史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十章 魔導学園学園祭編

796話 友達の恋敵

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 サライア・パルシュタン……
 ノマちゃんが片想いしている、ベルザ国第二王子であるコーロラン・ラニ・ベルザの婚約者。私にとっては、友達の恋敵である複雑な相手だ。

 そんな相手が、妙に私に親し気な気がする。それとも、この人は他の子にもそうなのだろうか?

「ところで……コーロラン様とは、どういったご関係で?」

「へ?」

 それは、唐突な質問だった。思いもしなかった質問に、思わず間抜けな声が出てしまう。
 だって、それも仕方ないだろう。この人からコーロランの話が出るなんて思わなかったんだもん。

 いや、普通に考えれば、婚約者の話をすることになんの不思議もないんだけど……
 前回コーロランのクラスで会ったときは、別にコーロランの話はしなかったけどなぁ。

 それとも、本人の前だからこそできなかった話なのだろうか。

「関係もなにも……同級生、ってこと以外は特に」

 ただ、私とコーロランの関係を聞かれたところでなんと答えたらいいのか。

 事実、同級生以上の関係はない。クラスも一緒じゃないし、同じ王子でもゴルさんのように深いかかわりがあるわけでもない。

 あ、でもかかわりがあるとすれば……

「同じクラス代表ってことくらいかなぁ」

 クラスからそれぞれ一人選ばれている、代表者。私のクラスからは私が、コーロランのクラスからはコーロランが。
 週に一度ある代表者会議で、私たちは集まって話をする。

 そう考えると、まあそれなりにかかわりはある、のかなぁ。

「でも、それくらいだよ」

 そう、それだけの関係……って言い切っちゃうのはちょっと寂しいけど。
 でも、事実なんだから仕方無い。

 しっかし、なんで私にコーロランとの関係を聞いて……あ、ははーん。私わかっちゃった。
 婚約者さんは、コーロランに他の女の影がちらついているのが心配なんだ。そうに違いない。

 だから、多分……コーロランと仲良く話をしていたように見えた私に近づいたんじゃないかな。多分。
 でも私は、コーロランとはそんな関係ではないし。むしろコーロランを狙っているのは別の子で。

「安心して、私はコーロランとは友達なだけだから」

 そりゃあ、ノマちゃんが言うにはゴルさんとの決闘以降コーロランは私の話をすることが増えたらしいけど。
 それはあれだよ、あのときの状況がね。仕方なかったんだよ。

 コーロランが私に感じているのは、恩義みたいなものだろう。そう、それだけ。
 心配しなくても、私はコーロランとどうこうなろうだなんて思っていませんよ。

 ……ちょっと、心配してたんだよな。コロニアちゃんは、コーロランと婚約者さんは仲が良くないみたいなことを言っていたから。
 でも、婚約者コーロラン想いのいい婚約者さんじゃないか。

「そうですか、素敵ですわ」

「素敵?」

「えぇ。ぜひとも、私ともお友達になってもらいたいものですわね」

 初めて会ったときは、数々の噂から興味を持たれていて。そして再会した今は、友達として誘われた。
 自分で言うのもなんだけどこの人、私に少し似ている気がする。

 この独特的な距離の詰め方。みんなに指摘されることがあるけど、なるほどこんな感じなのだろうか。

「それはもちろん、大歓迎だよ!」

 友達になりたいと言ってくれるのなら、それを拒む理由はない。
 私の答えに、婚約者さんは嬉しそうに微笑んだ。

「まあ、嬉しい。以前渡した招待状……いつでも、好きなときにいらしてもらって構いませんからね」

 気難しい高飛車な人かと思ったら、話してみると案外普通の人じゃないか。

 魔導学園とは別の学園に通っているようだし、コーロランも第二とはいえ王子様だしなかなか会える時間が作れないのかもしれないけど、二人の仲が良好になることを願うよ。
 あぁでも、そうしたらノマちゃんの恋路がぁ……

 ……そういえば、コーロランは第二王子だけど、第一王子のゴルさんが新しい国王になったら、どういう立ち位置になるんだ?

「今日こうして会えたのも縁……いろいろお話したいですが、それは次の機会にとっておきましょう」

 本当、笑い方一つでもお上品だなぁ。
 こんなかわいくていい人なのに、なんでコーロランとの仲が良くないなんて話になったんだろう。

 第一印象こそ高慢な人ってイメージがあったし、それは今も変わらないけど……少なくとも、悪いイメージじゃあない。

「ふふ、それではあなたのこと、エランさんとお呼びしてもいいかしら? 私のことは、どうぞサライアと」

 それにしても、すごいグイグイ詰めてくるなこの人。

「ええと……それでいいなら」

「では、決まりね」

 嬉しそうなその表情を見ていると、断りにくい。断るつもりもないけど。

「……サライアちゃんって」

「まあ! とてもおいしそうですわね」

 私の言葉を遮るように、料理が運ばれてくる。事前にサライアちゃんが頼んでいたものなのだろう。
 手を叩き、喜びを口にする。

 ……やっぱり、以前見たときとは印象が違うなぁ。ていうか、こんな素直においしそうなんて言うような人だったっけ?

「……」

 そんで料理を持ってきたクレアちゃんは、なにか言いたげにこちらを見ている。

 なにか言ってよぅ。
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