史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十章 魔導学園学園祭編

794話 冒険者の噂

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 無事に学園祭最終日が始まった。
 最終日は私は午前はクラスの手伝い、午後は生徒会の見回りだ。見回りって言っても、カルさんと回った時のように自由度は高いわけだ。

 またあのときのような厄介事に巻き込まれないといいけど。
 でも、あれのおかげでリーフェルさんと知り合えたわけだし……なにもかもが悪かったってわけじゃないよね。

「ま、今はこっちに集中しないとねー」

 私はめいど服に着替え、準備に取り掛かる。
 この服を着れるのも今日が……いや、午前中で最後かー。さすがに生徒会のお仕事中にまでは着れないしね。

 とはいえ、学園祭が終わったら服を処分する、というわけでもないんだ。
 せっかくなら貰っちゃおうかな。貰えるのなら。

「最終日だけあって、お客さんも多いネー」

「だネー」

 クラスメイトたちと作業をしながら、注文の料理を作ったり時には私が接客に出たりと、わりと大忙しだ。
 最終日だから人が落ち着くなんてことはなく、むしろ人が増えているようだ。

 もしかしたら、噂が噂を呼んで人を呼んで……ってことなのかもしれない。それに、最終日だからこそもう一度味わっておこうという考えかも。

「お待たせしましたー。ってあれ、ギルドのお姉さんだ」

 ずっと裏方に回っていないのは、単にこの衣装を見せつけたいのと、いろんな人の顔を見ておきたいからだ。
 この国には、そして国の外からもこんなに多くの人が来てくれているのだと。

 そして料理を運んでいる所で、知った顔を見つけた。

「あら、エランちゃん。お久しぶりです」

 そこにいたのは、冒険者ギルドで見た懐かしい顔。
 最近……というか、本来学生の私が行くことのない冒険者ギルドの受付をやっているおっぱいの大きなお姉さん。カタリアさんだ。

 私がこの国に来たばかりの頃、『ペチュニア』を紹介してくれたんだ。
 安い宿ってことでおすすめしてくれて、この国のことわからない私に親切にしてくれた。

 なにより、『ペチュニア』に行ったおかげでクレアちゃんと友達になれたんだ。

「お久しぶりー」

「へぇ、かわいらしい恰好」

 私の服を見て、褒めてくれるカタリアさん。
 やっぱり、褒められると嬉しいもんだな。

 そういうカタリアさんも、受付さんの制服はかわいいんだけどね。
 ま、今日は私服みたいだけど。

「それにしても、無事な姿を見られてよかったー」

「ん?」

「ん? じゃないですよ。魔導大会のとき、いきなり行方不明になっちゃって」

 おぉ、カタリアさんもあのとき会場にいたのかな。それとも、人づてに聞いたのか。
 いずれにしろ、あれで急に行方不明扱いになっちゃったからなぁ。

「戻ってきたとは皆さん話してましたけど、こうして直接見ないことには心配なままで。なのにエランちゃん、会いに来てくれませんし」

「あはははー」

 心配してくれていたんだな、私のこと。私は別に、冒険者ってわけでもないのに。

 初めてのとき以外にも、学園と冒険者の合同お仕事のときみたいに、ちょくちょく顔は合わせている。
 でも、帰って来てからは冒険者ギルドには行っていなかった。

「いろいろ忙しくて……」

 あとは学園祭が楽しみすぎて忘れてて……

「……ま、いいです。無事ならそれが一番ですから」

 ずず、とお茶を飲むカタリアさん。なんか、私がどういう人物かってある程度わかっている気がする。会った回数は少ないのに。
 呆れられている、というわけじゃないんだけど。

 まあ、忘れていた以外にも……休日以外は学園から出ることはないし、冒険者ギルドに行くことはない。
 学園が休校していた時に行けただろって? それはそう。

「忙しいと言えば、冒険者ギルドの受付も忙しいんじゃない?」

 周囲を見つつ、私は話しかけた。さっきまで多かった人も、今は落ち着いている。
 なんとなく、気まずさを感じたので話題をそらすためだ。

 するとカタリアさんは、コップから口を離す。

「……そうですね。毎日毎日、依頼だ後処理だと、やることが多いです。今日はようやく取れた休日なので、羽を伸ばそうかと」

「だったら、家で休んでてもよかったんじゃない?」

「来ない方がよかったですか?」

「そ、そんなことないよ!」

 慌てる私に、カタリアさんは笑いながら「冗談です」と言葉を返す。
 この人結構茶目っ気あるよな。

 せっかくの休みを、ここに使ってくれたってことだ。それはとてもありがたい。

「そうだ。最近、冒険者ギルドでエランちゃんの取り合いが始まってますよ」

「なにゆえ?」

 突然の言葉に、私は疑問に首を傾げた。
 だって……取り合いって……なんでよ?

「エランちゃんの噂は、ギルド内……いや冒険者内で有名なんですよ? 魔導学園の学生だけど、その実力は一級品だ。ぜひともウチのパーティーにほしいって」

「そんなこと思われることしたっけ?」

「そりゃあ、魔獣を倒したとかダンジョンで活躍したとか、いろんな話が」

 楽しそうに笑うカタリアさん。私は果たして笑えばいいのかどうかわからない。

 考えてみれば、冒険者の手伝いってことでもいろいろやってきてるし。その件で話が広まってもおかしくはないのか。
 しかも魔獣を倒したことは、そりゃもう広がるところには広がるよね。

 えー、でも困っちゃうなぁ。私冒険者に興味はあっても冒険者になるつもりは別に……なぁ。
 私を取り合わないでー、ってやつなのかなぁ。
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