。

「いつもありがとうございますわ」

「それは言わない約束だよー」

 今じゃすっかり、ノマちゃんの髪を私がセットするのが日課になったなぁ。

 ノマちゃんと部屋が同じになったばかりの頃は、まさかいつも髪を人にやってもらっているなんて思わず。驚いたものだ。
 だけどそっからなんやかんやあって、私はノマちゃんの髪をセットするようになった。

 そのために、度々カゲくんに教わったりしてたなぁ。
 おかげで難しい髪型をセットできるようになっただけではなく、時間も短縮できた。

「もうすっかり慣れたものですわね。どうですかフィールドさん、わたくしの髪係になるというのは」

「なぁにその係、いやだよ」

「ふふ、冗談ですわ。
 ……それにしても、フィールドさんの髪はいつ見てもきれいですわね。いいにおいしそうですわ」

「……どうも」

 髪型をセットするころには、フィルちゃんも起きてくる。
 フィルちゃんはいつも使い魔のもふもふを抱きしめて寝ている。魔物だから大丈夫なのかと思ったけど、今日までなにも問題はない。

 もふもふも気持ちよさそうに寝ているのだが、ノマちゃんが触れようとすると寝ているはずのもふもふが尻尾で手を叩くのだ。
 ノマちゃんは泣きそうになっていた。

「ふわぁー、おふぁよぉ」

「おはよう」

「おはようございますわ」

 三人が起床した後、身支度を整える。顔を洗って、制服に着替えて。
 そしていつもなら、このまま学園の食堂にでも行く。でも、学園祭の期間はいつもと行動が違う。

 食堂自体は空いているけど、やってはいない。それに、学園祭でいろいろなものを売っているのに、わざわざ食堂のものを食べようとは思わない。

「さ、今日が最後だし、うんと楽しまなきゃね!」

「ですわね。そういえば、最終日になにやら重大発表があるとか聞きましたわ」

「重大発表? 誰の、なんの?」

「それはわかりませんが」

 部屋を出て、歩く。その間も、私たちの間に会話は尽きない。

 それから、校舎に入り……私たちは、それぞれの教室の前で別れる。
 私とフィルちゃんは同じ教室だけど、学園祭の日は朝一番に生徒会に行くことになっているので、三人共一旦お別れだ。

「おはようございまーす」

「お、朝一番元気だね。おはよう」

「おはようさん」

 生徒会室に入ると、すでに到着していたタメリア先輩にメメメリ先輩。それにシルフィ先輩にリリアーナ先輩がいた。
 みんな早いねー。

「って、ゴルさんは?」

「おはようございます、エランちゃん。ゴルドーラ様は、この後の準備に……あ、なんでもありません」

 生徒会室には、一番居そうなゴルさんがいなかった。私の疑問にリリアーナ先輩が答えてくれようとするが、なぜか途中で口を閉じてしまった。

 はて、ゴルさんがこの後の準備で居ない……? 今日、生徒会長であるゴルさんになんかあったっけ。
 まあ私が知らないだけで、会長というのはいろいろあるのかもしれない。

「やれやれ、朝からうるさいやつだ」

「元気ないよりあったほうがいいでしょー」

 相変わらずシルフィ先輩は、シルフィ先輩だなぁ。ツンケンしちゃって。
 ……そうだ。

「ところで、リーメイとはどんな感じです?」

「っ! な、なぜそこで彼女の名前が出てくるんだ!」

 私が言った名前に、シルフィ先輩はわかりやすく反応する。
 ふふふ……やっぱり、シルフィ先輩にはリーメイの話をするのが一番効くみたいだね。

 普段ツンケンしている人が、こんなにうろたえちゃうんだから。

「それが、今日は一緒に回る約束してるらしーぜ」

「ほうほう」

「た、タメリア先輩!」

 タメリア先輩の思わぬタレコミに、シルフィ先輩は大慌てだ。あの人に秘密を話すのだけはやめておこう。

 にしても、生徒会の仕事とは関係なく二人で学園祭を回る約束をしてるのかー。
 仲良きことはいいことかな。

「全員揃っているな」

「あ、ゴルさん」

 そんな中で、生徒会室の扉が開く。ゴルさんと、そして副顧問のウーラスト先生が中に入ってきた。

「今日は最終日だ。各自、最後まで気を緩めるなよ」

「おう!」

 ゴルさんの言葉に、私たち葉一斉に声を上げた。
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