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第十章 魔導学園学園祭編
797話 よろしくお伝えください
しおりを挟む友達になったサライアちゃんとは、意外にも話が弾んだ。
話の内容は、様々だ。学園でのことや、お互いの私生活まで。
このままずっとお話していたい気持ちもあるけど、残念ながらそういうわけにもいかない。
「ごめんサライアちゃん、私そろそろ行かないと」
時間を確認して、立ち上がる。
「あら、どなたかと約束ですか?」
「約束って言うか……このあと、生徒会のお仕事があってね」
お昼休憩も堪能したし、そろそろ行かないとね。
ゴルさんってば時間に厳しいんだから、遅れたら怒られちゃう。ま、私も時間にルーズなタイプじゃあないけどね。
「まあ、それは大変ですわね。引き留めてしまってごめんなさい」
「ううん、私も楽しかったから」
よかった、引き留められたらどうしようかと思っていたけど……わかってくれているみたいだ。
同時に、サライアちゃんも立ち上がる。
見れば、注文した料理は完食していた。食べ残しはなく、なんともきれいなお皿だ。こういうのもお上品って言うのだろう。
「では、私もそろそろ……」
「帰っちゃうの?」
「いえ、このあと面白いことがあると聞きましたので、それまでは」
まだ見たいものがある……とかではなく、このあと面白いものがあるから残るというサライアちゃん。
面白いもの……ってなんだろう?
……そういえば今朝ノマちゃんが、今日は重大発表があると言っていたな。そのことかな。
あのあとパンフレットを見直したけど、そこにはなんにも書いてなかった。けど、そういう話が流れているってことは実際にあるのだろう。
自然とそう言う話が流れているのか、それとも誰かが流しているのか。
「では、生徒会のお仕事頑張ってください」
「! あ、うん」
ふと、サライアちゃんに話しかけられて我に返る。
ま、重大発表がなにかは知らないけど、今日中に起こることならその時になればわかるってことだもんね。
さて、私も制服に着替えてから生徒会室に行かないと……
「エランさん、ゴルドーラ様によろしくお伝えくださいね」
「え? うん、もちろん」
教室を出ていく直前、サライアちゃんは私にゴルさんによろしくと言い残して、教室を出て行った。
なんでゴルさんに……と思ったけど、そりゃ第一王子以上に婚約者のお兄さんなんだもんな。
でも、それなら直接会っていけばいいのに。忙しいから自分は遠慮したのだろうか。
一目会うだけなら、問題ないと思うんだけどな。
「っと、時間時間」
サライアちゃんの伝言はしっかり伝えるとして、私は更衣室へと向かう。
このまま行っていいなら楽なんだけど、さすがにこの服装で生徒会のお仕事はできないもんね。
前回はカルさんとの見回りだったけど、今回は誰だろうな。生徒会以外からの助っ人か、それとも生徒会メンバーの誰かか。
シルフィ先輩は、生徒会関係なくリーメイと回るって話だったし。生徒会の誰かなら、三年生とかぁ。
そんなことを考えながら、着替え、生徒会室へと向かっていく。
――――――
「ふむ……よろしく頼むぞ、エラン」
「おー」
生徒会室にたどり着いた私は、見回りのペアを発表される。
その相手は、ゴルさんだった。
というわけで、ゴルさんと二人で見回りに出発したわけだ。
「昨日の今日でゴルさんと二人かぁ」
「昨日のは俺たちにも比はあったが、お前たちにも少なからず比はあったからな」
「わかってるよー」
ちょっとはっちゃけてしまった結果、とんでもないことになってしまった昨日。
使い魔同士の戦いなんて、もっとちゃんとした場でやるべきだった。
……いや、ちゃんとした場なら問題ないだろ、って言ってるわけじゃないんだよ? あくまで、やるとしたら、だよ?
「それにしても、なんだか視線を感じるな」
「ゴルさんがいかつい表情をしてるからじゃない?」
「ほっとけ、生まれつきだ」
まあ、確かに視線を感じるのは私も気付いている。
といっても、その理由はわかっているけど。
自分で言うのもなんだけど、ただでさえ自分とゴルさんは目立つのだ。私は学内外構わず噂されるくらいだし、ゴルさんは生徒会長で王子様だ。
そんな二人が、並んで歩いている。いくら生徒会の腕章をつけていても、そりゃ注目されるよ。
それに加えて、昨日の騒ぎだ。あのクラスの中の出来事だったとは言え、話が広まらないのは無理だろう。
「まさか最後の学園祭が、ゴルさんと回ることになるなんて。あ、もしかしてゴルさん、私と二人になりたかったとかー?」
「はっ」
「鼻で笑われた!?」
そういやゴルさん、最初のうちはリリアーナ先輩とデートとかしてたっぽいけど、それ以外もちゃんと楽しめていたんだろうか。
生徒会長だからって、自分の事は置いといて他の生徒のことを……と考えてそうな気もする。
……ま、そんなことするくらいならリリアーナ先輩が注意するか。リリアーナ先輩は婚約者で、婚約者という立場がなくてもゴルさんのことを好きで、でも言うことははっきり言う人だしね。
「あ、そうだ」
そうだそうだ、危うく忘れちゃうところだったよ。忘れないうちに、ゴルさんに伝えておかないと。
「そういえばさっき、ゴルさんに伝言があったんだよ」
「? 俺に? それにどうしてお前に……? 誰だ」
「サライアちゃんだよ。ゴルさんによろしく伝えてくださいって」
「……サライア……」
言われたことは、ちゃんと伝えたぞ。守ったからね。
そう思っていると……隣を歩いていたゴルさんが、いつの間にか足を止めていることに気づいた。
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